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 優志の家族で病院にいた者は76歳の祖母のキヌエ、52歳でスーパーのレジ打ちのパートをしている母親の仁美(ひとみ)、52歳で高校の英語教師をしている父親の孝介(こうすけ)、いずれも26歳で既婚の姉の松村潤美(まつむらうるみ)と夫の孝太(こうた)、22歳で大学生の妹の翼音(はのん)だ。

ーーこんなにも多くの友達や家族が駆けつけてくれるなんて、優志くんはどれほど愛されているのだろう。

葵唯はそんな気持ちになった。とにかく優志が無事かどうか知りたかったので、

「いきなりすみません……。私、優志さんとお付き合いさせていただいている雪代葵唯といいます。あの……優志さんは無事でしょうか……?」

と家族や友人に問いかける。すると母親の仁美が

「葵唯さん、初めまして。優志の母の白坂仁美です。優志はいま手術中で……」

と答えた。とにかく優志が亡くなったわけではないことを知り、葵唯は安堵する。これ以上嘆いても仕方がないので、手術中はみんなで優志の意識回復と手術成功を祈っていた。


 優志の手術は無事に成功し、意識も回復したそう。その場にいた誰もが安堵したことは言うまでもない。もちろん葵唯もだ。葵唯はその場で泣き崩れて、潤美と翼音に支えられていた。

 その後優志は何日か様子見のために入院したけれど、葵唯もキッチンカーでの仕事の合間にお見舞いに行く。リハビリの甲斐もあって無事に退院し、会社に復帰した。秀樹も他の同僚も優志が復帰したことを知り、心の底から嬉しそうだ。



 優志はデパート内のジュエリーショップで葵唯に渡すための婚約指輪を購入した。それからレストランで女性スタッフとプロポーズまでの流れについて打ち合わせをする。

「半年記念日なので彼女にプロポーズしたいんですけど……」

優志の相談に、スタッフは

「それでしたらこういう流れで、このタイミングでプロポーズしましょうか」

と返す。今回は時間がなくて手短に終わり、また次回も打ち合わせすることになった。しかしキッチンカーを運転していた葵唯が外からその様子を見ており、誤解を招いてしまう。

 翌日、優志はサプライズで葵唯の家に行くも、

「そんな汚い手で触るな!」

と拒絶された。いつもと様子が違うことで優志は戸惑う。

「私、浮気する人が1番許せない。優志くんがそんなひとだなんて思わなかった。もう帰って!」

と葵唯に玄関先で追い返された。そのままドアを閉められたので弁解の余地はない。優志は「まさかあの時のやりとりを見られてたってこと……?」と考えながら歩いた。

 あれなら誤解だ。あの時のことならあれは浮気じゃない。冷静に話し合おう。そう思って葵唯にLINEするも、返事はない。優志はもう終わりだろうかと思っていた。結婚したいと思っていたのは俺だけだろうかと。

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