表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AppleStir  作者: んご
7/26

6話

「撤去完了」

マイヤー准尉がそう告げると隊長は全員に乗車を指示して装甲車を出す。


路上の瓦礫を吹き飛ばしながら数分走ったところで突然女性の歌声が聞こえてきた、私は聞いたことのあるような声にはっとして雛鳥に叫ぶ。


「上っ!!」


私の声を聞いた瞬間に雛鳥は自分のガウスライフルを引っつかんで梯子を使わずに開けていた天井の出口の一辺を空いている方の手で掴んで腕力で無理やり飛び出すとそのままルーフの上に立つ、直後にドガンッと強烈な発砲音

「車両後方にセイレーン確認、数約30、もっと速度を上げないと追いつかれます」

セイレーンを撃ちながら淡々と雛鳥は報告する。


通信を聞いた隊長は雛鳥に「振り落とされるなよ」とだけ返して装甲車の速度を一気に上げる、が

「8時方向からもセイレーン、数約50、後方と合わせて約60、准尉予備弾装を!」

雛鳥は冷静に報告しながら増加したセイレーンの群れにライフルを撃ちながら残りの弾数が少ないのか弾薬箱の近くにいるマイヤー准尉に声をかける。


「海が近いわけでも無いのに何でこんなにセイレーンが多いんだ!!」

マイヤー准尉は悪態を吐きながら弾薬箱から取り出した大口径の弾丸が詰まったマガジンをそのままルーフの上から車内にニョキッと生えた雛鳥の手に向かって投げる。


確かに…なぜこんな陸地に大量のセイレーンがいるのか、普通セイレーンと言えば海沿いの岸壁に巣を作るはずだ…。


雛鳥はマガジンをキャッチしてドガン、とライフルの発砲音の直後にライフルにささっていたマガジンを車内に落としそのまま素早く追加のマガジンをライフルに装着する。

「後方からセイレーン20増加、あと5発でガウスライフルの銃身温度限界です」


私は雛鳥の淡々とした報告を聞いて、思考を中断して後方の扉の前に立つ。

「隊長、後方の扉を開けて迎撃します」


「わかった、軍曹!苹果少尉と迎撃、准尉は雛鳥少尉と代われ、雛鳥少尉は交代したら予備の軽機関銃を組んですぐに上に上がれ!」


「「「「了解」」」」


全員が返事をするのと同時に私は後方の開閉ボタンを押して縦開きの扉をロックが外れた瞬間に腕で強引に押し上げる、扉を開きながら見えたセイレーンをアサルトライフルをセミオートで近い物から順番に撃っていく、横ではアマレット軍曹がアサルトライフルをフルオートで弾をばら撒いている。

ルーフの上ではマイヤー准尉と雛鳥の二人が機関銃でセイレーンを大量に撃ち落としていく

銃声と薬莢の大量に落ちる音が響く中数が減ったところでアマレット軍曹が「おまけだ!」と叫んでアサルトライフルの銃身の下に据付けてあるグレネードランチャーを発射した。

ポンッっと気が抜けるような音を立てて発射されたグレネードは放物線を描いてセイレーンの群れの真ん中に突っ込んで行き少しくぐもったドンッという爆発音を立てて残りのセイレーンの群れを全て吹き飛ばした。


セイレーンの全滅を確認してから後方のドアを閉めたところで通信機に外部からの通信が入る


「ランプライト国家軍全隊員に通達、緊急事態発生15番区の防壁が一部崩壊、大量の魔物の侵入を確認、隣接する12から16番区を含めた区画を内部隔壁で一部封鎖、一部通信設備に被害が出たため復旧するまでは緊急回線の使用を許可します、大型の魔物の侵入も確認されています、準備の出来た隊から順次出撃してください、任務中の隊は現在の任務を破棄、すぐに現地へ移動してください」


一定の間隔で繰り返し放送しているようで1分ほどしてから通信機からは同じ内容が繰り返される。


「15番区なら先の12区のバンカーから入って歩いたほうが速いですね隊長」

車載の通信機の音量を下げながらアリサ少尉がアーク中尉に声をかける。


「あぁ、あと5分でバンカーにつく全員装備の確認と降りる準備をしろ」


「「「「了解」」」」


本日何度目かの全員同時の返事のあとアリサ少尉も車両後部に移動してきて棚から予備の弾装やレッグポーチを取り出し準備をする、私左の太腿にレッグポーチをつけて予備の弾装をいれて、アサルトライフルのコッキングレバーを引き弾を装填してからハンドガンのセーフティーを解除して右の太腿のホルスターに入れる、予備弾装の数を確認してから目の前の棚にある大きな金属製のケースを見て今回は出番はなさそうだと考えて棚の下の座席に座る。


「少尉、それ持ってかないのか?」

私の斜向かいから装備の確認をしながらアマレット軍曹が声をかけてくる


「見た目は普通だけど只でさえ重量のある隕鉄を圧縮して作られたものだから重さは同じ大きさの剣の3倍はあるのよね…」


「あぁ、そんな重いもん持って走るのはキツイな」


そんな話をしていると雛鳥がガウスライフルのバッテリーを交換しながら声をかけてくる

「なら僕が持っていきますよ、大型の魔物も確認されているみたいですし必要になるかもしれないですから」


「え?」

私より小柄な雛鳥をみてアマレット軍曹がナニイッテンノコイツみたいな顔で見ているが私は雛鳥の人外じみた怪力を知っているので雛鳥の提案に甘えることにする。


「うん、邪魔にならないならお願い」

そういった私の顔をみて余計に困惑した様子のアマレット軍曹、雛鳥は私の頭上の棚に入っているケースを開けて鞘に収まっているロングソードを手に取り、鞘についているベルトを肩からかけて背負う。


そんなやり取りをしている間に12番区のバンカーの入り口に辿り着き装甲車が停止する。

「到着だ、降りてバンカーの非常用通路から15番区のバンカーまで移動する」


「「「「了解」」」」


全員同時に返事をして素早く車両から降りて、アリサ少尉が準備していた装備を受け取ったアーク中尉は手際よく装備を確認してから全員に声をかける


「被害の規模ははっきりしていないからわからないがバンカー内に魔物が侵入している可能性もある機を抜くなよ」


「「「「了解」」」」


先頭のアマレット軍曹が扉ののロックを解除して私達はバンカーへと入る、後ろを走るアリサ少尉の「おなかすきました…」というあまりにも緊張感のない言葉を聞きながら私は終わったらお風呂に入りたいなと人のことが言えないようなこととさっきのセイレーンの違和感について思考を巡らせるのだった。

次回の前に各キャラの細かい設定を上げようかどうかで少し悩んでいます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ