勝負の日
美岬と葵のキス争奪戦
葵は戦線離脱してしまったが
美岬はその事を知らない
1人少し早い時間に起き
3階で絵を描く美岬
美岬は真剣な表情で
絵と向かい合っていた
(美岬)…
集中して
自分の世界に入り込んでいる
美岬は絵を完成させて
葵に見せた時
最高に喜んでくれる
笑顔が何度も頭に浮かんだ
(美岬)…ふぅ
……相変わらず、可愛いぃわね
絵の中の満面の笑顔の
葵を見て呟いき
片付けを始めた、
…
飛鳥達も目を覚まし…
リビングで朝食をとる飛鳥達
モグモグモグモグ
(美岬)あなた達…
朝からよく食べるわね…
国枝も一緒にテーブルを囲んで
朝から騒がしいリビング
楓は昨日から変わらず
飛鳥を無視していた
飛鳥と葵と楓は若いからか
凄い勢いでご飯を食べる
(葵)美味しいなぁ~
昨日の晩御飯の時も思ったけど
国枝さんの料理、美味しいですよね
(楓)うんうんっ
(飛鳥)おれも思ったっ
マジで美味しいです!
(国枝)ありがとうございますっ
そう言ってもらえて嬉しいです
気分の良さそうな国枝
(飛鳥)…モグモグモグ
飛鳥の正面に座る美岬
無邪気によく食べる飛鳥達の姿を
なにか気持ち
良さそうな顔で見ていた
(美岬)飛鳥くんよく食べるのね♪
あら?
飛鳥くん?…よいっしょ
前のめりになり飛鳥に近づく、
近づいたら人差し指を
飛鳥の口元に持っていく
(葵 楓 国枝)…?
箸の動きを止めて
美岬に注目する葵達
チョコン
(美岬)ご飯粒ついてるわよっ
人差し指でご飯粒を
とってあげる美岬
パクっ
ご飯粒を美味しそうに食べた
(飛鳥)…
顔を赤くして
無言で美岬をみる飛鳥
(美岬)どうしたの?
(飛鳥)…いっ いゃ…
ありがとぅございます…
(葵 楓 国枝)っ……
ボー っと美岬を見る葵達
(葵)…あっ 朝から目の前で
イチャイチャしないで下さいよぉ
(美岬)あらっ?
妬いちゃったかしら?♪
(葵)だっ 誰が妬くんですかっ!
飛鳥なんかにっ! ……
(葵)…ジー
(飛鳥)なんで俺を睨むんだよっ
(美岬)うふふっ
美岬を見ている国枝
(国枝)…お嬢様があんな事を…
1年前は人と話している
所も見たことなかったのに…
(飛鳥)ゴクゴク…
あ~っ
美味しかったっ
ご馳走さまでした!
最後に味噌汁を飲みほした
…
朝食の食器を片付けている国枝
ご飯を食べていた
テーブルの椅子に座る美岬
葵を挟んでソファーに座る飛鳥と楓
(国枝)そう言えばお嬢様っ
お昼は、旦那様と奥様が来られると
おっしゃっておりました
外でバーベキューをするので
お腹を減らして
おくように、との事ですっ
(美岬)お父様とお母様が?
ええっ 分かったわっ…
みんな悪いんだけど、いいかしら?
…
少し黙りこむ
(飛鳥)ぜっ 全然いいんですけど…
なんだか緊張するなぁ
(葵)失礼な事とかしたらどうしよう…
(楓)家族水入らずな場所に
僕達邪魔じゃないですか?
(美岬)何も気にする事ないわよっ
友達と別荘に行く事は言ってたから
友達の顔が見たいって前に
お父様言ってたから
あなた達とお話がしたいのよ♪
(飛鳥)お話って…
何話すんだろ?
葵と楓を見た飛鳥
(葵)わっ 分かんない…
なんだか緊張してきたぁ…
(楓)チラッ
プイッ
飛鳥と一瞬目を合わせて
首を反対に反らした楓
(葵)…?
あんた達なんかあったの?
2人の様子に気が付いた葵
(飛鳥)んー…
俺は別になんもないんだけど…
なぁ機嫌治せよ、かえでぇ
悪かったって
(楓)知らないっ!
部屋にいる全員が
2人の険悪な雰囲気に気付く
(美岬) ……?
(飛鳥)はぁ…
スタッ
立ち上がった楓
(楓)ちょっと2階に
スマホとって来るねっ
ガチャ
(葵)あんた何やったのよっ!
楓あーなったら
なかなか許してくれないよ?
(飛鳥)何やったって言われても
プライバシー的な事だよ…
俺も悪気が合った
わけじゎないんだけど…
(美岬)せっかく別荘に来たのに
あんな状態じゃ可哀想でしょ
ちゃんと謝った方がいいわよ
(飛鳥)そんな事言われても…
まともに話してくんないんですよ
(飛鳥 葵 美岬)………
…
(美岬)まあいいわっ
私はお父様達がくるまで時間が
あるから3階に上がるわねっ
絵も別荘にいる間に
仕上げれるかギリギリだから
スタッ
立ち上がる美岬
(飛鳥 葵)…
少し寂しそうな顔で首を上げて
美岬を見つめる飛鳥達
ガチャ
…
(美岬)はぁ…
リビングから出て
扉の前で重いため息を吐いた
(葵)っで?
あんた何したのよ?
(飛鳥)はぁ
昨日風呂場で…
あいつの身体をいじったんだよ
それで、女に生まれてたら
お前モテてただろーなー
って言ったら… 怒った
(葵)サイッテーね
まあ確かに楓は可愛いけど…
(飛鳥)あんなに怒ると
思わなかったんだよっ!
(葵)昔から楓は
怒ったら頑固だもんね
(国枝)…南くんは
意地になってるんですよ、
片付けを済ましてきた国枝
(国枝)そういう時は
何度謝ってもダメだと思いますよ
余計に意地をはって些細な事でも
お互いに話しにくくなるのが
おちですね
(飛鳥)じゃあ…
どーしたらいいんですかね… ?
(国枝)怒らした本人が言っても
相手にしてくれないですから
夏川さんが説得しに行くのが
まだ最善かと思いますよ?
(飛鳥)…葵!
ジー
葵を見つめる飛鳥
(葵)はぁ…
分かったわよっ!
なんとか言ってみるね
…
楓のいる部屋
楓はベットに座って
携帯を触っていた
ガチャ
扉が開いた
(楓)…?
…美岬先輩?
どうしたんですか?
(美岬)あなたの様子が
おかしいから見にきたのよっ
扉にもたれ掛かる美岬
(楓)別になんにもないですよ…
(美岬)だったらどうして
そんな暗い顔してるの?
(楓)…そっ
そんな顔してないですよぉ♪
(美岬)…そう?
みんなで別荘に来たのに、
もっと楽しくしましょう?
なにがあったか分からないけど
飛鳥くんも悪気が合って
やった事じゃないと思うわよ?
(楓)…
(美岬)あなたも分かってるでしょ?
(楓)っ……
(美岬)せっかくなんだから…
せっかくみんなで来れたんだから…
楽しい思い出作りましょ?
ニコッ
微笑みながらで楓を見つめた美岬
(楓)…はぃ
少し悲しそうな顔をする楓
(美岬)意地になるのは、分かるけど
意地になれば、なるだけ
自分の首を締めるのよ…?
…
私はもう… 3階に上がるわねっ
(楓)…
…ガチャ
部屋から出た美岬
(美岬)…はぁ…
悲しそうな顔で3階に上がった
楽しみにしてた別荘が
こんな形でギスギスすると
思ってなかった美岬
どうにか仲直りをさせてあげて
残りの別荘を楽しく過ごしたかった
楓のいる部屋の近くに隠れていた葵
部屋の中の話を盗み聞きしていた
(葵) …美岬せんぱぃ…
そのままリビングに戻った葵
(葵)私が部屋の前まで行ったら
美岬先輩が楓と話してたんだけど…
(飛鳥)…!?
(国枝)お嬢様が…?
美岬が話していた
内容を大まかに説明した葵
(飛鳥) …
(国枝)お嬢様がそこまで
言ったのなら、後は南くんが
許してくれるのを
待つべきですね
(飛鳥)はっ はぃ…
(葵) …美岬先輩 絵もあるし…
キス…
どころじゃないのかな…
暗い顔で下を向く葵
…
国枝もどこかに行き
静かなリビングの中
葵と飛鳥はソファーに座り
無言で携帯を触っていた
(飛鳥)…なぁ 葵?
(葵)んー?
(飛鳥)ちょっと3階行かね?
(葵)んー 行かない
行ってきたら?
(飛鳥)暇だし行こうぜっ
(葵) …
あんた行って来なよ、
私ここにいるからっ
少し強気で答えた
(飛鳥)…?
ふーんっ そうか? よいしょっ
なら行ってくるな♪
ガチャ
…扉を見つめている葵
3階で絵を描いている美岬
ポタッ
冷房は入れているが
集中しているせいか
汗が顎から垂れ落ちる
(美岬)…
(飛鳥)…カタッ カタッ カタッ…
ピタッ
物音の全くしない3階に上がり
動きを止め美岬を見ていた飛鳥
(飛鳥) …なんか …
すげぇ絵になるなぁ…
あの人の絵を描く姿…
…
美岬の絵を描く姿をジッと
見つめている飛鳥
(飛鳥)…すごいですねぇ
(美岬)っ!? バッ
…
…飛鳥くん?
ビックリさせないでくれるかしら…
急いで絵を隠すように
立ち上がり、ホッとする美岬
(飛鳥)すっ すみません…
なんで絵を隠すんですか?
(美岬)完成するまで
見られたくないのっ
バサッ
絵に布をかける
その頃、リビングに下りた楓
タッ タッ タッ
ガチャ
…ソファーに座る葵と目を合わす
(楓)…あれ?
夏川さん?飛鳥は?
(葵)飛鳥なら3階に上がったよっ
(楓)3階? そっか
ちょっと行ってみるっ
ガチャ
階段へ向かった楓
(葵)…っえ?
ちょっとっ!待ってっ
かえでっ!
(楓)っ…?
…
静かな3階、
明るい太陽の日差しが差し込む
だだっ広い部屋の中
日陰になっている隅っこの壁に、
もたれ掛かって
1人分の感覚をあけて
座っている美岬と飛鳥
話が全然弾んでいない様子の2人
…
(飛鳥)…美岬先輩の
お父さんとお母さんって
どんな人なんですか?
(美岬)…えっ?
お父様とお母様?
どうって言われても…
普通の人よっ どうして?
(飛鳥)いゃっ…
なんとなく…
…シーン
飛鳥は美岬の事が好きという事
を確信して、美岬との接し方を
意識しているせいか会話が続かない
その点美咲は
(美岬) …
キス? …って
どうしたらいいの
全然分からない…
美岬は意外にも
キスに苦戦していた
顔を赤くし、
緊張して黙り混んで下を向く美岬
チラッ
(飛鳥)… ?
美岬先輩、どうしたんだろ…
なんかいつもと違うな…
(飛鳥)なんか調子悪いですか?
(美岬)そっ そんな事ないわよっ
チラッ
飛鳥の顔を見た美岬
目が合う
(美岬)っっっ… ッバ
顔を赤くして顔を下に向けた美岬
(飛鳥)?
…
すっ すみません
俺…邪魔でしたね…?
(美岬)えっ?
ぃっ…
スタッ
立ち上がった飛鳥
(飛鳥)下りますね…
絵、完成できたら僕も
見してくださいねっ♪
てく てく てく
(美岬)…っ…
声をかけたい、
でもかけれない美岬
…
意外にも美岬はキスには
奥手のようだった
いつもの大胆な行動や発言は
何も思わないが
いざ、キスとなったらどう行動に
移したらいいか分からない
唇と唇を合わせる、という行動に
恥じらい、ためらい、もどかしさ
乙女な心を抱いていた
なにか言いたそうな美岬、
でもなにも言えずに
飛鳥の後ろ姿を見ていた
飛鳥が下りて行き
1人になった部屋の中
唇を軽く噛みしめ
寂しそうに絵に向かい合った美岬
…
リビングで暗い話をする葵と楓
(葵)…だから、
もう美岬先輩の
応援する事にしたのっ
(楓)…
飛鳥も美岬先輩も
多分ほっといたら
くっつきそうだけど…
ソファーに座って
暗いガールズトークをする2人
(楓)でも
夏川さんそれでいいの?
僕もだし、良や学も
夏川さんが飛鳥の事
ずっと好きなの知ってたから、
なんだか…
…
(葵)うんっ
もうこれでいいのっ
私の気持ちは、
どうせ一生片思いだし…
美岬先輩なら…いいよ
ギュー
どこか悲しそうな葵
クッションを強く抱き締めた
(楓)…そっかぁ
ガチャ
(葵)…あれ?
あんたもう下りてきたの?
美岬先輩に告った?
っ!
(飛鳥)っ!?
いきなり何言ってんだよっ
てかっ
楓の前で言うんじゃねーよっ!
(葵)楓だって知ってるよっ
ねぇ?
(楓)そんなの、あすか
見てたら分かるよっ
しかも結構本気でしょっ?
(飛鳥)そっ そうだょ…
楓に普通に話しかけられて
扉の前で少し驚いている飛鳥
(楓)あのね飛鳥…
意地になっててごめんね…
(飛鳥)えっ?
なっ… なんでお前が
謝るんだよっ
謝んのは俺の方だろっ?
(葵)てか… あんた
なんで下りてきたの?
(飛鳥)なんでって?
美岬先輩の絵の邪魔かなと思って
(葵)ふーん…
…美岬先輩、なにも
してないんだ…
…ガシャン
?
玄関の方から音が聞こえた飛鳥達
ガチャ
(飛鳥 葵 楓)……っ!?
(美岬父)おっ?
君たちが美岬の友達か?
はじめましてっ
バッ
3人とも勢いよく立ち上がった
(飛鳥)えっ えっと…
美岬先輩と仲良くさして
もらってます… いっ 和泉です…
…
戸惑いまくる3人
ちょっと…
(美岬母)驚いている
じゃないですかっ
美岬の父親の後ろから
現れた美岬母と国枝
(美岬母)こんにちはっ
美岬の母親ですっ♪ ニコッ
美岬に雰囲気の似た
鼻筋の通った綺麗な顔の
スカートの長い
花柄のワンピースに
薄でのカーディガンを
羽織った美岬母
色黒でゴリゴリの若気なおじいさん白のポロシャツに
デニムの短パンを履いた
美岬とは似ても似つかない美岬父
こう見えても知る人ぞ知る
大手企業の社長をしている
…ん? 美岬はどこじゃ?
辺りを見渡す美岬父
(葵)あっ 美岬先輩は
3階に上がってますっ
(美岬父)またあの子は…
まあよいか、それより和泉くんっ
と…? 君は女の子か? 名前は?
(楓)…いっ いぇ男です…
南です…
(飛鳥 葵)ッププ
楓を見て頬っぺたを膨らまして
笑ってしまった飛鳥と葵
(楓)むーっ
頬っぺを膨らまして
ムスっとしている楓
(美岬父)南くんっ
悪かったのうっ
男の子の2人は
私とバーベキューの
仕度をしてもらうぞっ♪
(飛鳥 楓)は はいっ
(美岬母)あなたと美岬と国枝は
食材を手伝ってもらうわねっ?
(葵)はいっ
国枝?
美岬を呼んできて
もらっていいかしら?
(国枝)かしこまりました




