小さな星と聖杯の秘密②
我々の住む世界は非常に小さく、我々の住む星は更に一部と呼ぶ事もはばかられれ程小さい。そしてNI9851BW3番目の世界、それでもパラレルワールドの番号をあらわすにしては異常に少ない桁数といえる。「パラレルワールドがあること自体が世界の不完全さを表してると思うけど?」自称魔術師の彼女はそう答える。大昔にはやった哲学、僕には哲学や宗教というのは難しすぎるが、要するにいずれ死ぬと分かっているのに何故生きるのかについて考える事が根本だと思っている。今は多くの人が考えても仕方がないを答えのベースに起きながら、誰かの作った宗教に時々のっかっている。
「僕たちの研究はその不完全さを探る事にある。世界は再利用されている。再利用されているからこそ総数は少ないままになっているその証拠が欲しい」僕は彼女の瞳を見つめながら伝える。少し声が大きく、なってしまう。興奮して鼻が膨らんでいるところを見られるのは恥ずかしい。現在世界でも5指に入る宗教に関する理念を思い出す。死後の永遠の世界をうたう宗教が多いなか、その宗教は違っている。その宗教を開いた男はある時思い出す。全ての世界の全ての時代の生きとし生けるものの命は繋がっている。自分はあの時思い出した。自分は100年前の君だった。自分は100年後のあなただった。自分は300年後の彼だった。だから安心してほしい生きる事は無意味じゃないとそういう教えだ。今目の前にいる彼女を見つめながら僕はそのことを思う。今度の情報溢れをうまく利用すれば科学的に再現出来るようになるかもしれない。そこまではいかなくとも証拠は見つけたい。大昔の錬金術師はそれは2.5を超えると言った。彼らは2次魔法というものを信じており、3次魔法である人類が2次魔法に近づく事をよしとしている。全てを思い出す事は2.5次以下にまで近づく事だと言った。彼女は僕の心を見透かしたように。「脳を流れる電気信号の痕跡の痕跡の痕跡の痕跡から記憶を再現する。その技術が他の世界どのパスを通した。あなたの仮説は証明にかなり近づいた。あなたが証明する。私が意味を見つける。あなたなんだか大昔の錬金術師みたい。」彼女の言葉に僕は「これだから錬金術師は、と言われちゃうね」と言いながら彼女の髪をそっとなでる。ベッドから抜けだす彼女。彼女は以前本当の錬金術師は錬金術師と魔術師二人でなるものだと教えてくれた。僕は錬金術師になるのだろうか。