スライム
スイにはスライムぐらい倒せるようになろうなって言ったけど、俺は倒せるのか?
「スイ! 俺が戦ってみてもいい?」
「もちろんだゴブ! 棍棒つかうか?」
リアドは誕生日プレゼントに父からもらっていた短剣を取り出した。
「・・・これがあるから大丈夫」
「なんかあったゴブ?」
「まあ、そのうち話すよ。とりあえずあのスライムを倒してくる」
そういってリアドは短剣をスライムに向けて構える。
「行くぞ!」
リアドは半透明のスライムの中にある核目掛けて短剣を振り下ろす。
しかし、核をずらされ倒すことができなかった。
「まだまだ!」
「頑張れゴブ!!」
スイに応援されながら、必死に短剣を振るがなかなか核に当たらない。
「スラ~」
「余裕そうにかわされてるゴブ」
「くそ! こいつ楽しんでるな」
「スラ♪」
スライムは知能が低いためリアドのスキルをもってしても言葉を理解することはできない。
しかし、感情はある程度分かるのだ。
「はあっ! やっ!」
かれこれ数十分。
いまだに倒すことができないでいた。
「はあ...。はあ...。はあ...」
リアドは膝に手をつき息を整えていた。
「大丈夫ゴブ?」
「スラ?」
それをみたスイとスライムがリアドを心配して声をかけた。
「・・・大丈夫だよ。スライムまで心配してくれてるのか。ありがとな」
「スラ~」
リアドは近くにあった倒木に座り、休んだ。
「このスライム、リアドが休んでるのに攻撃してこないゴブ」
「確かにな。でも俺も倒す気が失せちゃったよ」
「スラ?」
「遊びは終わりなのかって言ってるのかな?」
「そんな気がするゴブ」
「じゃあお前も一緒に冒険に行くか?」
「スラ♪」
「よし! これからよろしくな」
こうして2体目の仲間ができたのだ。