最後のよる
明日はいよいよ最後の日。孤立した私のもとには1人の少女がやってくる。流水ではなくがっかりしている。私は私の気持ちに気付く。私はこの女が心の底から嫌いなのだ。私の前に立つのは私の孤立の原因、由紀菜だった。
彼女はあの時の事等何もなかったように、申し訳無さそうにしている。これだから錬金術師はと思う。相手の顔色をいつも伺う奴らだし、不利になるとすぐに怖気づく。
私は不機嫌さを隠さずに「なに?」
と聞いた。由紀菜が少しビクリとしたのが分かりいい気味だった。彼女はきっと男女が同じ数だけいた世界ではその容姿からチヤホヤされた。
今は同じ位容姿の優れた人しかいない。宇宙に逃げる船にのる審査は容姿も重視された。そして男も一人だ。
彼女は少し切り出し方を考えてから話はじめる。
「先生に謝りたくて。」彼女は確かに一度私の生徒だった事はあるが、一度も殊勝な態度など取ったことはなく気味が悪い。
私は「結構よ、あなたに謝られるような事はなにもないから。」とこたえる。彼女は敵である。彼女の性格、錬金術師の性格はしっている。許される言い訳や、勝ちを確信してから謝る。私は錬金術師のあり方が嫌いなのだ。拒絶すればなにもいえなくなるのが錬金術師だが今日はちがっている。
「私は由紀菜ではありません。少しこの人の体を借りただけです。なんとかあなた達を救いたかった。エリク君は明日死にます。私はあの子の説得は出来なかった。最後の男性、どう考えても死なせるわけには行かない。だからあなたを利用した。大切な弟子、和音の最後の願いです。」私は「勝手な事を」とつぶやいたけれど笑いをこらえるのに必死だった。流水が死ぬ。私は生き残る。明日には無理でも30年あれば次の生贄も避けられるように皆を説得出来る。やはり誰がどれだけどう考えても人造人間は人の為に死ぬべきなのだ。「私は元の世界に帰ります。私は本当はあなたを犠牲にしようとしてました。あなた達は0次魔法という考えられない高みに昇りましたがそれは格についてだけ、今のあなた達は私よりずっと弱い。本当はあなた達が束になっても勝てました。けれどあなた達の子孫がいつか、あの本物の0次魔法である死神を倒す事を祈っています。それと私はあなたの正体にもきづいてましたよ。だからあなたの事を生贄にしようとしたんです。でも今はあなたを応援してる。あなたを苦しめた事はごめんなさい。」そう言って不敵に笑ったあと彼女は消えていった。目の前には由紀菜とは似ても似つかない女が倒れていた。
私はその女の事を無視し、彼女の言葉を思い出す。
「いつからバレてたんだろう。私が人間じゃないって」私はそう一人つぶやき思いを巡らせる。
収拾がつかなくなってきた。
リーナの正体が人間でないというのは一つの案として考えてはいたけど正体は考えてなかった。




