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プロローグ

「リアド! 早く逃げなさい!」

「父さんと母さんがここで足止めをしている間に行くんだ!」

「そんな・・・」


玄関の扉を父さんと母さんが必死に抑え、兵士の侵入を防いでいた。


「こんな誕生日になってごめんなさい。でも、あなたが生まれてきてほんとによかったわ」

「俺もだぞ、リアド。誕生日おめでとう。俺らはリアドに生きていてほしい。だから・・・」


そのとき、扉に大きな力がかかり穴が開いた。

外からは兵士の声が聞こえてくる。


「こんな簡単な仕事、早く終わらせよな。・・・なんで俺が出なきゃいけないんだか。はあ、【ファイヤーボール】」

昼になったかと思うほど、大きな火の玉が作られていた。


「早く逃げて! リアド!」

「父さんたちを信じて!」

「でも・・・あんなの受けたら死んじゃうよ!」

「行って! リアド!」

「・・・うん」


そういって裏口へ走り出した直後、火の玉が父さんと母さんに襲い掛かる。

その刹那、リアドの後ろ姿を見ながらつぶやく。

「幸せになりなさい・・・」

「強くなれよ・・・」

リアドはその言葉を聞き涙を溢れさせながら、必死に逃げた。





「何なんだ、この国は! 僕が何をしたっていうんだ! 父さんと母さんを返してくれよ!」

西門近くの大通りに出ようとしたがそこもリアドのことを探している人が大勢いた。


「はやくあいつを探せ!」

「賞金は俺のものだ!」

「国の外に出る前に捕まえろ!」


少し悩んでいると人ごみの中から澄んだ声が響き渡る。

「北門の近くにいるらしいわ!」

その声によって西門近くにいた人たちが北へ向かって走っていった。

その隙にリアドは出口へと走り出す。


「こんな国なんか・・・」


こうして、10歳にして賞金を懸けられたリアドの逃走は成功した。

・・・大きな憎しみを抱えて。



『10年前』

ここはルセーリア王国。

150年ほど前に勇者が作った世界最大の国である。

人間至上主義であり魔物は根絶するべきと考えている。


そんな国で10年前に生まれたのが、黒髪黒目のリアドである。

「おぎゃー! おぎゃー!」

自宅の一室で出産に臨み、元気に生まれてきた。


母に抱かれ父に頭を撫でられたその子は笑顔に変わり、和やかな空気が流れていた。

「リアドはきっとあなたに似てかっこよくなるわ」

「君のように優しくなるさ。じゃあ早速だけどステータスを視てくれるか?」

「そうね」


ステータスというのは、職業・職業レベル・スキルが表示されるものであり、基本的には本人のみ視ることが可能。

その例外の一つが母親である。

産んだ母親はその子のステータスを視ることができるのだ。


「じゃあ視るわね」

リアドのことを見つめ、ステータスを視る。

「どうだった? ・・・どうしたんだ? 顔色が悪いぞ」

「・・・」

「大丈夫か?」


母は一呼吸おいてから答えた.


「・・・リアドの職業は【テイマー】だったわ」

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