5話 また現れただけですが一応お話の続きでも
一時間後。
やっと佑樹?シエル?(まだ佑樹でいいよね!)を泣き止ませ兄ちゃん?がまた居なくなったら。
来ましたよ!
あの死神野郎が!
佑樹を泣かせやがって!
「ちょ。睨まないでください…。そりゃあ悪かったですよ…。うっかり地雷ぶち抜いたんで…本当すいません…」
すどーんと落ち込み床へめり込んでいく死神。
鬱られました。
あ、いや、ごめん。
言い過ぎましたよ。
ごめんって。
「だぶ(ちょれぇ)」
「ちょろいですね」
うっせ!
ちょろくないわ!
つか死神お前反省してないな!ゴラァ!
「いや、してますよぉ…。お二人が赤子に戻ってるのを忘れてました…。感情とか生理的衝動は肉体に引きずられますからねぇ…」
「だぶぅ…(つい先程それを思い知ったわぁ…)」
遠い目をした佑樹に俺は強く頷いた。
ですよねぇ。
かなり大変でしたよ。
兄ちゃん?と二人でめっちゃ頑張ったからな!
「だ(面目ねぇ)」
「あぶぶ(仕方ねぇな)あーぶ(許してやるよ)」
つか死神なんでまた来た?
説明終わったんじゃねぇの?
「あー…。大体終わりましたけどねぇ…。僕が説明しなきゃいけなかったのは記憶をもって転生してしまった理由ですし…。まぁ余計なことまで言って泣かせてしまいましたけど…」
再度鬱しだして壁の隅で体育座りをした死神。
おーい。
俺ら部屋の真ん中に居るから見辛いんだけど。
「あぁ、すいません…。まぁ、ほら、あの時また現れますぅ!とか言っちゃいましたし?ここは現れておこうかな、と思いまして…」
まさかの何もないけど現れちゃったパターン。
えー。
なにこれどうすんの?
「いやまぁ、現れたからには取り敢えずこの世界のことでも軽く説明しますかねぇ…。どうせ帰ってもあの姉弟に雑用押し付けられるかあの神に二人の魂どこだー!と追いかけられるかの二択ですし…。ははっ…」
さっきも思ったけどこいつスゲー根暗!
「あの姉弟面倒なんですよぉ…。僕がパシりやすいって知るとあれこれ押し付けてくるんですからぁ…。でも言い返せないしぃ!…はぁ。鬱だ」
いや、それはあれだ。
ほら、な?
「あぶ(パシり確定どんまい)」
佑樹が言っちゃったよ!
「赤子にすら哀れまれた僕って…」
うじうじうじうじうじうじうじうじうじうじ。
あー!面倒くせぇ!
この世界説明すんならさっさとしてくれー!
「あぁ、そうでしたねぇ…。まぁ、ざっくり言うとファンタジーな異世界です。はい」
ざっくりすぎる!
ざっくりすぎるよ!
バタバタ手足を暴れさせ抗議。
ちなみに隣の佑樹も同じことをしていた。
「ええー。もう少し詳しくですかぁー?えーとですね…」
死神の話によると。
俺達の居る世界はセシリア。
魔法が大きく占めるファンタジーな世界で逆に科学は全く進化してない。
科学の代わりに魔法が発展してるらしい。
俺達も魔法使えるようになるのかね。
ちょっとワクワクする。
セシリアには世界というか大陸?が大まかに3つに分かれて存在している。
3つの世界が重なりあってそれぞれ大陸として一つの世界となっているのがセシリアと呼ばれる世界らしい。
そしてその3つの大陸同士はお互いに渡ることがかなり難しい。
渡るには重なりあう3つの大陸の中央部分が海に囲まれた巨大な森だけがある島となっておりそこにある扉と呼ばれる境界を抜けるか、転移魔法(転移とかすげえ滾る!)で互いの大陸に移動するかしかないらしい。
まぁ転移とかは超一流しか使えないらしく、基本は森の扉を抜けるか国管理の転移扉(通過料もの凄くお高い)で渡るしかないらしいけど。
大陸名は天大陸、人大陸、魔大陸で分かれてるとのこと。
見事にどれがどれか分かる名付けだわ。
どう考えても天大陸=天界とか天使、人大陸=人界つーか人間が住んでる、魔大陸=まぁ魔族とか魔物とか?だよな!
死神によると見事にそうでした。
で、俺達が住んでいるのはなんと中央にある森の中に存在する村らしい。
3つの大陸から疎まれたり訳あって大陸では住めない人々が隠れ住む小さな村。
全ての大陸から疎まれ住む所さえなかった人々が森へ隠れ住みそんな人々が集まるにつれ小さな村となったらしい。
森にはそんな村が二つ存在していてその一つが俺達が住む村である、とのこと。
おうふ、となりました。
そして聞けば。
案の定俺達の父さん母さんは天族と魔族の禁断の愛だそうです。
最初見た時から予想はついてたけどな……。
まぁ、詳しい種族説明は面倒だしまた今度で、と省かれたが。
天族とは人の容貌で背に翼が生えた種族。
その中でも天輪が有する者は王族らしく、また神の使いにも使われることもあるため天使と呼ばれるらしい。
父さんはその天使だそうだ。
また魔族とは人(エルフとドワーフは人族の括りらしいよ)でも天族でもない存在全てが魔族と呼ばれるらしく魔族と呼ばれるからには魔王もいる。
そしてその魔王の種族は必ず悪魔となっている。
勿論悪魔は蝙蝠っぽい羽根と上に尖った耳がある。
つまり魔族にとって悪魔は王族といってもいい。
そして。
母さんはその悪魔だそうですよ。
………………なんかすごいな。
これ、いうなれば天使と悪魔の禁断の愛だろ?
もしかして駆け落ちエンド!?
「もしかしなくても駆け落ちエンドですけどね。…まぁお二人はもうちょっと複雑な事情ありますけど複雑過ぎてねぇ…。あ、お二人はさらにバレるのやばくなりましたけどね」
「だ、だぶ…?(ま、まさか悪魔と天使の子供でしかも双子は禁忌とか…?)」
「そうなりますねぇ。まぁ、争う者同士の混血はあまり望まれないでしょう。基本的に混血は望まれない傾向がありますし…。双子はどうも呪われているという認識が覆りにくいですし…。しかも遥君は天使、佑樹君は悪魔の双子ですからねぇ…。その様な双子はあらゆる世界見てますけどかなり!居ないですよ?お兄さんだけはパッと見は純天族で天使に見えますけどねぇ…」
え。
今なんか衝撃の事実出なかった!?
「はい?なにかありました?」
「だぶ!(いやいや!)だ!(あったわ!)」
「あぶぶ!(俺が天使で佑樹が悪魔!?)」
人間じゃねぇのは父母が天使悪魔でなんとなく察してたけどまさか二人して違うんかい!
あと、やっぱ双子禁忌かよ!
「あぶぅ…(俺達前途多難だわぁ…)」
「あー…。まぁ、生きてれば良いこともありますよ。ボクはないですけどね…。ははっ…」
さりげなく鬱るなよ。
ほら、悩みくらいは聞いてやるぜ?
聞くだけだけどな。
「………………………ボクの愚痴は長くなりますよ?」
「「(仕方ねぇな。聞いてやらんこともない)」」
「………………………うぅ。聞いてくれるのは貴方方のみですよぅ…。ボクそれなりに死神として強いので皆死の気配嫌がってなかなか聞いてくれないんです…」
涙が濁流の様に溢れ出す死神。
こいつ案外不憫だな。
そして死神は。
なんと父さん母さん兄ちゃんの三人が来る五時間程まで愚痴り続けてました。
どんだけ溜まってたん…。
死神哀れだわ…。
あ、ちなみに死神とは仲良くなりました。
ちょくちょく愚痴りに来ますねっ!
そんな言葉とともにスゲー笑顔(ホラー系だった。絶対何人かやってる感じの狂喜の笑い方だった…!)で去っていった。