表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/21

…波の音

波の音



バシャーン… バシャーン…


波の音が聞こえる静かな海辺


つまずき勢いよく

倒れた美岬と飛鳥


目をつむり両手を砂浜に付き

美岬の上に乗りかかっている飛鳥

瞼をゆっくりあける


くぅ…

…っ!?


(美岬)…あすか…くん…重たぃ…

(飛鳥)うっ うわぁ!


慌てて起き上がろうとする


(飛鳥)ごめんなさっ!



ガシッ


(飛鳥)美岬せんぱぃ…?



美岬に首元を両手でつかまれた



(飛鳥)…

(美岬)…


見つめ合う2人


(美岬)…ドキッ…ドキッ


顔を赤くし

恥ずかしさからか

目を潤ませ慣れない動きで

唇を少し尖らせた美岬


(美岬)…パチ


瞼を閉じる


(飛鳥) …なっ

   なんだよこの状況は…


   だいたい、美岬先輩

   冗談で言ってたんじゃ… 

   ないのかよ、


…くっ!


   もういくしかねーな…


(飛鳥)…


飛鳥も目をつむり

顔の美岬に自分の顔を近づける


波の音が微かに聞こえる

夕日に燃える海


美岬の鼻息が飛鳥に伝わり

心臓の鼓動がより激しくなる



ドキッ …

ドキッ …

ドキッ …っ!




あすかーっっっっ!


(飛鳥 美岬)っっっ!?



驚いた2人はキス寸前でクルッと、

声のする方向に振り向く


(飛鳥)  …マッ マジかよっっ

   …



(楓)片付け始めるってーっ

って!


っっえぇ?!


砂浜に降りてきた楓

楓の後ろわ歩いてきた葵


(葵)…?

かえで? なんなの?


チラっ


美岬に乗りかかっている飛鳥と

飛鳥に襲われている美岬と目が合った


っっえぇ?! 


(葵)ごめんなさーい…

お邪魔しましたぁ~

よしっ

上がろっ かえでっ

(楓)うっ うんっ


(飛鳥)はぁ…

ちょっと待てってっ


頭をかきながら起き上がった飛鳥


(美岬)せっかく、

もう少しだったのに…

よいしょっ


美岬も立ち上がった


(美岬)…

夏川さん?

ちょっと…いいかしらっ?♪


ニコッ


(葵)ゾクッ

はっ はぃ…


怯えながら美岬の方へ

歩いていく葵

 

楓と話す飛鳥

(楓)ごっ ごめんねあすかっ

なんだか邪魔したみたいで

(飛鳥)もういいよっ

俺もちょっと焦ってたし

(楓)ホントに邪魔するもりは

なかったんだよっ?

飛鳥髪の毛砂まみれだよ


サッ パサッ パサッ 


飛鳥の髪についている砂を

払ってあげている楓


飛鳥の少し離れた

後ろで話す葵と美岬


(美岬)夏川さん?

ルール説明の時に

邪魔していい、だなんて

言った覚えはないのだけれどっ

(葵)いっ いゃ~

邪魔する気はなかって…

ほんっっとにごめんなさいっっ!


深々と頭を下げた葵


(美岬)ニコッ


怒りのこもった笑顔で葵を見る美岬


(葵)…ゾクッ

そのぉ…



笑顔でわあるものの

その裏に、物凄い恐怖を

感じ美岬の圧力に

怯えて後ろに下がる葵



(美岬)…なんで離れるの?


ッタ


(葵)だってぇ…

美岬先輩なんか怖いですもん…


ッタ


(美岬)そんな事ないでしょ?♪

離れないでくれるかしら?


ッタ


(葵)…っ

  … 怖いよぉ …


ッタ


追いかけるかのように

葵が1歩下がると

1歩距離を縮める美岬


ドンッ


(葵)っあ!ごめん


飛鳥と背中同士があたった葵


(飛鳥)うっ


前のめりに倒れる飛鳥


(楓)うゎあっ


(楓 飛鳥)チュッ


(葵 美岬)っっっえ!?


不意な出来事に

楓も飛鳥も理解ができず

身体と口をピッタリと

くっ付けたまま一瞬固まる



(楓)…?

(飛鳥)…?



(美岬)…ジー


ちょっとあなたたち…?


男同士でいつまで

くっついてるのかしら…?


(飛鳥)…んっっ!!


(飛鳥 楓)ぅぇー


(飛鳥)ったく あおいっ!

いきなりなにしやがんだよっ!

お前さっきから邪魔

ばっかしやがってっ


飛鳥は葵に怒鳴りかかった


(葵)なっ なによぉ

当たっただけじゃないっ

わざとじゃないのに、

そんなに怒んないでよ!


私は2人の邪魔なんか…


(飛鳥)あっ?

聞こえないっ!

はっきり言えよっ!

(葵)っっっ

だからっ……


飛鳥が好きだけど

でも大好きな2人を

応援しているっ


なんて、飛鳥と美岬の前で

言えるはずがなかった



(楓)… …夏川さん…


悲しい顔で葵を見ている楓


(美岬)ちょっと飛鳥くん

あなた何を怒っているの?

少し落ち着きなさい!


(飛鳥)別に怒ってないですよっ


…っ?

おっ おい葵…


…なに泣いてんだよ?


(葵)っ……っ…ぅ

クシュ クシュ


うるさいっっ

飛鳥のバカっ!


ドン


タッ タッ タッ タッ タッ


(楓)…夏川さんっ!


飛鳥を突き飛ばして

飛鳥と楓の横を

目を擦りながら走って行く葵


クルッ

(楓)飛鳥っ

追いかけて謝んなよっ!

(飛鳥)はっ?

なんでだよっ!?

てか泣く意味が、

分かんねーよ


(美岬)… …?


葵の泣いていた

意味が美岬も理解できない



重たい空気の3人を

綺麗な夕日が照らす…

 


別荘へ向かって走る葵


タッ タッ タッ タッ


…ぅ…うぅ…

足を止めた


(葵)私がなにしたって

言うのよ…クシュ

ちょっと当たっただけじゃんっ

…うっ うぅ…っ!


美岬達遅いわねぇ~

片付け先に始めましょうかっ


別荘の前で片付けを

始めた美岬両親と国枝

の姿が目に入った


(葵)……

ゴシゴシ 


目を擦った葵


砂浜から別荘に上がる3人

無言のまま階段を上がっていた


(飛鳥) … おれ …

   ちょっと言い過ぎたかな…


はぁ…

まあいいや

とりあえず片付けるかぁ …


階段を上りきった3人



(美岬母)夏川さんっ そこの

一緒に持って来てくれるかしら?

(葵)あっ はいっ♪

 

よいしょ よいしょ よいしょ


(飛鳥 楓 美岬)…ポケー…?


少し目を赤くした葵が

先に上がって片付けをしていた


(葵)っあ!

ちょっとっ

あすかっ かえでっ

あんた達、男なんだから

これ持ってよっ


(飛鳥)おっ おぅ…

(楓)ごっ ごめん…


葵の元に小走りで向かった2人


(美岬)…?


片付けを始めた飛鳥達


夕日も隠れ

暗くなり始めた頃


…ふぅ

(美岬母)終わったわねっ

そろそろ帰りますか?

(美岬父)もう帰るか?

久しくこんなに騒いだなぁ


名残惜しそうな美岬父


帰りの車の前、美岬母と父

2人を見送る飛鳥達


(葵)すごく楽しかったですっ

食べ物も美味しかったし

ホントにありがとうございますっ

ペコッ


(美岬母)いいえっ

こっちこそ楽しかったわ

またいつでも来てねっ

(美岬父)そうだのう

今度はうちに遊びに来るといいっ

酒でも飲みながら話そう!

(飛鳥 楓)ははっ…

(飛鳥)全然行きたいですけど

僕たちまだ高校生ですよ…

(美岬父)そうかっ

そりゃいかんのう

だっはっはっはっ


高笑いをする美岬父を見て

苦笑いを浮かべる飛鳥と楓


飛鳥に近づいてきた美岬母


(美岬母)和泉くん?

(飛鳥)…? はい?

(美岬母)美岬と

いい感じなんですって?

頑張ってねぇ!


飛鳥に顔を近づけ小声で

話す美岬母


(飛鳥)えっ?

(美岬母)片付けの時夏川さんに

聞いたわっ ガールズトーク?

おばさん恋の話とか好きだから♪


(飛鳥)あいつ…

(美岬母)和泉くん男前だし

いい男らしいじゃないっ

(飛鳥)何言ってんですかっ

ちっ 近いですって…


(美岬)チラ

お母様?何話してるのかしら?


美岬母と飛鳥が話しているの

に気が付いた美岬


(美岬母)ギクッ

なんでもないわよっっ

何かあったら

なんでも相談してねっ


(飛鳥)今日は1日ありがとう

ございました ペコッ


(美岬母)それじゃ国枝

後は任せたわねっ

ガチャ

ブーン


手を振って笑顔の葵と楓

後ろで軽く手を振る飛鳥

飛鳥の横に並ぶ美岬と国枝

 


(美岬)…ところで飛鳥くん…?

さっきお母様と怪しげに

何を話してたのかしら?

夏川さんだけじゃなく

お母様とまで浮気

する気なのかしら?


(飛鳥 葵 楓)んなっっ!

(葵)ちょっと飛鳥っ

ほんとなのっっ?

(楓)あすか、それはダメだよ!


(飛鳥)はぁ (ため息)

何言ってんですかぁ

バカな事言わないで下さいよ

その冗談はキツいですって

お前らもそんな事

あり得ねぇだろ!

いちいち真に受けんなよっ


(葵 楓)っ…


(美岬)うふっ…

ごめんなさいねっ

私に隠れてお母様と

コソコソしてるもんだから

お姉さん少し妬いちゃったわっ♪

もう外も暗いし

別荘へ入りましょう


(飛鳥)はぁ…



別荘に入りリビングのソファー

に座りかかっている楓と飛鳥

美岬と葵は先にお風呂に入っていた


物音のしない静かなリビング…

昼間の騒がしさからか

少し寂しい部屋の中


…シーン


(飛鳥)…あぁ~っ疲れたなぁ~

今日で終わりか~


グター


ぐったりソファーに

もたれかかって大きな

ため息をついた飛鳥


(楓)まだ夏休み

始まったばかりだよっ

今年の夏休みはなんだか

いい思い出がたくさん

できそうだねっ♪

(飛鳥)そうだなー




(飛鳥)…俺さぁ

今日美岬先輩に

コクろうと思ってんだ

(楓)ふーん…



(楓)えっ? あっ

そっ そーなんだぁ… 

いきなりそんな事言うから

ビックリしたじゃんっ

いつ言うの?

(飛鳥)ん~2人きりになれたら

そん時にでも言おうかな…

それか今日も絵を描きに行く

だろうし、その時かな

(楓)そっかぁ…


楓は葵の気持ちの事を

考えて少し下を向いた


(飛鳥)…?

どーしたんだよ?

(楓)えっ?

なにもないよぉっ

…ぼっ 僕は多分うまく

いくと思うよっ!

頑張ってねっ

(飛鳥)そーか?

まっ なんとかなるだろ

(楓)でもこれで成功して

帰って報告したら

良も学も驚くだろうねっ♪

(飛鳥)確かになっ!

いやっ、学は無反応かもな

(楓)あははっ

なんだか分かるかもっ♪

なんて告白する気なのっ?

楓は飛鳥が葵に全く気がない

事を知っている、

葵の気持ちを飛鳥に

伝えても、かえって

葵の気持ちに傷をつけると

考えて胸の奥にしまいこんだ



(楓)っえっ!?

ホントにする気?

(飛鳥)さっきもでき

そうだったしな…

あの美岬先輩の乙女心を

ときめかしてやろうかな

と思ってさっ♪


 … まあ… 葵も言ってたしな …


(楓)え~っ

なんか少女漫画みたい♪

それは絶対きゅんってくるよっ

うまくいくように祈ってるねっ!


楽しそうに男同士

話す2人、静かなリビングも

少し賑やかに見えた


その頃お風呂場の美岬と葵


ぷゎ~っと、

湯けむりが上がる天井


バシャ~ん


浴槽にならんで

腰かけている2人


(葵)はぁ~気持ちぃ…

美岬先輩って

やっぱり夏休みの予定とか

びっしり入ってるんですか?

(美岬)どーしたの?

お姉さんにいっぱい

遊んで欲しいのぉ?


(葵)…  ポチャ (水滴)


以外と図星の葵

下を向いたまま返す言葉が

出てこない


(美岬)ふふっ

夏休みの予定なんて

全くないわよっ

むしろ私が遊んで欲しいくらい


バシャ!

(葵)遊びましょうっ!

美岬先輩との夏休みの予定

いっぱい考えてましたからっ♪

(美岬)びっ ビックリしたわっ

全然いいわよ

あなたが遊んでくれるなら

いっぱい遊びましょう


葵の勢いに

少し戸惑った美岬


(葵)やったぁ~♪

飛鳥達誘ってみんなで

遊ぶのもいいけど

女同士2人でどっか

買い物とか行きましょうよっ♪

(美岬)うふっ

そうねっ! 行きましょ


(葵)なにから行こっかなぁ~♪


首を振りながら

気分の良さそうな葵


…ジー


嬉しそうな顔でジッと

葵を見つめる美岬に


(美岬)あなたってホントに

可愛いわね…

私が男なら絶対に夏川さんの   

処女は私の物だったわっ


葵の方を向いたまま

ボソッと呟いた



ポチャ (水滴)


目を点にし

顔を赤くした葵が

美岬の方へゆっくり振り向く


(葵)… ジー


なっ なっ!

なに言ってるんですかっっっ

(美岬)…?

なにってそのままよ

私なにかおかしな事

言ったかしら?


(葵)……っバシャ


本気で顔を赤くして

勢いよく両手で胸と

あそこを隠す葵


(美岬)なにしてるの?

前にも言ったでしょ

私にそんな趣味ないわっ

私が男ならの話よ

夏川さんは

私の大事な友達よっ


身体を隠していた

両手をゆっくり下ろす


(葵)もっ もうっ

そんな男ならみたいな

例え話しないで下さいよ…

また信じた私がバカみたいじゃ

ないですかっ 


軽く下を向いてムスッとした

(美岬)… 

うふっ 


じっと葵を見つめながら 

なにかを考えた美岬

意地悪な顔をして葵に近づく


バシャッ

勢いよく葵に近づいた



… 

チュッ


(葵)……


勢いよく近づいた美岬は

ムスッとして軽く下を向いた

葵の唇を不意に奪った


(葵)…っっ?

 

下を向いて何が起きたか分からず

とどまる葵、だが

目の前に目をつむって

濡れた美岬が自分の唇に

キスをしている


バシャ~ン


(美岬)さっ もう出るわよっ♪


立ち上がった美岬

なにもなかったかのように

扉の方へ向かう


スレンダーな後ろ姿を見ながら

唖然としている葵


(葵)…えっ?


一瞬の出来事で、なにがなんだか

よく分かっていない葵


クルッ


(美岬)ファーストキス争奪戦は、

これでお互い終わりねっ

夏川さんっ♪


ち ちょっ、まっ


(葵)待って下さいよっ

美岬せんぱい

なにしてるんですかぁ~


バシャ~ん


勢いよく浴槽から上がり

美岬を追いかけた


脱衣場で下着を

着けている美岬


(葵)美岬先輩っっ!

…わっ…

私のファーストキス…

(美岬)なぁに?

私じゃ不満だったかしら?

(葵)そっ そうじゃないですけどぉ

やっぱりファーストキスって

恋する女の憧れじゃないですか…

まさか私のファーストキスが

女の人になるなんてぇ…


真っ裸で立ったまま美岬の後ろで

ショげこんでいる葵と

鏡の前で両手を後ろに

ブラジャーのホックを

引っかけている美岬


(美岬)そんなの関係ないわよっ♪

さっき飛鳥くんと南くんも

してたでしょ?

それに私は満足よっっ♪

(葵)そっそれとこれは

全然違いますよぉーっっ!


美岬の後ろで片足を床に

踏みつけながら怒っていた



…リビング

葵の怒鳴り声が

聞こえた飛鳥達


(飛鳥)葵の声だ…

あいつはなに怒ってんだぁ?

(楓)んー どうしたんだろね

(飛鳥)どーせまた

美岬先輩にからかわれて

顔真っ赤にして怒ってだよっ

(楓)あははっ

それっぽいねっ♪

こんにちは露木こころです。


この小説を見て頂きありがとうございます。

2月25日の投稿遅れてすみません、


これからも投稿していくので

暖かい目で見守って貰えたら嬉しいです。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ