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【ぶりっ子解体新書】case1 無意識ぶりっ子

作者: 豆々駄

 まず前提として、無意識ぶりっ子とは弱い生き物である。


1,基本体勢は防御の姿勢。

 顔の横に緩く結んだ手を当てる基本姿勢。それは、人が不安になると顔まわりを触る心理と同じ。ぶりっ子は常に不安である為、顔から手を離せないのである。

 また、服の裾を掴んだり萌え袖で手を隠したりするのも同様で、自身を守ろうとしているのである。

 傍から見れば弱々しい存在のように感じるであろう。

 それをあざといと感じるのは上目遣いや幼い表情が原因であると考える。しかしそれは、ただ相手の反応を注意深く伺っているだけなのである。




2,声がワントーン高いのは緊張している証。

 アニ声や萌え声は喉を締めることで出すことができる。ぶりっ子は常に緊張し喉を締めてしまうため、自然と高い声が癖になってしまうのだ。

 それを甘えている、媚びている、といった猫なで声のように捉えられてしまうのは、おそらく余裕が見えるからであろう。

 その余裕の原因は間延びした口調だと思われる。「〜よぉ」「〜ねぇ」などの間延びは、発言を断言しないために自信のなさを分かりやすく表現したものである。

 また、身振り手振りが大きいのも緊張をしている証で考えるよりも体が先に動いてしまう。脳で処理しきれないものを全身で表現してしまうのだ。




3,好きなものが女の子らしいのは憧れ。

 好きな食べ物は苺、好きな動物はウサギ。自分に自信のないぶりっ子はそういった可愛らしいものに憧れる性質がある。

 “自分も苺みたいに甘い可愛らしさがあれば”など、女の子らしい魅力を持つものについて想いを馳せる場合が多いのだ。




4,ボディタッチは距離感を計るため。

 ぶりっ子は相手との距離感を早急に、けれど慎重に計る。自分がどの程度の位置にいるか把握しないと不安だからだ。

 まずは会話の中で大まかな線引きを引く。嫌われている、ふつう、好かれているの3つ。

 次に少し距離を詰めたり、深掘りした質問をしたりして相手の反応から線引きをする。触れても大丈夫か否かの2択。問題ないようならボディタッチをして確認をする。ボディタッチに拒否がないのなら、相手は自分を認めていると解釈し安心する。

 自分を認めてくれた相手には気を許し、何度も確かめるようにボディタッチを繰り返すのだ。




 以上が無意識ぶりっ子の性質である。

 無意識ぶりっ子とは自信がなく不安に満ちた人物で、ぶりっ子の自覚を持ったとしても治すのに苦労する。

 しかし、自己中心的な態度を取らないことが多く男女平等に接する性質がある。

 言ってしまえば、小さなミスであわあわと慌てる図書系ドジっ子と無意識ぶりっ子の内心は大差ない。







《うざくないぶりっ子のつくりかた》


煙たがられないぶりっ子をつくるのに1番重要なのは、相手を尊敬する姿勢です。


1,初対面ではまず相手を褒めましょう。

 第一印象に思ったことを直球に伝え、“私はあなたにとって害のある存在ではありませんよ”とアピールすることが大切です。


例)

「まつげすごい長いね!初めて見た時、目が綺麗だなぁって思ったの」

「すごい聞き上手さんだよね!話すの楽しくなっちゃう」

「筆箱可愛い!初めて見た!」


 堅苦しい言葉や面倒な言い回しは使わず、あえて崩した言葉で幼さを表現しましょう。素直さ、健気さを伝えることが大切です。




2,好きという言葉を口癖にしましょう。嫌いではなく、苦手と言いましょう。

 否定的な言葉はマイナスな印象を持たれやすいです。嘘は吐かなくても良いですが、出来る限り好きなものが多いことをアピールしましょう。それだけで前向きな人物だと思われます。

 また、『嫌い』ではなく『苦手』と言葉を濁すことで全否定はしないようにしましょう。改善ができる、あるいは改善しようとしている、と前向きな印象を持たれるようにしましょう。加えて、物事に対して強い物言いをしない人物だと思われる効果があります。

 そして、『ありがとう』が口癖になるとより良いです。感謝の気持ちは惜しみなく相手に伝えましょう。マイナス言葉よりもプラス言葉を使うのは接遇でも重要視されています。




3,マナーを身につけましょう。

 1番重要なのは食事マナーです。肘をつかない、携帯をいじらない、物を入れたまま喋らない、箸をご飯に刺さない、など最低限のマナーを守りましょう。食事は毎日目にするためストレスが蓄積しやすく、ぶりっ子の仕草に対して飛び火する可能性もあります。

 その他、挨拶、お礼をきちんとする、老若男女問わず親切に接する、靴を揃える、手土産を持っていくなど常識人であることを示しましょう。

 善の立場に立つことで、ぶりっ子の仕草も全て合理的に行っていると示すことができます。




4,仕草は可愛らしく統一しましょう。

 口元に手を当ててクスクスと笑う、尋ねる時は小首を傾げて。など、仕草は小さく、可愛らしいもので統一しましょう。

 男の前では小さくし、女の前では手を叩いて笑うだなんて言語道断です。

 自分の仕草全てに擬音語をつけて確認をしましょう。


例)

 トテトテ、タッタッタッと軽い音で走る。

 トントン、と優しく肩を叩く。

 重たいものを持つ時は、ヨイショ、と小さく息を吐きながら。


 常に笑顔を意識しましょう。気分が向かない時はボーッと気を抜いても良いですが、機嫌が悪い時にそれを全面的に出さないようにしましょう。

 機嫌の良し悪しを態度に出すと面倒な人間だと思われてしまいます。




5,ギャップを大切にする

 ぶりっ子は女の子らしいものが好き、という固定概念があります。つまり、それを砕くことは簡単に出来るのです。

 勉強や運動ができる、特技を持っている、これらは全てギャップに変わります。

 好きなものがマニアックである。これもギャップになります。

 ただし、自ら口にするのは控えましょう。相手に話を振られた時のみ答えた方が、それらが全て計算ではないと解釈してもらえます。

「私ね、ピグミージェルボアが好きなのぉ」と唐突に話し始めるのは“不思議ちゃんアピール”になってしまいます。

 また、何故好きなのかは端的に伝えましょう。キャラ作りだと誤解される可能性があります。


例)

好きな動物/ピグミージェルボア

理由/小さいカンガルーみたいで可愛いから




6,ぶりっ子であることを貫きましょう。

 中途半端にぶりっ子をしたり、ぶりっ子を否定したりするとキャラ作りであると思われてしまいます。

 下手なキャラ作りは不信感を抱かせてしまうため、ぶりっ子でいることを決めたのなら貫きましょう。




 上に挙げたものは全てコミュニケーションの基本です。

 言ってしまえば、どのようなキャラ作りをする上でも基本は身につけなくてはいけません。人は無意識にキャラ立ちした人間を下に見る傾向がある為、まずは対等な人間同士であることを自覚させなければ話す気など起きないからです。

 ぶりっ子の特徴はその洞察力です。ぶりっ子は自分に害のある人間かどうかを瞬時に判断し身の振り方を考えます。

 そして自分の心地よい環境をつくることに励むのです。

 たとえ「ぶりっ子はキモい」と言われても、彼女は然程気にしないでしょう。言った人物は自分に害のある存在だと認識し、距離を置くだけなのですから。

 やがて“自分の売り方”を把握したぶりっ子は場所や人物に合わせて程度を調節するようになります。しかし基本は変わらない為、その違いは微々たるものです。その微々たる違いで相手が抱く違和感やストレスを更に軽減させるのが狙いになります。


ぶりっ子が人に執着しやすいと勘違いしてはいけません。

ぶりっ子ほど人に無関心なのです。


 その場限りで自分の生きやすい環境をつくるために、必要最低限の人間を配置させているだけなのです。

 しかし、ぶりっ子は自分を認めてくれると分かった相手にはとことん尽くす性質があります。それは自分の自信の無さを埋める為に欠かせないものになるからです。


 また、ぶりっ子は人に嫌われやすい性質や人間観察に長けていることから多様な価値観を持っている場合が多いです。

 例えば、人間関係の把握、人心掌握の術、性格による仕草の癖、コアな趣味など研究していることもあります。

 もしあなたがぶりっ子に興味を持ったのなら静かに観察をしてみてください。

 無意識的か、意識的か。

 無意識ぶりっ子ならあなたの視線を敏感に感じ、きっと目が合うでしょう。

 そこで悪意がないことを示すのが最善であると思われます。


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