3-2 運命の人?
横井さんと話しながら、気がついたら会社の近くに着いていました。
「横井さん、この数日はありがとうございました。仕事も体調も順調でありますように。」
「じゃあ、小僧、今日のインターンも頑張ってね!」
「ありがとうございます。頑張ります!」明日も横井さんに会えるといいな。
車から降りてドアを閉めようとしたとき、横井さんが俺を呼び止めました。「あ、小僧!」そして、彼はポケットからヘアピンを取り出しました。「これは孫娘がくれたヘアピンだ。気に入ってくれたらどうぞ!」
ヘアピン?でも俺は男の子だけど・・・
「お気持ちは嬉しいですが、これは大切な孫娘からのプレゼントですよね。私には受け取れません。」
「小僧、安心して受け取ってくれ!ヘアピンなんて老人には似合わないんだ。」
「でも・・・」
俺が迷っていると、横井さんはヘアピンを俺の目の前に差し出し、困ったように言った。「え~と,誰かこの可愛いヘアピンを持って行ってくれないかな?手が疲れてきたよ~早く持って行って~」
これは感情的な脅迫だろ!?まあ、横井さんがここまで言うなら、断るのも失礼だよね・・・
俺は礼儀正しく微笑みながら、両手でヘアピンを受け取りました。「では、遠慮なくいただきます~」
待て、待て!さっきよく見てなかったけど、これ猫のヘアピンじゃないか!?今日は運が良いとか言ってたのに・・・
「はは~このヘアピンは坊やに幸運をもたらしてくれるよ!」
この一言で、俺の完璧な笑顔が崩れそうになりました。
俺はすぐに手に握ったヘアピンを固く握りしめました。うっかり道に捨ててしまわないように。
「あ、ありがとうございます横井さん。このヘアピンは本当にとても可愛いですね!今日の運勢は最高に良くなることでしょう!」
「はは!気に入ってくれて良かったよ――そうだ。坊や、迷ったときは心の声に従えばいいんだ。」
「横井さん、それはどういう意味ですか――」
「じゃあ、先に行くよ。坊やインターン頑張れ!」そして、彼は風のように去って行きました。
さっきの言葉の意味がよく分からなかったけど――
俺は手に持った猫のヘアピンを見つめてから、シャツの襟元に留めました。
でも、横井さんの言葉を信じてみようと思いました。
世界中の横井さんみたいな温かい人に今日も幸運が訪れますように。
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