勇者の悔いは姫と恋ができなかったことです。【バレンタイン記念作】
遅れすみません!もはやバレンタインとか過ぎ去りました。でも投稿します。ゴミのような作品かもしれませんがどうぞ!
プロローグ
「ハァァァァア!!」
青年はとびかかった。因縁の相手……いや、恋しき人を奪った相手に。
魔王は飛ばされた。因縁の相手……いや、自分の婚約者が恋する者に。
魔王はソイツが憎かった。婚約者に希望を抱かせる青年が、2人の愛の力に倒されている自分が。
青年はソイツが嫌いだった。自分の愛する人を奪ったソイツが、愛する人を守れなかった自分が。
聖暦1432年。とある世界の魔王城、王の間。その世界で最強最悪と言われた魔王とその世界で「最後の希望」と言われた勇者(青年)の戦いが終幕を迎えようとして居た。
「ハァァァァア!!」
世界最強同士の決戦により、荒れた部屋で勇者は、最後の気力を振り絞り必殺の一撃を魔王に叩き込んだ。魔王は凄いスピードで壁に激突する。魔王は動かなくなった。
「ハァハァハァ。勝った……のか?………ふぅ」
勇者は死闘のために疲れていたのかそのまま意識を手放した。
30分後……
「勇者様!勇者様!」
勇者はどこか懐かしい声で目が覚める。彼はゆっくりの目蓋を開けるとそこには自分の仲間、そして魔王に囚われていた。勇者が愛する姫様が居た。
「姫……様?」
「はい、私です。アルシア姫です。アキト様、この度は私を助けて下さり本当にありがとうございました……」
姫様は泣きながら彼に感謝する。彼の仲間達も優しい視線を向けながら見守っている。彼はその瞬間全てが終わったのだっと思い、彼は笑った。しかし……彼が笑うと同時に姫の動きが止まった。彼女の胸に穴が空いたのだ。
「は?」
彼は何が何だか分からず呆然とする。
すると、どこからか聞き覚えのある声が響く。
「ハハハハハハ!残念だったな勇者よ!貴様の最愛の姫は死んだ!だが、まだ我が復讐は終わらないぞ!私ももうすぐ死ぬだろう。だが、まだ次がある!それを忘れないことだな!いずれ必ず我に刃向かったことを後悔させグハァ!」
彼は魔王が喋り終わる前に聖剣で貫いた。その攻撃で今度こそ魔王は息絶えた。彼はその場に膝を着き、嗚咽を漏らし続けた。
どれくらいの時がたったのだろうか、彼はやり残したことを思い出し涙を拭いて立ち上がった。そこで彼は初めて場所がおかしいことに気づいた。そこはさっきまで居た部屋では無かったのだ。
回りは光の粒の川が何本も流れていて上は真っ暗な世界に光輝く星があった。
彼が戸惑っていると遠くから一人の男性が歩いて来る。彼はその男に見覚えがあった。その男とは
「神、様?」
そう、その男は彼を勇者にした神だった。
神は彼の近くまで歩いて来ると彼に言った。
「やあ、久しぶり。君はどうやら犠牲を出しながらも魔王の討伐に成功したようだね。残念ながら君は最愛の人を失ってしまったようだけど」
神はそこまで話しうつ向いた彼を見るとため息をつき続きを話し出す。
「本当はあまりやりたくはないのだけど……そんな君にご褒美を提案しよう。」
「ご褒美?」
「ああ、ご褒美だ。君の今悔やんでいるのは、魔王から姫を守れなかったことだろう。」
「あぁ」
彼は呟くように答える。
「では私からのせめてものご褒美だ。その悔いをなくすチャンスをあげよう。」
神は優しい表情でそう言うと、彼が反応するより早く、魔法を発動する。
「魔法展開:転生魔法。転生座標:Y3U76E地球日本××県×××市××町静島家長男……魔法発動!」
2015年2/14朝6時半
「ふわ~。ん~」
身長180cm、チェク柄のパジャマを着た綺麗な金髪日本顔の少年。
そう俺、静島翔シズシマショウ)高2はいつものように目を覚ました。
俺は起き上がり伸びをしてから、昨日のことを考えていた。
と、言うのも俺は自分で言うも何だか前世、勇者だった頃記憶を持っているのだ。記憶いっても、殆どの事は覚えてない。だいたいの記憶は「こんなんだった……気がする。」程度で人物や物の名前は殆ど覚えてない。唯一覚えていた記憶は、俺が最も愛していた姫様と俺が最も憎んでいた魔王の記憶。そして、「今度こそ魔王から姫を守り抜くんだ!」と言うセリフだけだった。
だが、何となく自分の転生 (?)した理由はそのセリフが関係している気がして産まれてから今日までずっと周りに姫と魔王に関係している、似た奴は居ないかと目を光らせていた。
そんな俺は高校に入学した時、姫の面影が伺える人を見つけた。彼女の名は雛川美音。前世と変わらず美少女だ。最初は確信は無かった。でも、ずっと見ていると時々前世の手癖が出てたから確信した。でも、俺は彼女とは殆ど関わってない。何しろ今世の俺は地毛とはいえ、校則に違反する金髪で前世のように完全な中性的な女顔ではなく、女顔というよりは童顔程度の顔で普段から目を光らせているせいか、時々人を睨んでしまうことがあるらしく、その顔が“まるで不良のようだと"噂が噂を呼び、今では立派な不良扱いなのだ。
そんな俺が、学年ベスト5には入るような美少女に声をかけれる筈がない。そのため今日までずっと遠くから見守っていた。
少し話がズレてしまったが、話を戻そう。
実は昨日、ついに姫(美音)に彼氏ができたのだ。それは、悔しいが前にもかったため、あまり問題では無かった。
問題は彼氏の方だった。その彼氏は魔王に似てたのだ。彼氏の名は山河峰良太、優男にしか見えない顔立ち。あの狂った性格が別人に見える程の人前での優男な性格。そして何より、奴は魔王のチャームポイントとも言えた、真っ黒なリングを指に填めていた。真っ黒なリングなんて填めてるのは前世でも今世でもコイツぐらいだと思う。
もしも本当に本人ならすぐに奴を探し出して二度と姫(美音)に近づけないようにしたい。
ただ、まだ前世の記憶があるかは分からない。記憶がなく、本当にただの優男なら……不本意だがそっと見守った方がいい。
昨日は、それこそ山河峰と付き合い始めた段階であり、殆ど観察することができなかった。だが、今日なら大丈夫だろう。今日は昼休みはどの委員会の集まりがある日だ。姫(美音)は放送委員だから昼休みは居ない。それに対して俺と山河峰は委員会に属して居ない。つまり、姫(美音)の居ないところで観察し放題だ。それに一人で居るなら話しかけて直接確認することも可能だろう。
俺はそう考えていた。
2/14昼1:00昼休み。
俺は昼食を食べ終わり山河峰を探していた。
え?朝あの後どうしたかって?そのなの特に変なことはせず普通に登校して普通に授業受けて飯を食っただけだ。何も変なことはしていない。
俺はしばらくして2-B、山河峰のクラスの近くで山河峰を発見した。好都合なことに山河峰は食堂帰りのようで一人だった。
「おい、山河峰。ちょっといいか?」
俺は後ろから迷うことなく声をかけた。「おい、」の辺りがヤンキーぽっくなってしまったが、わりと普通に話しかけることができた筈だ。
山河峰はすぐに気付き振り向き、少し困った顔で「なんだい?」と、応答してくる。俺は、この顔を見ると記憶は無さそうだと少し安心する。が、一応念のために聴いておこう。
「お前、その黒いリングは何だ?まるで……魔王のようだ。」
俺は思いきってそう言った。ハッキリ言って中2病発言だろう。しかし、これぐらいのことを言わなければ魔王だとしてもは反応してくれないだろう。
俺は山河峰の反応を待つ。すると、山河峰は純粋に少し驚いた顔をした。俺はその顔を見て安心した。前世の経験上、もしも魔王ならこんな純粋な驚きではなく、もっと優男とは思えない、顔を歪めて驚く、そう分かっていた。
つまり彼は白だ。そう思った。しかし、次の瞬間その安心感は消え去った彼が近くにいる俺にしか聴こえないようにニヤつきながら呟いたのだ。
「ようやく気づいたか、だがもう遅い。アリシア姫、いや雛川美音の心は我のものだ。そんな心酔した今なら家に呼ぶのも簡単。そこで我は彼女の心が壊れるまでいたぶるのだ。もう、お主にも止められぬぞ?愚かな勇者よ。」
俺は、一瞬唖然とした。そして次に怒りが押し寄せて来た。この男は魔王は、姫(美音)の心を持て遊び、壊そうとしているのだ。そう思ったら怒りが止められなくなって俺は、胸ぐらを掴み殴りかかろうとした。この行為で周りの視線が集まる。しかし、聞き覚えのある女性の声がして、咄嗟に手を止めた。
「やめて!静島君!殴りかかるなんてダメだよ!」
俺はその声で我に返った。そして、自分の最も愛した女性が叫ぶ姿とニヤける山河峰(魔王)を見て初めて騙されたことを悟った。そうこれは全て山河峰が仕組んだ罠だったのだと。美音が俺のことを信用できなくするための演技だったのだと。俺は頭が真っ白になって姫が死んだ時のように膝を着いた。その時、山河峰を心配して近くにいた美音が何かを思い出したかのように立ち上がって俺の方へ歩いて来た。今度は何を言われるのかとぼんやり思っていると、突然目の前にラッピングされたハート型の箱が現れた。
「え?(は?)」
俺と山河峰が訳が解らず唖然とする。すると、彼女は俺に微笑みながら言った。
「何時話しかけてくれるのかとずっと待ってましたよ、私の勇者様。」
彼女は俺が魔王から助け出した時と同じくらい嬉しそうに微笑んだ。
そして俺は気づいた自分の愛する人が自分のことを忘れる筈がないことに。
俺は気づいた。勇者である自分以外に彼女を守れる人間など居ないことに。俺は思い出した。俺の本当の悔いは……俺は、彼女に真剣な顔で言った。
「俺が一生お守りします。付き合って下さい!」
俺の本当の悔いは姫と恋ができなかったことだと言うことに。
どうにか4000字に入れました……最後の終わり方が適当なのは許して下さい……
追加情報:ホワイトデーにも同じような短編を出します。今回の続きかもしれませんし、そうじゃないかもしれません。今度こそはちゃんと10000字投稿したいので。