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小さな星と聖杯の秘密①

太陽は沈み、月と星が姿を現す。大昔にかかれた書物との違いはなんだろうか。多くの古い書物で太陽は沈まなかった事を示す。


「私、明るいほうが寝れるし、その時代に戻ったら生き残るのは私だ」同棲中の女性はコーヒーを口にしながら話しかける。


「魔術師なら夜がないと本領発揮出来ないだろう」と自称魔術師の女性を皮肉る。白衣を着る彼女は初めて出会った日、僕にだけ自分が魔術師だと打ち明けた。


彼女は太陽をにらみつけた後、眩しそうに目を強く閉じる。僕はカーテンを閉める。


休憩を終え、僕等は世界の秘密を探る作業に戻る。この星はなぜこれ程小さいのだろう。


大錬金術師ルカの残した預言書を読み解く。小さな星と聖杯の秘密、タイトルさへ読めるものはごく一握り。本の体をとらない本を僕の肩からのそぎ込み彼女は「この秘密を魔術師に知られてはならない。だって、彼の言葉として残ってる。これだから錬金術師は」と言った。


魔術師と錬金術師は仲が悪い。魔法に対する考え方の違いがそうさせる。魔法なんて有るわけがない。そんなものの為に嫌いあう。

なんと愚かな事だ。

ほんの10年前ならそうだった。

嫌いあう事が愚かという所が替わったわけではない。彼らのいう魔法の正体が分かりはじめた。

いやそれも少し違う。

世界を作った者がいる可能性が高まった。

そしてその方法が古い書物にかかれている。

それを魔法とよんでいるのだ。

世界をつくる。再現は出来ない。再現は“まだ“出来ない。

観測結果と予測と矛盾がない事が分かっただけ。

「世界を作るエネルギー、そして世界を維持するエネルギー、世界を循環するエネルギーから、人間特優の波長が見つかった。世界を維持する為に聖杯となったものがいる」

そのことが科学的に証明されようとしている。観測機器の発展は最も分かりやすく科学を発達させる。いくつもの証拠が見つかっているけれど感情的に見つめられないものも多い。自分自身を世界に変えるそんなのは生贄と同じじゃないのか。だから錬金術師は秘密を隠そうとしているのだ。

彼女は

「聖杯となったものは多分女ね。」

と言ってカーテン越しに天をにらみつけた。

なぜそう思ったのかはこの時の僕には分からなかった。


僕たちの仕事はこの世界の秘密を探ること、ある時期より昔、魔法はあるものとして伝わる。話の中に存在するのではなく、実際に存在するものとされていた。それはいい、その痕跡がなく、今失われている理由そちらを調べなければならない。


「失われてないけど?」同棲中の友はそう答える。ここ10年で大昔の人々が魔力と呼んできたエネルギーを観測出来るようになりはじめたが、まだ一般的に実感としては広まっていないと言って良い。

ただ彼女の事を自称魔術師といったが、今は違う。彼女は自らの研究により、宇宙に果てがあること、この星以外に知的生命体がいない事を証明した。

颯爽とあらわれ世界の秘密を明かす、彼女は現代の魔女と呼ばれるようになった。

そこには大昔の恐怖の対象といった暗いイメージはない。例えられただけとわかっている。

だから彼女は本当に魔術師なのにと、頬を膨らます。僕の研究する魔法のあった時代と彼女の有限の宇宙の秘密はどこかでつながるのだろう。きっと僕は錬金術師であり、彼女は魔術師なのだ。「錬金術師と魔術師が一緒に住むなんて大昔には考えられなかった事だろうね」僕も彼女も超科学的な力を持つわけではない。

いや見る人によってはそう見えるかもしれないが、僕も彼女も観測結果とこれまでの科学を元に研究を行っている。

今はまだパラレルワールドの未来から自然災害の予測を行う事が出来る段階であり、今後魔力を実際に取り出せるようになれば発生自体をコントロールできるようになる。そして更に先には・・・、セカイヲ

錬金術師が魔力の事を隠したがった理由は察せられるし、一部には共感できる。そう思い始めていたのだが彼女は

「あなたも普通に魔術師寄りの考え方と思うけど?」

と笑顔を向けるのだった。

僕には彼女のいう魔術師と錬金術師のラインはまた分からなくなる。

僕たちの研究は今大きな進歩を迎えようとしている。


存在性補助世界NI9851BW3我々の住む世界はそう呼ばれる。大昔の錬金術師がそう呼んだ。

自称魔術師の彼女や、自称現代の錬金術師等という我々研究者は他の世界の自分と同調性の高い人間との対話により世界の秘密を探っている。情報溢れの濃くなる地点を予測し使用権を買う。昔の通信機器でいう所の電波が強いというようなものだろうか。強いと言ってもごく弱い。「億単位の人間の人生が入って来る感覚はいつまでたってもなれないし、現時点では機械に肩代わりさせることも出来ない。情報溢れの原因は仮説段階、私が証明したことは、世界に果てが有ることが本質じゃない。情報溢れによる同調を行う世界ではない、外の世界が有ることだ。」彼女はいう。我々は本体を補助する存在、世界に番号が振られているという事は有限で有ることを表している。この星は我々が生きるために作られた。彼女はその皆が薄々気が付いていた、不安を証明した。けれど彼女は希望はそこにあると言っているのだ。


僕と彼女が研究するのは世界の秘密。世界はなぜ有限なのか、広さもその数もなぜ運動は法則により制御されるのか。そんなことは決まっている。誰かが作ったのだ。そしてその存在の本のすこしの感情の揺らぎが世界を壊しかねない。とても不安定な世界。計算は進んでいる。普通の人間の普段の何気ない感情の揺らぎでも銀河が砕ける。僕の恋人の言を信じるならばこの世界となった女性は感情さえもギリギリまで殺している。

我々を守るためだ。でもその我々は本当に我々なのだろうか。たくさんある世界のうち彼女が守りたい世界は一つだけではないのか。いつか誰かが君たちは人間風の何かだと伝えに来るのではないのか。

みんなうすうす気づいているのだろう。NI9851BW3番目の世界が彼女の大事なたった1つの世界のわけがないのだ。


結論の1個を最初に書いて以降のハードルを上げる作戦

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