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AppleStir  作者: んご
8/26

7話

人物紹介は今回登場したキャラの名前が出た後に投稿します

??視点



それは休日少し遅めの朝ご飯の後、珍しく揃った家族三人で出かけようと準備をしていたときのこと、私はとくにすることも無く両親が準備をしているのを自分の部屋で窓の外を眺めて待っていた。

「ふんふんふーん…ん?」

ドンッと遠くで花火が上がったような音がして私は音がした方へと目を向ける。

「なっ!?」

そしてありえない光景に自分の目を疑った、家から1kmほど先特に高い建造物もなく2階の私の部屋からいつも見えていた綺麗な銀色に輝く壁…魔物の侵入を防ぐ為の国の回りに張り巡らされている巨大な防壁の一部に大穴が空いていた。

そしてその大穴から大量の魔物が待ちに侵入しているのを見て部屋を飛び出す。

叫びながら急いで階段を駆け降りる

「お父さん!!防壁が!!逃げないと!!」


「おい、どうしたそんなにあわてて」

先ほどの音を聞いて気になったのか外の様子を伺っていた父親がいつものようなのんびりとした口調で、しかし私の顔を見て少し心配そうな表情でたずねてくる。


「私の部屋から防壁が崩れてるのが見えたの!!逃げないと!!」

私が早口でまくし立てるように話すと父親は血相を変えて私に「母さんと車に乗って待ってろ」と言い残して自分の部屋に走った。


キッチンで食器の片付けをしていた母親も話は聞こえていたようですぐにガレージにへとつながっている勝手口の方へと急ぐ

「急ぎましょう」

そう言って母親が私の手を取った瞬間


ドガシャ

「ひっ!!」

家の壁が大きな音を立てて崩れる、突然のことにパニックになった私は腰を抜かしてしまいその場にへたり込んだ。


「早く!!逃げるわよ!!」

母親が震えた声で叫びながら私の手を掴んで無理やり立たせる、そのまま私の手を引っ張って勝手口を開けるとそこには化け物が立っていた。

テレビや本でしか見たことのない今までずっと自分とは関係ない世界の物だと思いこんでいた魔物がそこにいた。


恐怖のあまり動けなくなったに覆いかぶさるように母親は私を庇う、しかし化け物の氷のような冷気を放つ爪は母親の背中から胸元を貫通し私の右頬を掠めて切り傷を作った。

ごぽごぽと口から血を溢れさせ動かなくなった母親の下で私は動くことも出来ず魔物の放つ冷気に凍えながらただ祈ることしか出来なかった。

だから私は父親が部屋からハンドガンと車の鍵を手に持って出てきた瞬間心底安心した、安心してしまった。


「この化け物が!!」

パン!!パン!!

血まみれの母親を見た父親は青ざめた顔で魔物に向けてハンドガンのトリガーを引く。

だが父親が持っていた銃は民間向けの護身用の銃で弾も加工のされていないただの鉛の弾丸で魔力の影響を受けやすい、魔物に対しては相性が悪すぎた。

乾いた音と共に吐き出された弾丸は魔物に触れる前に氷の塊と化して勢いを失って床にゴトッと音を立てて落ちる。

「ギギッ」

ビシュッ

鬱陶し気に目を細めた氷の魔物は銃を撃ち続ける父親に氷の巨大な針を生み出して打ち出す。

打ち出された氷の針は父親を吹き飛ばし壁に磔にして父親は声を出すことも出来ずに事切れた。


私は動かなくなった母親の下で息を潜めて氷の魔物に見つからないことを祈っていた。

(見つかりませんように、見つかりませんように、見つかりませんように)


願いが届いたのかは分からないが氷の魔物は踵を返して入ってきた勝手口へと向かう、が何かに気づいたのかこちらに振り向く。

(見つかった!?逃げなきゃ)



氷の魔物が振り向く寸前に私は母親の死体を自分の上から撥ね退けて、衝撃で罅の入った窓に向かって全力で走り出す。

バキバキバキ

「えっ!?」

しかし私は窓まで辿り着くことは出来ずと音を立てて家を破壊しながら降ってきた巨大な拳によって叩き潰されたのだった。


「ギィーキシキシキシキシ…」

ガシャン!

氷の魔物も巻き込まれたのか軋むような気味の悪い声を上げてから地面にグラスを落としたような音を響かせて砕け散った。


自分の状況も分からないまま私の意識はそこで途絶えた。



苹果視点



バンカーにはさすがに魔物が侵入しているなんて事もなくすんなりと先に進むことが出来た。

封鎖された12区から16区は外壁側に12、15区そして残りの区間はその二つの区間を内側から囲むように北側から16、14、13、11区がある、現在地は12区の地下にある避難用バンカーでもうすぐ15区のバンカーへ繋がるゲートがある辺り、このまま15区のバンカーに入り外壁側の出口から出れば破壊された防壁付近に出れるだろう。


十数分ほど移動して15区のバンカーへと入る直前に通信が入る。

「15区にて要救助者発見、場所はあなた達第3小隊が一番近いです座標データを送るので急行してください」

「了解」

アーク中尉が返答すると座標データが送られてきた。


「この座標だと15区のバンカーに入ってから一番最初にある出口が一番近いです」

アリサ少尉がそう告げるとアーク中尉は電源が死んでいて手動で開けるしかない15区と12区のバンカーを隔てているゲートをマイヤー准尉と二人で開けながら無言で頷く。


「なっ!!」

そしてゲートが開いたところでアリサ少尉が驚愕の声を上げる、他の隊員はゲートの電源が死んでいた時点で予想していたことなので驚いている様子は無いが、マイヤー准尉があからさまに面倒だといった表情で溜息を吐く。


「バンカーにまで魔物が…」

アリサ少尉は不安げな声を上げる、そもそもこう言う時の為のバンカーなのに人が逃げ込むどころか魔物に侵入されるのはちょっと考えものか、12区のバンカーにも逃げ込んだ人がいなかったことを考えると逃げ込む間もなく殆どの人は犠牲になったのかもしれない…。


まだ魔物がこちらに気づいていないことを確認してからアーク中尉が声をかけてくる。

「苹果少尉、雛鳥少尉」

「なんですか」

「15区の要救助者の所まで二人で先行しろ、あいつらはこっちで対処する」

こうしている今も要救助者がどうなっているか分からない、ここで時間を取られている間に手遅れになってしまうかもしれない、それを鑑みた上での判断だろう、雛鳥も依存は無い様で視線を送ると無言でうなずいた。

「了解」


アーク中尉は私の返答を聞いて直ぐに残りの隊員に指示を出す。

「マイヤー准尉、アマレット軍曹、合図で撃て奴らの注意を引きつけろ、アリサ少尉は私の援護を」

「「了解」」


「雛鳥、剣を」

私がそう言うと雛鳥は私が剣を使うのを分かっていたのか予めベルトを外して手に持っていたロングソードをこちらに渡す、私は受け取ったロングソードをベルトで肩にかけて鞘から抜く。

隕鉄を圧縮して作られた肉厚の刀身は特殊なコーティングにより素材本来の銀色ではなく少し赤味がかった銀色に輝いている。


私の準備が終わったのを確認するとアーク中尉は合図を出す。

「撃て!!」


合図と同時にマイヤー准尉とアマレット軍曹が飛び出し魔物の集団をひきつける

アーク中尉とアリサ少尉はその横側についてこちらに魔物が流れてこないように攻撃を始める。

魔物がひきつけられているのを確認して私と雛鳥は魔物の少なくなった出口へとつながる階段へと走り出した。

次回市街地戦、やっと苹果さんのまともな戦闘シーンがきます

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