小さな星と聖杯の秘密⑦
彼女との今後を考える。
私は病院での検査等もあったこともだが
例の脅迫の件もあり、研究所は私達の部署は休止している。今後狙われないという保証もない。
1週間の間、私は悩み続ける。
私は大錬金術師ルカの遺したとされる書物についてはもう何も分からなくなっていた。
生まれてから今まで常に頭の中に暗号を解く鍵があり、それにより少しづつ読み進めてきた。大切な人が出来た時初めて、その人が書物だと気付く。
きっと誰もが持つ鍵は運命の人と出会う前にどこかに忘れてしまう。互いが鍵であり互いが書物、彼女は死んだわけではない。大切でなくなったわけではない。けれど苦しみが僕からそれを取り上げた。
貼り付いたようにページを開け無くなってしまった。
僕にはもう研究を続ける価値はない。
僕はもう研究に参加する資格を失ってしまった。
彼女の妹が僕のもとにやってくる。彼女は家を飛び出したが妹とはこっそり連絡を取り合っていた。
僕の彼女に負けず劣らずの才媛であり、何でもこなす万能の天才。姉と被るから学者でなく陸上の道を選んだ人。
たまたま運に恵まれただけの私のような凡人とは違う。身分違いの恋だった。
10歳も年下の彼女は僕を蔑んだ瞳で見下ろし、
「また、お姉ちゃんを1人にするつもり?」
といった。軽蔑の意思を感じたが僕は天才ではないのだ。彼女は僕に姉との手紙をくれた。
よく読んで考えろという事だ。
手紙の内容はあまり見ていられなかった。
僕の彼女は私が頼りないことへの不安と不満をよく送っていた。
一緒にいる時にはそれを微塵も感じさせなかった。
本当に魔術師ならば、隠さない。
彼女がその気持ちを隠そうと思ったのは人間だからだ。僕は少し気力を取り戻す。
ようやく僕は前を向けた。僕は走りそして叫んだ。
僕の前には2つの道がある。
彼女の治療法を探る道、そして、
錬金術師協会に復讐する道。
どちらを選んでも人生の全てをかける険しい道であり。行き着く先は行き止まりだけれど決めるのは今だ。
何人もの先人がみつけられなかった彼女の治療法を見つけるなどできるわけがなくそもそもそんなもの存在しない可能性が高い、また個人で数百年続く秘密結社を壊す事も出来るわけがない。誰が考えても無謀とわかる。私は無謀な事をしたかった。
そこに一つの知らせが届く。




