月の民⑦
リーナは世界崩壊のきっかけをはなす。
世界の崩壊は私のせいじゃない、だから仲直りしたい。そういう意図があるのだろう。
2人は見つめ合う。どちらも何か言わないといけないと思っているけれど言葉が見つからない。
謝る事も違う。
ルカの送った、小さな星と聖杯の秘密は読めない本だった。誰もが心の中に持つ読めない本。それが世界の歴史を作り直した。
その本が世界に争いと悲しみをよんだ。
私は言葉に悩みようやく、
「彼らにとっては我々等どうでも良かったのですね。」
と悪態をつく。リーナは目を背けていた部分をつかれ、考え込む顔をする。
彼女らにしては当然の事なのだ。死ねはずだった人々に数千年の時間を与えた。御の字だ。
200億から5億にまで減り鬼達に生贄を捧げる事で辛うじて生き延びでいる人類。
その人類にとっては仮想現実に過ぎないが自らが決定権を持てる世界を与えた。
げんに5億のうちに4億がそちらの世界を望み、半分の2億が選ばれた。
我々は彼女達にとってはもう仮想現実の世界の存在なのだ。
いや違う優秀な魔法使いにとってはそうでないものは全員がそうだった。魔法の格が違うとはそういう事だった。
我々の数千年は彼女等にとっての数年、それさえも、遠慮をしての事。
中に住むことを選んだ人達が種の寿命を終わらせても、外の人々は生きている。
あまりに一瞬であれば例えそうでなくとも、外の世界のものには彼女が殺した様に見え彼女を憎んだかもしれない。
そしてそれはある意味では正しい、完全に制御された世界は魔法の格は上がらない。先のない世界に閉じ込めた。
人にとって人は多くの可能性があるように見えても人にとって人造人間は例え何かの面で人を凌駕したとしても有限の決まりの中に生きている。
魔法使いにとっての人は人にとっての人造人間だ。
5億のうち4億がそう望んだけれど全員を移動させなかったのはそれを怖がったからなのだ。
「あなたは多分それを当然だと思っているのでしょうけどそれは違うわよ。なぜ和音が選ばれたかの意味はあなたならわかるでしょう」とリーナは答えた。
和音は優秀な魔法使いだったが、もっと優秀な魔法使いはたくさんいた。彼女が選ばれたのは完全な制御を出来なかったからだ、彼女は聖杯になる事で苦しんでいた。彼女はミザエルの父と同じ状態になる事で我々の世界を守った。人は少なくとも人の思う人でいられた。
錬金術師は魔法の格の上昇を目指すもの。半端な強さだった、作られた魔術師ルカは、大錬金術師を名乗り我々の世界に魔法をかけた。
世界を滅ぼし、7人の魔法使いをうんだ。魔法の格の上昇はなされた。
それは彼の手により行われたのではない。私達が選んだ。
1人は私、私は人造人間かもしれない。定義次第。そんな私が自分が助かるために、7人を残し人類を滅ぼした。私だけが道を知っていた。私に最後の選択が託された。
私が7人だけを生き残る道をえらんだ。きっと誰も私を許さない。 けれど私は許されたい。
私が最初の生贄として星の人と戦うといった。
誰かに星の人との戦いをかわると言ってほしかった。そしてみんなそう言ってくれた。私がそれを断るとわかっている時はそうだった。
ルカの書物はすべて読み解けば外の世界とコンタクトを取れる。
そうして祖父は死の運命にあった私を聖杯を利用し生き延びさせた。聖杯にはK〇6が入っていた。私には父はいない、母が1人で子を産んだ。祖父と母は私の目の前でその杯に現れたただの水を飲んだ。
K〇6はただの水だった。聖杯によりもたらされたただの水だった。
私と私の母は人間ではなくなっていた。それも定義次第だ。私には世界を滅ぼす呪いが溜まっていた。
サシェも由紀菜も翼を生やした姿となる。
彼女らに翼などあるわけがない。
女神の父を真似た。和音と同じ苦しみをしるだめに。
それが彼女らの考え。私は「これだから錬金術師はとつぶやいた」




