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第六章 フレムとルミアとルミアの真実 『後編』

すぐに出すと言っておきながら

三週間以上空くと言う奇跡・・・・・、







 ☆フレム☆


「ちょま!ちょっ、と、待ってくださいよぉ!」


 後ろの方から変態の叫び声が聞こえる。そんなことは気にせず、フレムは全力疾走で奴から逃げている最中だ。捕まるわけにはいかない。なぜなら・・・・・、


『僕、ホモなんです!』


 変態の言葉を思い出して身震いをし、走るスピードを速めたフレム。今捕まれば、何をされるか分かったもんじゃない。


「・・・・・・・・・、」


 チラッとだけ後ろを確認してみた。


「ゼェ、ゼェ・・・・。ほ、ホント誤解なんですって!待って、話しを聞いてくださいよ!」


 そろそろ体力も限界に近いのか、変態の走るスピードはドンドン遅くなっていき、それでも必死にフレムを追いかけてきていた。

 三人の警官と二台のパトカーと共に。


「増えてるッ!?」


 指名手配半として顔は知られているから、逃げている最中にドンドン増えていったのだろう。振り切らないとこっちの体力も持たない。

 フレムはさらにスピードを上げて差をあけると、ポケットからライターを取り出して、


「死ね、変態が!!」


 後ろにいる楽しい楽しい団体様めがけて、全力で投げつけた。ライターは大きく弧を描いて団体様の所までとんで、


 ドンッッ!!


 とデカイ爆発を起こした。警官とパトカーは盛大に吹き飛んだ。


「トゥ!!」

「な!?」


 が、立ちこめる砂煙の中から、本命であったアークは無傷で飛び出してできた。クソッ!と吐き捨てたフレムは、ポケットからライターを大量に取り出して、ポイポイポイポイ投げつけた。


「しーね死ねシネシネシネシネ死ね死ね死ねシネシネシネ死ねシネ死ねぇぇぇぇえええ!!」

「あぶ!あぶあぶ!ちょ、ちょっと待って。死ぬって、本気で死ぬって!や、やめやめ、死ぬ、死ぬからぁぁぁあああああ!!」


 ボンボンボン!ポイポイポイ!ボンボンボン!ポイポイポイ!と無限ループでライターが爆発を続けていた。


「どっせーーーーーい!!」

「キモい、死ね」


 たちこめる砂煙の中から飛び出してきたアークに、残り最後になったライターを投げつけた。アークは魔導具の十字架を取り出して、


「甘い!」


 野球の要領でライターを打ち返そうとしたが、十字架に当たると同時に見事に爆発。短い悲鳴だけが聞こえた。そりゃそうなるだろうよ・・・・・。


 変態が死んだ。

 しかし、


「ふっふっふ・・・、僕は十二回くらいは死なないんですよ」

「バーサー〇ーかよ・・・・・、」


 変態は蘇ってきた。


 視界が悪くて良く見えないが、前から声が聞こえた。生きてやがる。大量に買い込んだライターも底をつき、逃げる気力も失せたフレムはようやく足をとめた。






「ハァ、ハァ、は、なしを、聞いてください」

「・・・何度も言わせるな、学生会の力は借りない。これは俺たちの問題だ。なにがあろうがなかろうが、俺一人で解決させてみせる」

「違う。僕は僕の為に、あなたに手を貸したいんですよ」

「どういう・・・、意味だ」


 深呼吸を何度か繰り替えし、アークはようやく呼吸を整えて、まっすぐとフレムを見た。

 フレムは、さっきまでの雰囲気とは違うアークの目をみて、真剣なオーラを感じ取って思わず低く、小さい声を出してしまった。


「誓ったんですよ、結構前に」

「・・・・・・、」


 ・・・・・・・・、

 なんだろう、この感じは。奥底から湧き上がってくるあったかさ。


 誓った?それがどうした。


 期待してるのか、オレは?否、何をこいつに望むというのだろう。

 期待とは違う。


 安心、・・・なのか。

 オレが安心?なんでこいつなんかに。


「誓ったんですよ。僕は僕の家族を、彼女たちのいるこの世界を守るって、誓ったんです。だから僕は、僕の誓いを守るためにあなたに手を貸したいんです」

「・・・・・ッ!!・・・・・そう、か」


 それはきっと、原因や理由は違えど、自分と同じ志を持つ人間に、初めての仲間になれるかもしれない奴に、出逢うことができたからなのかもしれない。


(『守る』か・・・・・、)


 オレみたいなバカ野郎がここにもいやがる、と近くのベンチに腰掛けてため息をつくフレムだった。








 ☆アーク☆


「・・・・・未解原子(ダークマター)計画は知ってるな」


 今は公園にいる。監視寮前のとは違って遊具も充実していていつもなら子供が騒いでいるはずだが、さっきの爆発やらで辺りには人影も見あたらないし、今は静かになっている。

 その公園のベンチに腰掛けて、フレムはアークに問いかけていた。


「えぇ、確か、何者かが世界の監視を目的に、未解原子(ダークマター)と呼ばれる『なにか』を世界中にばらまいたとか。でも、あれって都市伝説みたいなのじゃなかったんですか?」

「その辺の真相は知らないが、騎士団の連中は今、それを応用した『新・未解原子計画』を実行していやがる」

「・・・・・ッ!」


 現在進行形。すでに計画は開始されているということにアークは驚いた。と同時に疑問を抱いた。

 二年前、この事件をきっかけに様々な事件が引き起こされ、一度世界は滅びかけた。そんな事件をわざわざ騎士団の方から仕掛ける必要があるのか。そしてそれをフレムはなぜ知っていたのか。そして、


「で、それがどうルミアさんと関係してくるんですか?」

「・・・・・、俺が、聖獣王の力をルミアの体内に封印したんだ」

「聖獣王?封印?・・・・何の話しですか」


 聞き慣れない単語がでてきて、そのことについてアークが質問すると、フレムは無言で俯いた。アークも話し出せずにしばらく沈黙が続くと、俯いたままのフレムが、話せば長くなる、と言った。アークはその言葉に軽くうなずいて返事をした。


「ここ数年でグランスタンズの都市化がすすみ、町が豊かになる一方、生命力(マナ)の枯渇も問題視されるまでになった。その結果人類は、『世界の秩序と均衡を保つモノ』と言われ伝説になった聖獣王、ゲオルギアスの怒りに触れてしまった」

「ちょ!待ってください!ゲオルギアスって、世界樹神話に出てくる空想上の生き物なんじゃッ」

「火のない所に煙は立たぬ・・・、ゲオルギアスは存在し、生命力(マナ)枯渇を促進させる人類を滅ぼしていくんだとさ。そして俺たちの村はあいつに消された。結果、俺はルミアを連れて世界放浪、ついでに世界を救う旅に出たってわけだ」


 また知らぬ間に世界が救われてるよ、とアークは苦笑いを浮かべた。たぶん、アークが知ってるだけでも、十一回は世界が滅ぶ予定だったはずだ。

 フレムの話は続く。


「旅の途中でルミアは力を覚醒させた。『負の感情を浄化する力』だとさ。ゲオルギアスを唯一倒す方法が、覚醒したルミアの力であいつの怒りを浄化すること」

「負の感情を浄化・・・・、だから彼女の中に聖獣王を封印し、怒りを浄化するってことですか」


 神話は結構好きで、一通り目を通していたが、聖獣を体内に取り入れるってどういう感じなんだろう。やっぱりそれって、聖獣の力とともにその性質も引き継いでしまうのだろうか。

 聖獣の性質?

 精霊や聖獣と呼ばれるものは、生命力(マナ)の塊のような存在と言われている。が、この二つの違いは確か、ものを食すか否か。聖獣は精霊と違い、食べ物から生命力を摂取する必要がなく、空気中の生命力を直接得てその姿を保つ。

 その性質をルミアが引き継いだとなれば、彼女も空気中から直接生命力を・・・・、


「・・・・・なるほど。ルミアさんも聖獣と同じように。だから『未解原子』がばらまかれたことで、生命力をバランスよく取り入れられなくなり、やがては・・・・、」

「オレは最悪の事態を避けるために、『未解原子』の製造を行っていた施設の爆破に当たっていた。お前と初めてあったあの時がそうだ。最後の一つを爆破した」


 フレムは遠くを眺めながらそう言うと、ポケットに手を入れてライターを取り出し、まだ一個残ってやがった、と一言つぶやいた。

 おそらく彼は、初めてルミアが倒れてからいろんな事をしたんだろう。それこそ『死ぬ気』で。でなけりゃ騎士団の機密情報を知ることなんてできるわけがない。

 この男は、たった一人の家族を守るために今まで頑張ってきた。

 僕と同じだ、とアークは思った。

 家族を守るという思いだけでこれまでやってきた。いや、これからもだけれど。


「・・・・・・ふぅ」


 安心した。状況はなにも変わっちゃいないというのに、なにかに安心してしまった。

 やることが明確になったからだろうか。わからない。仲間ができたからだろうか。わからない。それに、これからどうすればいいかもわからない。

 でも今はそれでいいと思える。わからないことだらけだけど、モヤモヤした感じはもうしない。


 なんとかなる。


 そう思った。


「戻りましょう、フレムさん」


 アークはフレムに手を差し伸べた。

 フレムはその手を掴み、勢いよく立ち上がった。


「一雨降りそうだな」

「早く帰って、洗濯物を取り入れとかないと」


 二人が見上げた空には雨雲がかかり、今にも雨が降り出しそうになっていたが、二人の心はスカッと晴れていたように見える。








 ☆×××☆


「とうとう降り出しちゃいましたね」

「あぁ、雨の日は能力が使えないから困る」


 それより洗濯物が心配です、とちょっと急ぎ足でアークが歩く。

 ついさっきポツポツと降り出した雨が、サーサーと少し強くなってきたので、仕方なくコンビニでビニール傘を買ってしのいでいる。ずっと歩いてるけど監視寮が一向に見えない。ずいぶんと遠くまで走ってきたのがわかる。すぐとなりの道路では、自動車がバシャバシャと音を立てて通り過ぎていく。


 ・・・・・・、なんでこんなどうでもいいことばかりなのかというと、二人がほとんど会話を交わさないため、コンビニがどうだの自動車がどうだのと書くしかない。


 はっきり言ってもう書くことが無くなった頃、ようやく監視寮の姿が見えた。


「やっと着きましたね」

「ルミア!」


 寮前でルミアがうろうろしている。二人の帰りを待っていたようだ。フレムは無事でいるルミアを見て、ようやく表情が柔らかくなった。ルミアも二人を見てこっちに手を振ってきた。


「アークさーーん!洗濯物、取り入れておきましたー!」

「ルミアさーん、ありがとうございまーす!」


 もっと近づいてからすればいいような、そんなたあいもない会話。聖獣とか未解原子とか、そんなことも忘れさせてしまうようなほのぼのとした会話だった。


 だが、降り続く雨はどんどんと強くなっていった。


「ル、ミア、さん?」


 彼女の手はゆっくりと沈んでいき、顔からは笑顔が消えた。体を支えていた何かを失ってしまったかのように、ルミアはゆっくりとゆっくりと倒れていくように見えた。やがては体が地面に叩きつけられて、若干だけ跳ねてまた叩きつけられる。


「ルミアッ!!」


 フレムは傘を放り投げてザザ降りの雨の中に突っ込んでいき、ルミアに駆け寄った。

 彼女の体を抱き寄せると、何度も名前を叫んで彼女を揺すった。

 が、ルミアは苦しそうな表情を浮かべながら完全に意識を失い、ぐったりとした状態で返事なんて返ってこなかった。それでも彼は、何度も何度も、何度も何度も名前を叫び続けた。


 返事はやはり、返ってこない。

 雨がさらに強くなっていく。



「ルミアぁぁぁぁあああアアアアアアアぁぁぁァァァアアアあああぁぁァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」



 彼の叫びに返事はなく。やがては雨の音にかき消されていった。

 フレムの目から流れたしずくが、ツーっと頬を伝うのが見えた。






文章力が無いせいで、THE急展開になってしまった

多趣味アキオでござりんす♪


はい、皆さんのご想像通り、仁の影響です

いいよね、仁

おもろいよね、仁


とまぁ仁の話は置いといて

こんな駄文を見て頂きありがとうございます


自分の文章力が無いせいで

シリアスシーンに急に入って雰囲気薄れてしまいました


いやだなぁ、もうちょっと文章力つけないと

これから大変だからなぁ


まぁ 色々考えてはいるんでこれからもよろしくお願いします


ではでは

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