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仙の道  作者: たくあん
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クナイ

日が沈みかけたころ、夕食の時間になった。逃走は食後で意見は統一した4人はとりあえず食事に参加するために村の中心部に降りた。

今日は特別客がいるからか、村人のうち30、 40人は村の中心の大きな庭に集まり、宴会模様だった。料理は肉あり魚あり酒ありの庶民にとっては年に何度とない豪華なもので、子供も大人も大盛り上がりの様子だった。焚火の暖かい光以外に、家屋の壁には赤い提灯が灯され、このまま深夜まで楽しむ勢いがあった。

4人は大きな丸い食卓の上席に案内され、それこそ盛大にもてなされた。4人はお酒も飲まず、料理について彼ら専用に用意したと言われたものには手を付けなかったが、用意した言い訳が自然だったからか、村長を含めて村人達は特に気にしていなかった。


「柳公子,老朽有一物,想请公子过目。(柳様、こちらに一つ見て頂きたいもんがございましてぇ)」

晩餐も終盤に差し掛かった頃、村長が蓮に声をかけた。相変わらずかすれた声で特徴的だ。


「哦,是什么东西?(お、なんでしょう?)」

きたか。と思いながら蓮は答えた。


「这是老朽祖传的一只飞镖,到今日为止不要说生锈,就连锐利都分毛不减。不能说是削铁如泥,也似花马剑。今日一来跟公子投缘,二来给公子和小姐们赔不是,就请公子收下这镖吧。(これはわしの先祖から伝承されたクナイで、今日まで錆は言うまでもなく、鋭さも寸分たりとも変わりません。鉄を豆腐のように切れるとは言わなくとも、極上の宝剣並みの切れ味でございます。本日、一つに柳様と大変なご縁がございまして、二つに柳様とお嬢さん方にご謝罪といたしまして、こちらのクナイをご笑納くださいましぃ。)」

そういうと、村長は一枚透き通るような緑色のクナイを古びた箱から丁寧に取り出して蓮に差し出した。クナイは金属で出来ているような光沢を帯びていると同時に、見たことのない結晶のようにも感じられた。暗闇の中でもそのクナイはかすかな緑色の光を放っていて、その光で文字を照らすほどではないが、確かに自ら発光していると十分わかった。


「这不是本门的飞镖吗!?白村长是怎么得到的?(これはうち碧林門のクナイじゃないですか!?これをどうやって手に入れたんですか?)」

蓮は食い気味に問いただすように言った。


「啊,这竟然是碧林门的飞镖!老朽只知是祖传,全然不知竟然是贵门的物品。那样正好物归原主,这只飞镖就请公子带回宗门吧。(え、これは碧林門のクナイだったのですか!?わしは先祖の伝承としか知らず、御門のものだとは全く知りませんでした。であるならちょうどその正しい持ち主のもとに返せるのですね。柳様が門派にお持ち帰りくださいましぃ。)」

村長は慌てるように説明した。


「这飞镖门内不缺。既然是白村长祖传之物,在下就不收了。(このクナイは門内では物足りています。村長の先祖の伝承なら、受け取るのはやめておきましょう)」


「这绝对不可!物归原主,物归原主。老朽可不敢留贵门的东西。公子还请笑纳。(とんでもない!わしには御門のものなど手元に残しておくわけにはいきません。どうかご笑納ください。)」


「也好。在下身上也没有什么值钱的东西可以给您老。就当作这白竹村的诚意了。等我回了门派,我会交代的。(わかりました。私はいま価値があるものを身に着けておりませんので、この白竹村の誠意として捉え、門派に戻りましたらその旨を伝えさせていただきます。)」

蓮は誠意を込めたように話し、箱ごとクナイを受け取った。クナイには指一本触れず、箱を閉じた。


もちろん、蓮はこのクナイが碧林門のものかどうかは1ミリも知らなかったが、このやり取りは自分が本当に碧林門の弟子かどうか確かめるためのトラップだと思った。碧林門のものだという場合、おそらく自分は弟子としてそれを知らないはずはないだろう。

もし碧林門のものじゃないとしても、この村長が碧林門のすべてを知ってるとは思えない。であれば、碧林門のものだと言い張ればそこまで問題はないはずだと思った。クナイになにが仕掛けられているかわからないまま受け取るのはとても危険だが、あの流れで受け取らないのもおかしかった。


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