世界を守る100人の魔法使い①
この話には諸説ある。今私たちの住む世界の外のことなのだ。
魔法使いには悲しい現実がある。自らの生まれた世界では人はほぼ駆逐された。
魔法使いは100歳を超えたあたりから世を離れる。永遠の命を持つ魔法使いが、そのまま暮らし続けては進歩が止まってしまうと考えたのだ。
それでも本当に人族の亡びる寸前、力を貸す者はたくさん現れた。
ただそれは力のない魔法使いばかりであった。当然のことだ。強い魔法使いはもう人ではない。
自分が人でなくなれば人も鬼も関係ない。そういう感情面もある。
強力な魔法使いが手を貸せば相手は滅ぼす事ができる。危険など何もない。自らに危険があるわけでもない状態で一方を滅ぼすなど気分の良いものではない。こちらも感情的な理由だろうか。
比較的新しい魔法使いであれば知人の誰それがと、自分を納得させる理由も見つけられるだろうが、深刻な魔法使いの質と量の低下が今回の事態を招いたためそれも期待しづらい。
100人の魔法使いの部隊が結成される。
人族の世界を取り戻す。身を挺して人柱となり続けるあの少女を救う。
和音といわれる現代の魔法使いはすでに10年自らを世界に変化させ、人々を安全に住まわせている。
2次魔法に達しているものや近い実力がなければ世界を創る事はできない。魔術はしょせん魔法の再現。魔法の質が本当に落ち切ってしまった今の時代では大悪女サラのように新たな世界を創る事は出来ず自らを世界に変えるしかできなかったのだ。特別に用意された大魔境の奥、ピクリとも動かない少女
感情の変化さえも自らに作った世界に影響を与える為魔法により消し去っている。この少女我らの子孫を救わずに何が魔法使いか。
「だから滅ぼすの?」100人の部隊の長コーネリアスに妻が問いかける。
きっと後悔するといいたいのだろう。我々はもう人ではない。人を特別視する理由はもうない。地獄の鬼や魔物にだって事情はある。そういう話でもあり、実力的に劣る97人の魔法使いについては半数以上が死ぬことになるだろう。
「必要とあらば」私は杖を手にしそう口にする。




