鬼⑤
戸惑いを食べる鬼を見送る私とサラ、サラは必死に涙を堪えている。鬼は鬼だからそれには気が付かなかった。サラは鬼が去った後、私の胸に顔を埋めて泣いた。
サラは知っていた、あの鬼はもう長くない。あれだけ私になじられてもサラは涙は見せなかった。この美しい少女は、行きずりに出会った人食い鬼の為に泣いた。
サラにも来年には子が生まれる、私には大魔境を確実に越える力はないため、私が100歳になるまではコチラですごす。その後サラが門を開き大魔境を出現させあちらに向かう予定だ。100歳になれば安全にあちらに渡れる権利が発生する。人類には知らない者も多い。本当にまだ有効か分からないがサラのサポートがあればどちらにしても9割方は大丈夫だというしその時一番良い方法をとればいい。
ハドソン氏は月の民の世界に渡るらしい。由紀菜嬢の元に向かうのだ。
私も100歳にならずとももし向こうからタリアやエリーなど仲の良い2次魔法使いが迎えに来れば私を伴ってもより安全に抜けられるらしいがそれはどうなるかは分からない。
悲しみの世界から私達はぬけだす。
終わった世界から魔法使いは脱出する。鬼、新人類と魔法使いの間には反抗しなければ生かされる取り引きが進んでいる。
幸いな事に感情を食べる鬼が上位に位置するため、言語は取り上げられない。
それでも分断はすすみ、本格的な人類、いや旧人類の家畜化が進むのだろう。
所であの人食い鬼が連れていた子は何だったのだろう、サラは気づいている。本人は人を連れている気になっていたけれど私には我々人類と同じとは到底思えなかった。
サラに見逃された私は子供に話しかける。私はもう全く子を食べたいと思わなくなっていた。私は旧人類になった気がしている。なぜかそれがうれしい。自然とこの子につけるべき名前が頭に浮かぶ。「あなたの名前をつけてなかったわね。あなたは浮かれた鬼を食べる人。」私の意識はそのまま途切れた。
その後の事は分からない。新人類は次の人類に淘汰されたのだろうか。その事を私達に伝えるものはいない。
次のシリーズが最終章になる気がしますが未定。前作はそういう状況から伸びたので。次の作品はもう結構書きため始めてますが企画用のやつを挟みます。




