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■この小説を目に通していただき、喜びと嬉しさでいっぱいです。指摘や質問もどんどん書いてください。極力返信できるよう、努力いたします。
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"それ”は複数の中の"一つ”に生まれる。
雨の中で。 うちつける水の中で。
自分はまだ、理解していない。
ここはどこなのか。
だけど、一つだけ確かな事。
それは―――――――――――――――・・・
それが、自分の「真」に近づく一歩となる。
そして、多くの人々の悲しみ、温かさ。
生と死を両立した世界で。
彼女は知る。
己を知るために。
†
行きかう人々。
まざりあう空間。
ここは、死人が人間に戻るべく来る場所。
天国とは少し違う。
ほら、天国はあれだ。
六道・・だっけ?あれを通らないと人に戻れないだとか・・
ご苦労なこって。
『こっち』は違う。
そんな苦労しない。
しかも、生前と同じ姿で生き返れる。
そんな、天国と同じ場にあるのがこの
BLACK HEAVENだ。
そんなこんなで、人間に戻るには仕事をこなさなきゃならない。
楽に人間に戻れたら苦労しねえっつうの。
俺たちはその仕事―・・役職の一つ、『スフィア』に所属して上から来る仕事をこなしてる。
それは、時にヤバ系でもあって、ヘンテコな依頼もある。
こんな俺たちでも、人間に戻りたいってわけよ。
死人は皆そうさ。理由はどうあれ、死んじまったら生前に戻りたいって後悔するばかりだ。
――・・ま、こんな超能力みてーな力が手に入ったのは、ちょっとおもしろいけど。
†
「いでッ」
誰かに頭を叩かれる。
のっそり頭を上げてみると、黒い髪をした女が立っていた。
「ヒリュウ君こんなところで何寝てんのー!!知らないからね!リーダーに怒られてもー!!」
その女は、口を尖らせ言う。
「うるへ・・ルイ・・・らまにはゆっくひねむらへてくへ・・」
「また寝るな――――――ッ!!!」
再びたたき起こされる。
・・寝てたみたいだ。
まだ頭が冴えない。ボーッとする。
ここは、スフィアの建物の一つ。俺らが身をおいてるのは、寮。
そこに俺らは住んでる。
俺が寝てたのは、そこの休憩場だ。
・・何しようと思ったんだっけ。
「あ、そうださっきの女の子、目覚ましたって!」
黒髪の女・・ルイが、さっきの怒った表情とは裏腹にぱぁっとした表情で言う。
「まじかー・・」
けだるそうに答えてみる。
「ね、いこうよ!すっごく可愛かったじゃん!」
「わかったよ・・」
腕を引っ張られて、よたよたと歩き出す。
この少女が後にこの世界に災厄をもたらす存在となる。