第二話 〜契約〜
「あれ? 痛みがない?」
いつまでも、痛みが襲ってこないことに疑問をもった朧は目を開けた。
朧の目に映ったのは、二匹の大型の犬が大槌の攻撃を受け止めている姿だった。
「なんで、犬が僕を庇ってるんだ!」
朧はあわてて後ろを振り返るがさっきまで後ろにいた二人の少女の姿は無く、もう一度大型の犬を見てみると、角が生えている方の犬は毛並みが黒色で瞳の色は琥珀色、角の生えていない方の犬の毛並みは白色で瞳の色は銀色と二人の少女と特徴が一致していた。
「君たちはもしかして」
朧は驚きながらも二匹の犬に話しかけた。
「あはは……バレちゃったね」
「そうだよ、先までお兄さんと一緒にいた二人だよ!」
「ようやく本性を現したな」
「どうだった? 関係のない人を騙してた気分は楽しかったか?」
柱は、ニタニタと馬鹿にしたように笑いながら言った。
そんな、柱の言葉に二人(二匹)は落ち込んでいた。
「二人を馬鹿にするな!」
「僕は、二人に騙されたなんて思って無い」
「本性が犬だったから何だってんだ可愛いじゃないか」
そんな二人の姿を見た朧は、二人を庇うように言い放った。
「青臭い事言うね〜」
「せっかくの雰囲気が台無しだ!」
柱は、イライラしながら言った。
「朧さんは怒ってないのですか?」
「なんで、二人に怒る必要があるの?」
朧は、姉の質問に疑問で返した。
「あはは最高だよお兄さん!」
「うふふ朧さんは面白い人ですね!」
二人はそんな朧の言葉に可笑しそうに笑みを浮かべていた。
「僕そんなにおかしな事言ったかな?」
「そんな事無いよ」
「そうですよ」
「お姉ちゃん」
「そうだねこの人なら契約してもいいと思うよ」
「さっきの自己紹介の続きをさせてね!」
「私は狛犬の白華っていうんだよシロって呼んでねお兄さん!」
「私は姉の狛犬で黒華っていいますクロと呼んでください朧さん!」
「お兄さん『朧さん』は私たちを受け入れてくれますか?」
二人(二匹)は朧を見つめながら聞いてきた。
「僕は何にも知らない一般人だけどそれでもいいの?」
「うん! そんなお兄さんだからいいんだよ!」
「そうですよ朧さんそんな人だから心を許せるんです!」
「わかった! こんな僕で良ければ一緒にいるよ」
朧は震えながらも決心した。
<クロside>
「ようやく本性を現したな」
「どうだった? 関係のない人を騙してた気分は楽しかったか?」
そんな、男の不躾な質問に1人で考えていた。
「私たちが本当の事を伝えなかったのがいけなかったのか」
「私たちは朧さんを騙していたのか」
「私たちのせいで朧さんを危険な目に合わせてしまったのか」
悪い事がぐるぐる頭の中を駆け巡っていた。
「二人を馬鹿にするな!」
「僕は、二人に騙されたなんて思って無い」
「本性が犬だったから何だってんだ可愛いじゃないか」
そんな私の思考が闇に堕ちようとしていた時、朧が光を与えてくれた。
この時、私はこの人に着いていこうと心に決めたのだった。
<クロside out>
To Be Continued…