鬼④
サラが私をまっすぐ見つめている。私が何か言いたいのだとわかっている。きっと何を言いたいのかもわかっている。秀一だってそうだろう。
「私の子を引き取ってくれないだろうか」私は彼女等の予想通り、そう切り出した。5歳まで鬼と過ごした子、私の瞳から一筋の涙が伝う。
そして声は震えていた。人の、旧人類の世界に送るのではない、魔法使い達は人の世界から逃げ出した。たしか人族の魔術師は100歳を超えると人族の世界から離れると言っているが、秀一はまだ100歳にはなっていない。家畜となった旧人類に託すのではない、かつて我々と渡りあった、そして、我々を退けた魔法使いに託す。
私は涙のこぼれる中もう一度サラを見つめる、名前もつけなかった子が私の服を強く掴む。子が戸惑っている。私は戸惑いを食べる人食い鬼、私は口を固く結ぶ。子を食べたいと思わなかったのは私の心が強くなり、子が戸惑わなくなったからだった。
おいしそうな子、おいしそうな秀一、動じていないサラ、わたしのお腹がなる。私は泣きながら笑った。
それでもサラは小さく首を振った。
「私は人食い鬼の世界にも行ったことがあるし襲われもした。探検家だった私は、現役時代には何度か鬼とも戦った。秀一君とあった時には強い鬼に食べられもした。でも私と鬼は敵じゃない。ただの時と場合の巡り合わせで戦う事があっただけ。私がその子を連れて行った後、あなたは死ぬつもりでしょう?それは見過ごせない。」
といった。
私にそんなつもりなんてない。やっぱり旧人類と新人類は違うのだ。
私はもう一度サラを見つめる。上位の鬼は大きい以外はほとんど人間と変わらない見た目になる。天使と同じだ。鬼は大きい、巨人と同じだ。
鬼は.5次魔法側の存在だ。精霊やドラゴンと同じだ。
鬼に獣や魔物の姿をしたものも多い。
鬼には正体など無い。
それでも鬼と人は違う。違うという事は同じという事、同じだからこそ差異が気にかかる。
サラの表情は変わらない、私は反論できずに目をそらす。私は「ありがとう」とつぶやいた。サラはようやく笑顔を見せてくれた。
次回がオチだよ!




