K〇6と錬金術師協会③
錬金術師協会の男からの問答が始まる。隠していたレコーダーのスイッチを入れる。さすがに光線銃は残っていないが彼らは誘拐した私の持ち物のチェックさえしていない。
「小さな星と聖杯の秘密という本をしっていますか」その問いに対して私は、
「写しを見たことがあります。私の友人がその本の研究をしています。」と、こたえる。
あくまで原本を見たことがないと伝えたかったのだが、逆効果だった。目の前の男は怒りの表情を浮かべており、他の人々も写しを作ってはいけない本だと口々に話し合っている。なんとなく、年貢の納め時という言葉を思いだしている。私にしてはよくやった。子供の頃は変わり者と言われていたけれど、社会に溶け込むため、ほんの少し自分を抑えて人に合わせる自分がすきになっていた。
情報溢れの原因、世界となった女性の不調の原因は、彼女の師匠やそのまた師匠、その上の上のずっと上の師匠はなぜ彼女にこの役目を彼女に押し付けたのかという怒り。
「次の質問だが、君たちが情報溢れとよぶものの正体を何だと思っている。」
重要な質問だこの答え次第で何かがかわる。レコーダーのスイッチを入れていてよかった。もし私が殺されても秘密は伝えられる。けれど私の声は涙でかすむ。怖くないわけがないのだ
「怒りと後悔です。なぜ自分がこんな役目を引き受けたのか、もっと完璧な世界を作れたものはたくさんいるのに。ブランドンが憎い、サシャ、ディアナ、由紀菜も、そしてウェンディも、何よりも大勇者エリーが憎い。きっと何か考えがあってそうしていることがわかっているけれど、自分の為でなく、自分の中にすむ人々の為、自分の中に住む人日が憎い。」徐々に感情的になり、私は最後なきながら叫んだ。
「違うそんな事はない、これだから魔術師は」図星をつかれた男たちの怒号が飛び交う。叩かれる事はなかったけれど強く肩をつかまれる。私の研究は感情の痕跡の痕跡の痕跡を探る事
「一度目の入植者は彼女の感情変化により滅んだ。そんな事で絶滅する世界。自らの魔法により、感情をギリギリまで消し去った女性、その後は人間以外を住まわせ、何度かの実験と絶滅の後に私たちの住む場所以外に世界のほとんどを余白にし、いくつものパラレルワールドを作り出し、被害を分散させ、本当の入植者たちを守っている。」大切なことはすべて話した。証明には苦労するかもしれないが、錬金術師たちもちゃんとは知らなかったことのようだ。私は一発たたかられるが、リーダーと周りの男たちにより興奮した錬金術師の1人は取り押さえられる。悪の秘密結社ではあっても女性に手を上げる事を咎められている。それでも私は恐怖で呼吸ができなくなる。
リーダーの男は「部下が失礼しました。ただあなたが何も知らないことがわかりましたので開放することにしましょう。」といった。少し呼吸が落ち着く。私の説は間違っていない。認めたくないだけど、最初ここの錬金術師が真実に近づいていると感じたのは、何のことはない有力な錬金術師の説を自分なりにあやふやな解釈のまま言っていただけなのだ。自分から世界の真実に近づいたものではなかった。だから違うものは受け入れられない。「ありがとうございます」と私は言う、消え入りそうな声だ。
「あなたのような方が味方に入ってくれればうれしいのですが、最初のあなたにお渡しした水にはK〇6をまぜさせていただきました。錬金術師は人を殺すことができませんので」といった。私は絶望する、私は初めから助からなかった。最近の誘拐事件などで多用される出処不明の死なないだけの薬、量にもよるが3時間程度で気を失い、2度と意識を取り戻すことはない。30分以内に治療しなければ重篤な後遺症が残る。1時間を過ぎれば症状を止めることはできない。もう1時間すぎている。徐々に体が重くなっていく。私は涙をためた瞳で錬金術師を見上げる。男は最初のように慌てることはなかった。




