春うららかな…?
感想などコメントいただけると嬉しいです。
完結目指して頑張ります!
春。
それは新しい人生の門出の季節。
みんながピシッとした綺麗な服をきて生き生きとした顔つきで過ごす、すがすがしい朝にそんなみんなとは打って変わってまだ眠気が残る顔と少しボサボサの髪で遅めの朝を迎えている少女がいた。
「眠い…。眠すぎる。こんなことなら昨日の夜、遅くまでお金を数えなければよかったかも…」
マーレ・サラント。15歳。
地方領主家の長女として生まれた私は今日、出稼ぎのために王宮に向かう。
「お姉様!おそようございます!もうすぐお昼ご飯ができますから起きてくださいー!」
「もうそんな時間か…。ちょっと寝過ぎた…かな?」
5歳下の弟の声で夢から覚めベットから抜け出す。
窓から差し込む日差しはすでに高い。言ってた通りお昼近いことがわかった。
わたしには1人、弟がいる。ヴィース・サラント。
5歳下のヴィースはこの家の長男であり跡取りだ。
私とヴィーの他に兄弟はいないため、私は嫁ぎ、この家は将来ヴィーが運営していくことになっている。
「それにしてもヴィーは偉いなー。毎日家事の手伝いをして私を起こして…。でもそんな日も、今日で見れなくなるのか…辛い…」
2人姉弟で少しシスコン気味と言われている私はこれから毎朝ヴィーに起こしてもらえない寂しい気持ちを抱えて寝巻きからお出かけ用の服に着替えていると、ちょうど下から声が響いた。
「お姉様ー!ご飯できましたよー!冷めないうちに降りてきてくださいー!」
「はーい。」
ギイ、ギイ、ギイ
歩くたびに床が軋み、音が響く。
なんせ貧乏だから家を建て替えるお金もない。
だから家の至る所で限界がきているのを素人大工で寿命をちょっとずつ伸ばしているのだ。
今日でこの貧乏の家ともおさらばだ。
じゃあこの音ももう聞けなくなるのか…。
そうと思うと少し寂し…くはないな!
〜〜〜〜〜〜
「はぁ…。今日で精神年齢合わせて47か…。もう私もすっかりおばさんだな…」
ため息を吐きながら2階の自分の部屋から纏めた荷物を持って1階のリビングへ歩く。
途中にある鏡を覗くとそこには美人な少女が写っていた。
白銀の白い髪、エメラルドの色の綺麗な瞳、ふくっとふかれた赤い唇に色白ですらっとした手足。
どこかのお姫様のような容姿を持つ少女はその容姿に似合わないシンプルな服と少し色が剥げた帽子を持ち、鏡の前に立った。
鏡の前に立ち全身を見ると余計に容姿が際立っているのがわかる。
少女はゆっくりと自分の顔まで手を持っていき自分の顔を確かめるように…
その頬を引っ張った。
「やっぱ夢じゃないか…」