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突き飛ばされて異世界転生しました  作者: 有利
第一章 転生~今世の俺は超美形~
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4話 転生の後にはお約束の説明を

目が覚める。


見えたのは全く知らない部屋の薄い茶色の天井だった。


視界には俺に全く記憶のない机や本棚とか最低限の家具が柵ごしにチラリと掠める。


下にはふっかふかの毛布の感触。


恐らくだけど布団だかベットだかに寝かされてるっぽい?


じゃあ病院か?


いやでもこんな生活感溢れる病室なんてねぇだろ。


だけどどう考えても俺の家とか佑樹の家じゃないのは確かだ。


ここどこだ?


疑問が浮かんだ。


しかし。


つーか待て?


すぐさま新たな疑問が浮かぶ。


俺死んだはずだよね?


確かに佑樹のストーカーヤンデレ女子に突き飛ばされて屋上から落ちたはず。


その後の記憶が全くねぇけどまさか助かった?


いや!それはないよな!?


学校の屋上から落ちたら死ぬだろ!


よくホラー系とかドラマとかでも落ちて死んでるし!


つーか体が動かねぇ‼


首も左右に向けられないし起き上がることもできない!


せめたて出来るのは手足バタバタくらいか!?


「ふえっ…」


バタバタ動かしていたせいか漏れる声。


え。なにこの高め声。


俺から出たと思うけど…。


俺こんな高い声は出ねぇよ?


え、もう意味分かんねぇ!


誰か説明プリーズ!


あ!なんかすげぇ泣きたくなってきた!


「「ふええええええええええん!」」


おう!?なんかダブルサウンドした!


じゃなくて!


もう一人居るの!?


誰だよ!


俺は首を動かそうとするもやはり動かない。


手足を再度バタバタさせながら体を捻ろうと暫く奮闘し。


なんとか体を横にすることに成功した。


その結果そこにいたのは。


「あぶぅ」


可愛らしい顔をした赤ちゃんでした。















はあああああああああああああ!?













~しばらくお待ちください~













………………………………………………ふぅ。


ちょっと驚いて更に泣いてました。


そしたら。


「母さん!父さん!ノエルとシエルが大泣きしてるよ!?」


「なに!?どうした二人とも!」


「あらあらー。おしめかしら?」


なんか知らない3人がばんっという音をたてて扉から飛び出てきた。


まだ遠いのでよくは見えないがその3人は見る限り若い男女と7、8歳位の少年だな。


ほぼ勘だけど。


3人は慌てつかつ静かに俺と幼子の元へ来る。


あ、やっぱり合ってたわ。


そして布団の横に3人仲良く並んで座り。


女性はもう一人の赤ちゃんを抱き上げ。


男性は俺を抱き上げてきた。


嘘だろ!?


俺そんな軽くねぇはずなんだけど!?


そんな心の突っ込みなんぞものともせず男は俺を抱き上げ優しげな顔を浮かべる。


「ノエルどうした?怖い夢でもみたのか?」


「あぶ」


いや、あんた誰だよ。


そう言ったつもりがでたのは「あぶ」でした。


くっそう。


泣きたい。


くしゃりと崩れる俺の顔を見て焦る男。


それを見た少年はズバッと切り込んだ。


「父さんの顔が怖いんじゃない?ノエルー。こっちおいで?」


「だ」


おし。少年。俺はそっち行くぜー。


よく分かんねぇけどな!


「そうか…。俺の顔は怖いか…」


あ。なんか男が絶望の顔を見せてきた。


なんかごめん。


ちょっと心が痛むわ。


「あぶぅ」


少年の腕の中から手を伸ばす。


すると男は美しい笑みを炸裂してその手を優しく握ってきた。


つか、コイツらかなりの美形だなおい!


男性は癖毛のある銀髪ですっげぇ男前だし。


まじで精悍な顔立ちってこう言う男性のことを言うんだな、って思った。


俺を抱き締めてる少年はその生き写しみてぇな、こう、この男性が小さい頃はまさにこの少年なんだろうなーってくらい似てて少年特有の幼さがあるし。


つまりかなりの美少年だ。


そして二人ともふわっふわそうな白い翼と金のリングが頭上にある。


何でやねん。


人間じゃねぇ!?と思いました。


で、女性の方はなんかもうヤバイ。


いや、なんつうかさ、これぞ傾国の美女!って感じなんだよな。


全てのパーツが完璧な造形をしていて女性らしい美を凝縮したらこの人を現すんだろうなー。


蝙蝠の羽根と尖った耳が見えるけど。


……………俺達の家族?人外の可能性あるなこれ。


ん?ということは?


つまり俺達も………?。


いや、今は考えないでおこうっ!


俺の目があれなのかも知れないし!


それにしても美形度が佑樹や和兄レベルって久しぶりに見たわー。


「お腹すいてたみたいねぇ。シエル終わったから次はノエルね」


そう言った女性に目線を向けると幼子は男性に渡されげっぷをしていた。


そして俺は少年から女性に手渡される。


ん?


お腹すいてた?


え。


ちょっと待って。


ちょっと待って!?


それってつまり赤ちゃんのご飯タイムだよね!?


赤ちゃんのご飯ってつまりはあれだよね!?


あのご飯なんだよね!?


ねぇ!ちょっとまーーーー……。



















げぷぅ。


俺は女性の肩に顔を持たれかけてげっぷをする。


俺は…。


俺は男として…いや人としての何かを失いました(泣)…。


その後女性が抱えあやされる。


そして。


俺は気づいた。


今の体が物凄くちみっこいことに。


だからこそ動けず手足バタバタしかできなかったことに。


気づいてしまった。


そう…。


俺は…。








赤ちゃんに転生しちゃってるよな!?








ということに。


嘘だろ!


誰か嘘と言ってー!


そう叫びたいけど全く出来ませんでした。


いや、確かに小説とかで良くあったけど!


俺結構好きなジャンルだったし!


転生というものがまさか本当にあったとはね。


ビックリしたわ。


その事実ちょっと受け入れたくないぜ…(遠い目)


そしてふと気づく。


あれ、じゃあ、佑樹も転生してんのか?ということに。


恐らく同じ時同じ場所に死んだであろうなので俺が転生してるなら同じく転生してるといいなと思う。


もしかして隣の幼子が佑樹だったりしてな!


あははは。


そんな訳ないか!


いやおい、今フラグたった気がする。


いやいや!


そんなことあり得ないよな!


今この現状もあり得ないけど!


「だぶ(俺もそう思いたかったぜ)」


!!(⊃ Д)⊃≡゜ ゜ ま じ で !


頭に響く言葉は確かに佑樹の声だった。


「あぶ!?(嘘だろ!?)」


「だー(嘘じゃねぇよ)だぶぶ!(俺だって嘘だと思いたかったし!)だぶぅ!(なのにお前の声ずっと聞こえるし!)だぶ?(つかなんで俺ら話せるんだ?)」


「あぶん!(知らねぇ!)」


男性と女性に抱えられたまま向き合うように二人でバタバタ手を振り合う。


その姿をは仲良しに見えたのか3人はめっちゃいい笑顔を浮かべた。


「あらあら。仲いいわねー。やっぱり双子だからかしら?」


「なら俺二人とも抱っこする!一緒にしてやらないと不公平だからな!ノエル、シエルお兄ちゃんだぞー!」


二人から俺らを渡され二人して自らを兄と呼んだ少年はムギュッと抱き締める。


「「あぶぅ(苦しい)」」


「セイン。二人が苦しがってるぞ。少し弛めてあげような」


「そうね。ご飯飲んだから少しお腹一杯だしね」


「分かった!じゃあ、おねむの時間だね!」


「そうねぇ。少し休ませてあげましょうか」


「そうだな」


「はーい!ノエル、シエルおやすみっ!」


兄ちゃん?少年?チュッと俺らの頬に口付けて先程の布団に寝かし暖かい毛布を掛けてくれた。


そして3人はまた居なくなった。


そして考える。


多分あの3人は今世の俺と佑樹の家族なんだろうなー、ということを。


少年は兄ちゃんだぞって言ってたし。


女性は…ゴニョゴニョ…しくれてたし。


え?


聞こえない?


うるせっ!純情な男子高校生なんだよ俺は!


何より男性は俺の一挙一挙に一喜一憂してたし。


流石に何でもない赤ちゃんに一喜一憂はしないだろ。


3人は俺の事をノエル、佑樹の事をシエルって言ってたし。


でも、あー、そうか。


やっぱり俺ら死んじゃったんだな。


ちょっと突然すぎて未だに実感わかないけど。


(本当にな。まさか転生するとは思わなかったけど死んじまったんだよな…。和兄と秋姉泣いてんだろうなぁ…)


本当だよなぁ…………………………………………おい。


(何で聞こえるんだよ)


(だからさっき俺も聞いただろうが)


(そうでした。てへっ)


(てへっじゃない!だいたいなぁ…)


二人でそんなグダグダな会話を続けていると。










「あーもう!ほんっとあの姉弟なんなんですかね!ボクパシりか!」


知らない男が何もないとこから現れました。


そして俺らを覗きこむ。


男は黒いローブを着てフードを深く被っていたが俺らが下に居るので顔が良く見れる。


男の風貌は。


絶対何人か殺っちゃってそうな暗殺者みたいな顔をしていた。


しかも鎌を持っている。


この容貌で黒ローブに鎌…。


つまり…?


し…。


死神だー!?


「「ふええええええええん!(死神だーーーー!)」」


やっぱ佑樹もそう思うよな!


あ、なんか俺泣いちゃった!


つか佑樹?シエル?も泣いちゃってんじゃん!?


兄か弟か知らねぇけど守んなきゃ!?


「ぶううううううううう!?」


膨れ顔しかできねぇー!


「ああ!ちょっと落ち着いてくださいお二人とも!ボクは怪しい者ではありません!ただの一端の死神なんですよぅ…」


いや!?充分怪しくね!?


「あぶあぶ!(それ充分怪しいぞおい!)」


「いや、そう言われるとそうなんですが…とにかく今のお二人の状況を説明しにきたんですよぅ…」


「だぶぅ?(俺らのことなにか知ってるのか?)だ、だぶだぶ(つか、なんで俺らの声分かるし)」


あ!


そうじゃん!?


なんで俺らの声分かるんだ?


俺ら傍目にはあぶーかだぶーしか言ってねぇのに。


つか、そういえば俺ら家族の話分かってたんだよなー。


日本語と違うってのは何故か分かるのに。


何でだ?


「あぁ、言葉が理解できるのはですねぇ…。お二人にはボクの上司達…が翻訳の加護をつけられたんですよ…。転生させてから魂に記憶消去を施すのを忘れてたのに気づいたらしく…。転生させちゃったら魂いじれないので…。こちらのミスですしまた言葉覚えるのもう不可能に近いですからねぇ…。まぁ、そんな訳もありボクはそもそも全世界を渡る死神ですから…。ばぶばぶとかわんっしか人語言わない魂とかありますし…。そんな方々を相手してたら…ははっ…。いつの間にか理解出来る様になりましたよ…」


おうふ。


なんか大変だな。


そう言ったら何か茸が生えてくるレベルで更にどんよりし始めた!


おーい。


死神のあんたが知ってるらしいこと話してくれないと進まないんだが。


「あぁ、すいません…。実はお二人の死は本当に予定外の死で…。しかもその死にはとある上級神が関わっていまして…。その尻拭いといいますか…。ボクの上司達…つい先程そうなっちゃったんですけどね…。はぁ…。まぁ、いいです…。その上司達は世界間の転生や境界を管理してる姉弟でしてね…。姉弟が尻拭いと言うかまぁそんな感じでお二人を転生させたんなですよねー…。すいません」


………………うん。


一ついいかな死神さん。


「あ、どうぞ…」


あの死に際で何処に上級神関わってたんだ!?


「あー…。やっぱそう思いますよねー…」


「だぶだぁ…?(ならつまりあの女子は俺の顔に狂ったストーカーヤンデレ女子じゃなかったのか…?)」


「あ、それは違いますよ。あの子はれっきとしたストーカーでヤンデレてました」


「だぶっ(ぐはっ)」


ちーん。


佑樹は致命的ダメージを食らった!


まぁあんだけ狂ってましたしねー。


俺怖かったもん。


「だぶぅ…」


声が聞こえなくなるほどショックでしたか。


まぁ、理解できるけどな。


で。


じゃないならどうして上級神とやらが関わってたし。


「ちっ…。上手く逸れたと思ったのですがねぇ…」


「「(逸らさせるか)」」


この死神ただの根暗気弱だけじゃねぇ。


さりげなく図太いぞ絶対。


ストーカーヤンデレ女子が理由じゃないなら何で上級神とやらが関わるんだよ。


「どうやって上級神が関わっていたかといいますとね…」


「「(…ごくり)」」


「その上級神は佑樹君…今はシエルさんですねー。まぁ、佑樹君でいいですね…。で、佑樹君に物凄く執「ふええええええええん!」あああああ!?泣かないでくださーい!?」


いやそりゃ泣くだろ!


佑樹は家族以外が自分に執着するのかなりのトラウマなんだぞ!


俺らの事知ってんならそれも知ってるよな!?


「いや、まぁ、知ってますけど…」


「ふええええええええ!」


「シエルー!?どうしたの!?怖い夢でも見ちゃった!?」


ほら、兄ちゃん来ちゃったぞ!?


死神どうすんだ…っていねぇし!


(すいません!お兄さんとかご両親への説明面倒くさいんで!また二人になったら現れます!)


てめぇこんにゃろおおおおおお!



















結局。


佑樹を泣き止ませるのに一時間かかりました。


死神覚えてろよ!


(すいませーん!)

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