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小さな星と聖杯の秘密(0次魔法シリーズ②)  作者: sisousi.kenta


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月の民③

態勢立て直し、すぐさまサラは剣を取り出す。


カトリーナ1世がその美しさにそぐわずヤバい人だとは聞いていた。彼女がこちらの世界で暴れれば、1次魔法者たちが人間を気に入り優遇している事をよく思わない者たちに人類を滅ぼす口実を与えかねないのだ。

1次魔法者だって人間ではない。それぞれの世界の王なのだ。本当にどちらかを選ばなければならないなら人間など切り捨てる。

「馬鹿やめろ!」と私が怒鳴ると1世は一瞬ビクリとしたあと振り向く。「ぶつぶつぶつぶつぶつぶつ」と1世はそう反論した。カトリーナ1世はサラに迫る実力だ。探検家時代はサラに一日の長があったが、カトリーナ1世はまだ伸び盛り、最終的にその実力差かどうなったかはわからない。



サラ、カトリーナ1世、そして私。

みつどもえの戦い、私は気づいてしまう。勝てると思ったサラも私よりは強い。歴史上最強の魔法使いの候補の一角なのだ。ハンナやエリク、そしてこのカトリーナ1世、そしてタリア。魔法最盛期の魔法使い達。

それらを1次魔法者の力を得た私は超えたはずだった。私は1次魔法者の力など超えてはいなかった。


「あなたの急激なパワーアップには驚いたけど、私にはまだ及ばない。ミザエルにあなたの事は頼まれている。だからあなたを止める。それとカトリーナ、あなた世界を滅ぼす気?」

私には優しく、カトリーナ1世には厳しく投げかけた。彼女はカトリーナ1世の女王即位前からの知り合いであり、1世とはつけない。


カトリーナ1世は

「でも、いつでも森を奪い返しに来ていいといった。月の民にとってあの森が大切なように、エルフにもあの森は特別な場所」と駄々っ子のように叫んだあと私が元女王でなければこんな戦い方しなくて済んだのにとつぶやいた。


サラは「あっちの世界では、私がなんとかとりなすから、全力でかかって来なさい」

と言ってため息をついた。

カトリーナ1世は落ち着いた所作でサラに礼を取る。そして私の所に無防備に近づき、「元はと言えばあなた達のせいだったわね」といった。気づくと私は殴られ尻もちをついている。


どうやら私に1次魔法者と同じだけの力はない。

それでも強さは上がっている。サラは他の仲間の参戦を手で制す。同時代の天才であるポーラなら結界は日破れるだろうが、彼女はサラに戦いを任せている。

私はサラの言葉を思い出す。女神は私を心配してくれている。カティア様の像にお参りに来て私によく悩みを打ち明けていた少女はミザエル様だった。私は1次魔法者の力が流れ込んだとき以上に力が湧いてくるのを感じる。

偽の聖杯和音を破壊した後も女神は私を軽蔑せずに居てくれるだろうか。

逆の立場であれば私には出来ない。


そして聖杯の破壊はもう完成している。



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