魔術師と錬金術師は仲が悪い。⑧
私とハドソン氏はそれぞれの武器を構える。子供たちも子供たちなりに戦闘に備える。サシャと由紀菜嬢は武器はまたない。今の流行り。ケイカイセヨ・・・ケイカイセヨ・・・モウオソイ、心に湧き出る危機感と恐怖、魔法が隆盛を極めた時代の古の最強の魔法使いが負けた。戦いの様子も気づけないほどに早く洗礼されていた。魔法はどれほど遠く離れていても0秒で相手の元に届く、我々の魔法でさえそうだ。それなのに我々とは魔法の速さの次元が違った。最強の魔術師を殺した者が最強の魔術師をねらっていただけで、我々に興味がない。それを祈るだけ。
身を隠そうとするとそれが相手の気に障ってしまうかもしれない。身を隠す魔法は必ずばれる。畏れ身を固くしている。それだけがわずかに残された我々の生きられる道。サシャも由紀菜嬢もわかっている。よく鍛えられている。何とかして生き延びさせたい。
鬼だった。人食い鬼だった。上位世界の鬼。世界が閉じた後でもこちらに渡れる力が持つ。新人類・地獄の鬼、そして我々旧人類、全員で戦っても勝てない。上位世界の者はきっと我々に等もう興味はない。たまたま人食い鬼であったから興味を持っただけ。
「何も恐れることはない。食べられるだけだ。」
その鬼は何かをしゃべったが何を言っているのか意味が分からない。
恐怖により気を失う。気を失ったはずの我々は意識が閉じない。世界がかつて大魔境と飛ばれた人食い鬼の胃袋に代わっていく。我々をそこで食べるのだろう。大昔の探検家のある考察、人食い鬼の胃袋は人間の存在を細分化し大量の鬼に行きわたらせるための機構。我々が気を失っていても意識が残っているのは、目の前の鬼に何かをつまみ食いをされたのだ。
人族という3次魔法のものを強制的に2次魔法にかえる呪い。2次魔法の力は手に入らずに、存在だけがぼやけさせられる。鬼が近づく。もうダメだ。もう・・・ダメだ。サシャのほうを振りむこうとするがその機能はもう食べられている。
「させない」
足だけになったはずの最強の魔術師。彼女は剣により鬼を切りつける。ひるんだすきに我々を転移させる。鬼は最後に「大魔境の中で転移の魔法を使うとは力をつけたな」といった。転移した先でも言葉が途切れることはない。「私はウェンディ、あいつもしつこく狙ってくることはないはずだからとりあえずは大丈夫よ」といった。若い魔術師。魔術師はどのくらいで外見の成長が止まるかわからない。
由紀菜嬢は「ウェンディって大悪女サラ?」と問いかけた。この子言っちゃったよ。と私は思った。




