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第三章 天子ちゃんマジ空気ヒロイン×2

 買い物袋を右手に提げて、普通に家に帰ってきた。ガチャッ、と普通に鍵を開けて、普通に玄関に上がる。中も普通。リビングには(ってかリビングとトイレ、お風呂しかないのだが)丸いテーブルにミカン箱の上にテレビ、普通のベットがあって、キッチンに抜け殻が転がってる。・・・あ、足元にも一つ抜け殻があった。


「は、腹へった~ノヨー・・・」

「し、死ぬデスぅ・・・」


 朝は一週間分の食料を食べたのに関わらず、現在進行形で腹を空かした抜け殻は、ゾンビよろしく床を這って近づいてくる。


「・・・はぁ」


 アークは呆れた感じに、手に持っている袋を二人に突きつけた。すでに中身を理解したリンは、死にそうな状態で手を伸ばしている。


「ケーキ、買ってきたぞ。今日で一年経ったよね?パーティしますよ」

「やっ!・・・・ったノヨー・・・」


 喜ぼうとして立ち上がったランは、力が入らずに崩れ落ちた。






 ☆アーク☆


 30分前のこと。


 瓦礫の山が小さな爆発を起こすと、粉塵が舞って前がぜんぜん見えなくなってしまっている。その間に犯人さんは逃げ出したらしく、やっと見通しがよくなったと思った頃には、アーク一人ポツンと残ってしまった。


(ッチ!逃げられましたか)


 ここにいても仕方がない、さっさと帰ろう。そう思ってアークは歩きだそうとした。

 その時、


「それにしても、派手に暴れたねぇ♪」


 突然後ろから声がした。

 が、バッ!とすぐに後ろを振り返ったが誰もいない。


「こっちこっち♪」


 また後ろから声が聞こえた。


「なッ!」


 思わず後ろを振り向いたと同時に、十字架を構えてしまう。そこには爽やかな笑顔の男が立っていた。短めの金髪で、かなりのイケメンで、スーツも着こなす『THE爽やか野郎』な雰囲気を醸し出している。

 男は遠くの方、ケーキ屋改め瓦礫の山を見て、わぁお、と呟いた。


「ごめんね、僕たちの到着が遅れたせいで、こんなになってしまうなんて・・・、」


 男はショボーンとしている。アークは怪訝そうな表情で男を見た。


「・・・あなた、誰です?」

「え?あぁ、自己紹介がまだだったね。ハルレイ・シーフォ。一応騎士団の所属で、爆破事件がどうこうで来てみたんだけど、ちょっと遅かったみたいだね」


 ハルレイ・シーフォと名乗る男は、またも爽やかに微笑む。


(ハルレイ・シーフォ?どっかで聞いたことあるような・・・)

「君、犯人と会ったんだね?」

「え?あ、まぁ・・・」


 アークが何か考え込むポーズをとると、ハルレイは真剣な表情で質問をしてきた。やっぱりこの顔、どこかで見たことある――――――


「―――ってか騎士団長さん!?」

「あぁ、まぁそんなところだけど、そこまで大層なものじゃないし、僕のことはハルで良いよ」


 この爽やかな微笑み、やっぱりそうだ。テレビとか新聞とかで何度も見たことがある。25歳で騎士団全体の指揮を執る、騎士団の長にまで登りつめたエリート中のエリート。歴代最年少の騎士団長の上かなりのイケメンで、バラエティ番組にも引っ張りダコだったりする。

 でも、


(なんで、単なる爆破事件なんかで騎士団長が?)


 そう、ただでさえ忙しいのに加えて、ここ最近は超能力の発生によって、世界中でいろんな問題が起きまくっている。この程度の事件で騎士団のトップが来るとは思えない。


「一つ聞きますが、単なる爆破事件ですよね、これ」

「うーん・・・、確かにね。見方によっちゃそうなる」


 アークはまた、怪訝な表情でハルを見る。


「こっちの質問にも答えてもらうけど、良いかな?」

「別に構いませんが、あとで詳しく聴かせてくださいね」

「あははぁ、それは困ったねぇ」


 今度はハルが少し困った表情でアークを見た。単なる直感だが、何かが起こりつつあることを、あるいはもう起きていることをアークは感じた。


「詳しくはちょっと厳しいな。と言うより、何かに勘付いた感じだね?君、なにものだい?」

「学生会の人間です。一般市民としてある程度聞いておこうと思って」


 二人は疑いの目をお互いに向ける。さっきまで柔らかい感じの笑みを浮かべていたハルだが、気を抜いていたわけじゃなかったようだ。やはり騎士団の長にまでなった男と言うところか。






 アークがある程度のことを話すと、ハルはうーん、と考え込んだ。ちょっとの間があり、よし、と納得したように言うと、ハルはアークを見た。


「情報をありがとう、参考にさせてもらうよ。・・・で、君も質問がるんでしょ?」

「はい・・・、」


 色々聞きたいことはあるが、やっぱり犯人についてが最優先か。


「あの人、犯人さんは何者ですか?」

「犯人について、か。確かに、自己防衛のためにはある程度の情報が必要だしね、いいよ、教えよう」


 話す必要があるものとないもの、しっかりと分別して話すつもりらしい。最深部の情報までは手に入らないかもしれないな。


「名前はフレム・リュングベル。19歳で学生だ。能力については情報部から炎操能力(フレイムダンサー)だと聞いている」

「『聞いている』?」

「まぁね、全てを疑うことも重要さ。話を続けるよ、彼は君が見たケーキ屋二件の他にも、全十個所の爆破を行っている。ま、負傷者はいなかったんだけどね。その規則性が無いことから、フレム・リュングベルは愉快犯と言うことになっている」

「・・・・・・・・、」


 愉快犯、と言うところがどうも引っかかる。が、もし嘘をついていたとしても、これ以上話してはくれないだろう。


「もう、いいかな?」


 ハルはこれですべてだと言わんばかりの表情をしている。


「・・・最後に良いですか」

「なんだい?」


「・・・それだけの事件に、騎士団のトップは動くんですか?」


「・・・・・・・・、」


 ハルの顔から笑みが消えて、ちょっとの間沈黙があった。


「・・・君、ホントに何者なんだい?」

「普通の高校生ですよ」


 その沈黙を破るように、ハルはボソッとつぶやいた。アークもそれに続く。


「この事件、本当はそれだけじゃないんじゃないですか?もっと他に何かあるんじゃないですか?そのために騎士団長さんまで動いてるんじゃないですか?」

「・・・・・・・、」


 ハルの沈黙は長く続いた。たぶん答えは帰ってこない。そんなことは百も承知で疑問を投げ掛けたのだ。


「・・・・・・・、」

「・・・・・・・、」


 二人の沈黙はまた永遠のように続き、もうこれ以上待っても無駄だ、そう思い始めた頃に、ハルの口から言葉が発せられた。


「・・・君の言うとおりだ。この事件には裏がある。だから僕も動いている。僕もそんなに暇じゃないんだけどね、参っちゃうよ」


 ハルはそれから一呼吸おいて話を続けた。


「フレムはすぐに止めないといけない、全人類のためにも。だから僕が直々にフレムの捜索に当たってるってわけさ」


 驚いた。ものは試しようだ、結構しゃべってくれるものだな。


「・・・自分で聞いといてなんですが、そういうのってこんな所で言っちゃって良いものなんですか?」

「そりゃあ、ダメに決まってるよ。だからこれ以上しゃべる気はないよ、機密事項だからね。でもね、僕は嘘という単語が、無責任の次に嫌いな言葉なんだ」


 またしてもハルは、ニコッ☆と爽やかな笑顔になった。そして、クルッと身を(ひるがえ)して歩き出すが、


「じゃあ、そういうことだから」

「ちょ、ちょっと待って下さい。最後に一つお願いが」


 アークの言葉で止められた。はぁ、せっかく決まったのに、と思いながらも、なんだい?ともう一度向きなおした。


「僕にできる範囲なら、なんでも頼まれて、あげ・・・、」


 そこには深々と土下座する少年がいた。


「お願いですから!ホールのケーキを僕に下さいっ!」


 全力の頼みが商店街中に響いたという。







Angel Beats!SSSラジオ や、バカテスラジオを聞きながら、笑い死にそうな

多趣味アキオでございます♪


思わせぶり~な行間を挟んで同時投稿です。

文化祭で劇とかしてたんで間が空いてしまったけど

何とかしあがった。ヨカッタヨカッタ。


じゃあ、まったねぇ~♪

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