リーナとエリク⑦
流水の腕にしがみつく女。
彼女の化けの皮が剥がれていく。
「和音!」流水はそう叫んだ。彼の死んでしまったとされる恋人。病死とされていたが先程の彼の話を聞くに彼の教団の幹部に殺されたらしい。彼女ならば死を偽装するくらい容易かっただろう。
流水は喜びの涙を流している。
彼は口では憎んでいるように言いつつも彼女を愛して居たのだ。`由紀菜`は私の教師時代の教え子だった。私が教師を辞めるきっかけになった生徒でもある。彼女の魔法は世界を作り変える。科学は全て過去のものとなる。私だけが取り残される。昨日までの知識が今日には変わっている。私は小学生でも分かる事が分からなくされるのだ。
私が「どうしてこんな事をするの?」と聞くと彼女は驚いた顔をする。バレないとでも思って居たのだろう。「あなた魔術師?」と尋ねられたので
「教師にする言葉遣いじゃないわね。改めなさい。私は魔術師の姪よ。」と答えた。彼女は口を押さえながら私をバカにするように笑う。
彼女はひとしきり笑い終わると
「私は錬金術師よ。見た目は女子高生だけど、年はあなたより何十も上」と言った。
私は「それくらいは見たらわかるわよ。年じゃなくて私は教師であなたは生徒。あなたも年上の弟子がいるでしょう。」といってため息をついた。彼女は私の胸ぐらをつかみ。「お前、ホントに何を知ってる」と凄む。
私は正直に「なんにも知らないけど」と言った。彼女は私を離すと不機嫌そうに何処かへいってしまう。彼女は普段猫を被っているので、被り直しているのだろう。サシェの苦労が偲ばれる。
次の日私は伯母の姿になり彼女の生徒に変わっている。彼女の授業に出るまで、自分の過去が変わっている事に気づけない。彼女がその気なら全く気づけなかったのだろう。私は妹をつまり母を疎ましく思っている。その事に気付かさせられる。
私は優秀すぎる生徒だった為にクラスメイトや教師にうとまれていることにも気付かさせられる。そんな私に唯一優しくしてくれた私の好きな彼は隣のクラスの男の子、つまり私の伯父にあたる人物は、私につまり由紀菜に恋心を抱いている。
由紀菜は彼の気持ちに気付き彼に交際を申し込む。世間から後ろ指をさされないよう公表は控えるという事だったが卒業後の同棲の話まで取り付けている。
たまたま私が居合わせた。もちろん由紀菜が世界を操ったのだ。
彼は私に「誰にも言わないでくれ」と頭を下げる。そんな彼は見たくなかった。由紀菜はかまととぶって悲しげにうつむいている。私はその場で大泣きするが彼はその心配ではなく、保身の為にバラさないように頼むばかりだった。
私は1人で研究者になり、10年後殺される。私は泣き叫びながら、死んでいく。いや違う。泣き叫ぶ力が消えていく。
由紀菜が「魔女に逆らう事の意味が分かった」と尋ねる。私は正直、夢か催眠術だったのかとほっとしていた。由紀菜は嘲るように私を見下す。時間は半分の5年しか経っていなかった。けれど全て本当だったと分からさせられる。由紀菜がその気ならそっちが本当になっていた。この世界では由紀菜は私に憧れて教師になったという事になっている。今はそっちが本当になっていた。私はもう由紀菜に心を折られている。私は教師をやめた。




