リーナとエリク⑥
私は人造人間、私は錬金術師、私は絶対に勝てない相手に挑んだ者なのだ。
私は増長する。私もまだ20歳を少し超えた所、皆私に騙された。私だって人造人間だ多少の増長は許して欲しい。
私は私が善人ぶれる13人を選び行動をともにする。彼等は私が善人ぶった行動をとるとなぜ得にならない事をするのかとわざわざ聞いてくれ、それを私がそれっぽく説明すると皆感心して、他の皆に伝える。私が世界を滅ぼす悪の人造人間と言う事に気づかない13人、私は死から生還したと本気で思っている。人造人間が餓死等するわけがない。暗い所から担ぎ出せば太陽エネルギーが再度充電されるに決まっている。最初から死ぬような状態ではなかった。
私は本当は絶対に勝てない相手に挑んだ者でなく、騙す者なのだ。
私が救い出された時1人の女性は私にすがりつき泣いた。呪いの依頼以外でやってきた珍しい人。
人造人間にも恋人くらいは出来る事もある。
彼女は言った。
「私はあなたの秘密を知っている。」
彼女はすがりつき泣くふりをして私にそう言った。
私は「和音?」とつぶやくと彼女は頷き更につぶやいた。「あなたに世界は壊させない」
それが2人が恋人同士になる時の会話だった。
「それからは皆の知っているとおりです。和音が嫉妬した他の信者に殺されて、それに合わせで皆に天からの滅亡の報せがとどいた。私達は宇宙に逃れ、世界からの出口に導かれた。世界中のすべての物質が強制的にK〇6を取り込んだ状態になり、この毒の唯一の生存者である私の体液から血清が作られた。30分以内に打たないと効かない。間に合うはずがない。間に合ったのは7人だけだった。」
どうして女性ばかり7人間に合ったのだろうか。もちろん心当たりはある。
和音の死については、復讐を私に選ばれたという優越感で誤魔化しただけの奴らだ、更に優遇される者は許せない。だけど私は勝てなかった。私は私の策略で彼女は死んだと思っていた。本物の魔法使いにたかが人造人間が勝つには人生を賭けるしかない。私はずっと彼女をこちらの世界に呼び寄せるようにうごいた。私は彼女をおびき寄せる餌だ。いや、私は人造人間、疑似餌と言ったところか。
けれど私は勝ってはいなかった。これは彼女の自殺だった。聖杯は世界を守る為に身を捧げた。私が死ねば世界が救われるなんて最初から嘘だった。最初から世界を救う道等存在しなかった。それを隠そうとした。
私達の世界なんて初めからパラレルワールドの一つ、子供の頃から知っていたではないか。自殺した彼女もきっと聖杯により生み出された1体にすぎない。
人造人間が犠牲になれば世界が救われるなんてそんな都合の良い話等ありはしないのだ。私はその事は皆に言わなかった。皆にはやはり私が世界を壊したと思って欲しかった。
「その話、嘘だね。」1人の女性が私に話かける。
リーナはそんな彼女を睨みつけている。彼女の顔が変わっていく。私が仮面を取ったときと同じだ。
2人はにらみあっている。リーナは真の姿を現した彼女にむかって「この泥棒猫と叫んだ。」
彼女は「ニャアン」とこたえた。




