第四章 プァァティィイイだぁぁあああ!!
☆フレム☆
強く拳を握る。壁を殴りつけた。
「ックソ!!」
ドンッ!と鈍い音が鳴り、あまりの衝撃に部屋が揺れたような錯覚さえ覚えた。
フレムがいるのは女の子の部屋だ。飾り付けもピンクっ気が多く、可愛らしい作りだった。そこにあるのはどれも普通のものばかり。勉強机があり少女マンガや小説の並ぶ本棚、純白のベットなどが小さな部屋に詰め込まれた感じで少し狭い。
ベットには一人の女の子が眠っている。
「・・・クソッたれが」
彼女の名前はルミア・ベネット。フレムの幼馴染で、訳あって一つ屋根の下で過ごしていたのだが、ルミアが倒れて病院に運ばた。今はちゃんと退院して、こうして心地よさそうに眠っている。原因は未だ分かっていない。否、分かってはいるのだが・・・、
「・・・まだだ、まだ諦めるわけにはいかねーんダよ」
そうは言うものの、俯いたまま顔を上げることができない。拳がさらに固く握られる。奥歯が砕けそうになるほどに噛みしめて、なんとか怒りを沈めた。
諦めるわけには、ここで終わるわけにはいかない。
☆アーク☆
(フレム・リュングベル・・・、か)
ハルは愉快犯だと言っていたが、何かが妙に引っかかってそのことが頭から離れない。ハルがあそこにいたのもそうだ。絶対に何かあるはずだ。
「(学園長に話しておきましょうか・・・)」
「?、何か言ったノヨ?」
「い、いやなんでもないよ。なんでもない」
「ほーんとぉデスぅ?・・・ヒック」
リンもランも死にかけていたこともあり、全く飾りっ気なしの部屋でパーティすることになった。机には奮発して買ってきた、お寿司のセットが並んでるし、最後の締めにはケーキが控えてる。・・・はっきり言って出費が痛い。
「って言うか、何で酔ってるんですか、リンさん?」
「よってなーんかにゃいれすぅ」
そうは言うものの、リンの顔は完全に赤くなってるし、目はタルンと沈んでいる。って言うか、絶対的な証拠として、缶ビールをグビグビと飲んじゃっている。
「・・・それは、なんでしょう?」
「これは~・・・」
完全にタレた瞳でアルコールを眺めるリン。少し考えてから、
「コーラれすっ!」
「ゼッタイ違うっ!はい、こっちによこしなさい」
無い胸を張って自信満々に嘘をついて見せた。思考回路が停止して、本気で言ってたりは・・・しないよな?まぁどちらにせよ、こんなものを飲ませ続けるわけにもいかないので、早く渡すように催促する。
「い~や~れ~すぅ。これおいしいもん、ね~」
「ねー。おいしいもんね、これ。仕事終わりの一杯は最高なんよ」
「・・・・・あんたがこれ渡したんかい!」
リンが大人の味を知っていることについてはスルーで、キッチンの方から声が聞こえてびっくりした。そこからは、髪の毛がボサボサのおっさんが顔を覗かせていた。
「先生、なんでいるんですか?・・・はぁ」
「ちょ!ため息はひどくない!?こんなんでも君の担任なんよ!?」
「こんなん、て」
自分のこと理解してんじゃんとツッコもうとしてやめた。
バタン、と冷蔵庫が閉まる音ともに、おっさんはキッチンから出てきてリビングに入った。片手に二つずつ、計四本の缶ビールを装備している。攻撃力0で防御力は・・・一応服は着てるから1か。
レグライトス・オルトレイン。通称レグルス、もしくわおっさんだ。
さっきも言ってたように、一応アークのクラス、2-Sの担任で、担当教科は理科だ。授業は形から、ということで常に白衣を纏ってる変な人だ。なぜか生徒から人気があり、自然と人が集まってくるような、無駄に人徳だけはある人。一切セットされた形跡のないボサボサの髪に、いつもダルそうに半開きの目。はたから見たら、
(単なるダメ人間)
「・・・なんか今、ものすんごい失礼なこと言われた気がする」
勘だけは良いらしい。能力はあまり知られていない。実はかなり強かったり、なんて噂を聞いたが、子供に缶ビールを渡している姿を見る限りでは、絶対にそれだけはないと思いたい。
「コラッ!んなことしないでください!」
「なんよ、自分だけ良い子ちゃんぶって。俺っちキミの担任なんだぞ?」
「あんた僕の担任だろうがっ!ちょっとは先生らしい事して下さい」
アークに怒られて、レグルスはブーゥ、と口を膨らませて拗ねるが、三十近いおっさんなので可愛さの欠片もない。
いつまで経ってもビールを手放さない二人に痺れを切らし、アークはついに強行手段をとることにした。リンの口に中トロを放り込んで、ホワ~、となっている隙にビールを奪い取る。レグルスには容赦なく腕に間接技を決め、手に力が入らなくなったところでビールを奪い取る。俺っちの扱いひどくない!?、と叫びながら床で悶絶するレグルスをよそに、リンは新たな缶に手を伸ばしていた。
「そぉいっ!」
となんとか御したものの、次は酔ってる二人を見ているだけランが酔っちゃって、いきなりケーキを取り出し、顔面を突っ込みはじめた。
「「「せっかくのケーキがぁぁああ!!」」」
「グヘェ、グヘヘヘヘェ・・・」
三人の顔が劇画チックになり、取り分け皿とかその辺も粉々に割れた挙げ句、ランが壊れて不気味に笑いだした。
と、まぁここまでの流れを擬音にすると、ドンガラガッシャンッ!と見事な暴れっぷりであることがよく分かる。そりゃあ隣人も怒りにくるだろう。バンッ!!とドアが勢いよく開け放たれた。
「テメェ等、うっせーんだよっ!ちったー静まりやがれ!!」
完全に全員の動きがピタッと止まり、いきなりの来客に静まり返る。泣きかけの一人を除いては。
「・・・オージくーん」
「な、何でアークは泣いてんだよ」
「わー・・・、オーちゃんがな~かした~♪」
「なにやったんれすかぁ?」
「ばっ!なんもやってねーよ!ってか俺じゃねーだろ、絶対!!」
オージはオレのヨメー、なノヨー、とランが叫んだかと思うとぶっ倒れだして、ケーキがさらにぐしゃっと・・・。アークはアークで急に泣き出すのであら大変。酔ってる二人は好き放題しだすし、リンはアークに抱きつきはじめた。
「だったら、アークはオレのヨメー、れすぅ♪」
「わ~ん、俺っちだけ独りぼっちよな~」
「あぁ!もう、めんどくせー!なんなんだよお前等!おっさんまで泣き出してんじゃねーっ!オレにどーしろってんだよぉぉおお!!!!」
ドンガラガッシャン!がまた再開され、大暴れの夜が約二時間続いたという。もちろん、アークは後日学校に呼び出され、みっちり説教を受けたのは言うまでもないだろう。
☆ハル☆
トントン、と普通に大きな壁から音が鳴る。
「報告だ、入るぞー」
「どうぞ。入ってきて」
大量の資料やらが積みあがっている、ただでかいだけの机からハルがダルそうに声をかけた。ギー・・・、とゆっくりとドアが開かれる。
「変化に気付いた人間もそう少なくないようだ。どうする、ハル?」
「どうするもこうするも、まずは目の前の事件を片付けることだね」
「はいはい、了解」
騎士団長に馴れ馴れしいその男は、ハルの目の前に新たな資料の束をニヤニヤしながら置いた。
「はははぁ・・・、ジェインはSだなぁ」
「市民のために頑張れよ、団長さん♪」
苦笑いを浮かべながらハルは、一応全て手にとって目を通していく。ジェインは目的である報告を続けた。
「当人であるフレムについてだが、完全に計画を止めにかかってると思われる。・・・にしても謎だな。騎士団上げて捜索に当たっているのに、一切情報が入ってこないなんてな」
「うん。どうにかしないとね」
「それと、これ」
ピラピラと、残った資料の束を振って見せた。見てみ、とスッとハルに差し出した。
「頼まれてたバカの資料だ」
「アーク・ルドワー君ね。ありがとう」
さっき見てた資料をポンっとおいて、最優先で目を通すようにした。
「・・・・・へぇ、紅葉嬢のパシリねぇ。なるほどねぇ・・・」
顎に手を当て、ハルの時間は刻一刻と過ぎていった。
・・・一人さみしい・・・小説友達欲しいなぁ・・・
なんて思っちゃってる多趣味アキオでございます♪
迫りくる受験という壁
RPG風に言うと、ザコはスルーして、level5でボスに挑もうとしてるとこです
ってかもうそろそろ中ボスが近いのにこんなことしてていいのか?
・・・いろんなことが迫りすぎて泣けてくるよ
っとまぁそんな事はほっといて、
今回はほのぼのな話ができたかなぁって感じです。
レグライトス・オルトレイン先生に
オージェント・アルベイン君
あっ オージ君はフルネームでてなかったね
まぁいいや
ちなみにノート更新
フレムさんだけです
リンとかランとかも紹介しないとなぁ…