K〇6と錬金術師協会⑥
美味しそうな絵描き男の妻、時代により名を変えており、今はアリシアというらしい。
彼女はライカンスロープという人食い鬼の血が流れている。
彼女が由紀菜と入れ替わった時に私の感じた思い。
彼女は優雅な所作で首筋を差し出す。
「私を食べるかわりにエリク君を見逃してほしい。
あなたの伯母がエリク君の祖父を好きになったのは勘違い。いずれ生まれてくるエリク君を食べたかっただけ。」だから自分を食べるようにと彼女はいった。
伯母はK〇6で死にかけた時私のなかで眠る道を選んだ。鬼食い人の本能のまま私がエリク君を食べていたら、私の心は伯母に乗っ取られていた。
私はその事に気づいていなかった。
私は伯母の身代わり人形。人の為に死ぬホムンクルス。全て伯母の手のひらの上の生き人形。なんの事はない、伯母は自称魔術師の錬金術師だった。
私は彼女の思い通りになりたくはない。
だから私はアリシアの首筋に噛み付く。
アリシアの顔が痛みにゆがむ。魔法使いである彼女に私の牙など通らない。いや私は人であり牙さえ持たない。彼女に鬼の血が流れる。その一点のみが彼女にないはずの私の牙を突き立てさせた。
彼女の血は甘く、しかし一部にしかライカンスロープの血が流れていない。
甘く、食欲をそそる香りがし、そして中身は毒でしかない。
アリシアはカマトトぶり涙をながす。アリシアは死にさえしない。誰かが強力な加護をさずけている。
彼女の持つ身代わり石は割れさえもしない。
そして私の命は後一日となる。最後の一日は伯母のもの。私の心はきえていく。
流水・・・、私は最後に思い浮かべたのは私達と接していた頃は流水と名乗っていたエリク君の顔だった。
私は彼に私のかわりに死んでほしいと思っていたはずなのに、今は彼に生き延びてほしいと思っている。




