↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一度死んだ男は転生し、名門一族を追放された落ちこぼれの少年と共存する 〜俺はこいつが目覚める時まで守り抜くと決意する〜  作者: 白黒キリン
第4章 異世界の男は手に入れる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
92/129

第22話

 秋臣(あきおみ)の身体が一人でに動き、入羽(いりはね) 風夏(ふうか)に斬りかかった。


 入羽(いりはね) 風夏(ふうか)は、すぐに異能力で小型の竜巻や鎌鼬を発生させ応戦してくるが、一切の無駄なく最速で全て斬り捨てられ霧散していく。


 どの動きも自然で効率的で、しかも秋臣(あきおみ)の身体に負担を与えないギリギリの水準を保っていた。


 俺が動かさなくても、これだけ動いているのは秋臣(あきおみ)の身体に俺の動きが定着している確かな証拠だと、俺は奥底で眠りについている秋臣(あきおみ)の隣に座りながら喜びを噛み締める。


『なんとも凄まじいものだな』

『あとは秋臣(あきおみ)が自分の身体に慣れたら、俺はお役御免だ。秋臣(あきおみ)、俺はいつまでも待つつもりだが、それでも秋臣(あきおみ)が自力で戦っている姿を早く見たいと思ってしまうよ』


 俺が秋臣(あきおみ)へ語りかけると、眠っている秋臣(あきおみ)の表情が少しだけ申し訳なさそうなものへ変わる。


 よしよし、俺がいっしょにこの空間にいるせいかはわからないが、深い眠りについている秋臣(あきおみ)に俺の言う事は伝わっているようだ。


 どんな反応でも、それがあるなら次につながるはず。


『秋臣(あきおみ)、焦らなくて良い。起きたくなったら起きてこい』

『主人(あるじ)よ、我も主人(あるじ)に振われる日を楽しみしている』


 秋臣(あきおみ)の表情が、なんというか安心したような感じに変わり、その後いつもの寝顔に戻る。


『さて、そろそろ出るか』

『このまま身体に任せれば勝てるはずだが?』

『入羽(いりはね) 風夏(ふうか)を半殺し以上にしそうだからな』

『それは……そうだな』

『行ってくる。秋臣(あきおみ)を頼むぞ』

『わかっている。お前はさっさと勝ってこい』


 俺は葛城ノ剣(かつらぎのつるぎ)へ手を振って答えると、そのまま奥底を離れた。


◆◆◆◆◆


 慌てずにゆっくりと秋臣(あきおみ)の身体に意識を戻すと、ちょうど入羽(いりはね) 風夏(ふうか)を蹴り飛ばしたところだった。


 地面を転がり何とか立ち上がった入羽(いりはね) 風夏(ふうか)の身体にはパッと見でも無数の打撲があり、骨折はしていないようだがボロボロな状態と言える。


「まだ続けるか?」

「あた、り、まえ……」

「わかった」


 明らかに肩で息をしていて声を出すのもギリギリ、それでも戦意のある目をしているから攻撃を再開する。


 いつものように前へ倒れながら踏み込む事で、一瞬で距離を潰して入羽(いりはね) 風夏(ふうか)の正面に立つ。


 そして入羽(いりはね) 風夏(ふうか)の右鎖骨をへし折るつもりの一撃を放った。


 しかし、木刀を振り下ろしている途中で俺の後ろから風が吹き入羽(いりはね) 風夏(ふうか)に集まっている事に気づき、俺は振り下ろしを強引に止めて大きく退がる。


「くそ……、貴様のようなものにこれを使わなければならないとは……」

「嫌なら素直に負ければ良いだろうが」

「貴様に負けるよりは数百倍マシだ‼︎」

「そうか、それならさっさと全力で来い」

「…………貴様はこの場で殺す」


 風が集まっていくほどに入羽(いりはね) 風夏(ふうか)から感じる殺意も高まっていった。


 そして入羽(いりはね) 風夏(ふうか)が完成させたのは自分の身体を覆う風の鎧。


 本来なら目に写らないはずの風なのに鎧の輪郭が認識できるのと、風の鎧からジーーッという何かが高速で回転している音が聞こえている事からも、かなりの密度と速度を保っている風で構成されているらしい。


「まるで人間竜巻だな」

「竜巻程度と表現されるのは心外の極み、だ‼︎」


 叫ぶと同時に入羽(いりはね) 風夏(ふうか)が宙に浮いた後突っ込んできたため、俺は横へ跳んで避ける。


 ザザザザザザザザザザザザッ‼︎


 風の鎧が触れた地面が削れていく。


「なるほど、もともと遠距離攻撃と機動力に自信がある上で、さらに何かを放出する異能力者にありがちな接近戦での脆さを克服しているわけか」

「この状態になった私を前にして貴様にできるのは逃げ回る事だけだ‼︎」

「…………嫌いな俺を前にして視野が狭まっているのか知らないが、お前バカなのか?」

「なんだと⁉︎」

「俺は香仙(かせん)との戦いで、あいつの発した匂いを葛城ノ剣(かつらぎのつるぎ)の光を使って消し飛ばしている。お前の風の鎧が消し飛ばせないと、なんで思っている?」

「あ」

「それにだ。お前の防御力は黒鳥夜(くろとや) 綺寂(きじゃく)以下だろ? その黒鳥夜(くろとや) 綺寂(きじゃく)の異能力を斬った俺が、お前よりも圧倒的に速い俺が、どうして逃げ回る事しかできないと考えた?」

「う……」


 明らかに動揺した入羽(いりはね) 風夏(ふうか)を見て、俺はため息を吐いてしまう。


「確認だが、聖(ひじり)は学園長直属の実行部隊で、お前はその副隊長なんだよな?」

「だ、だから、どうした!?」

「お前程度副隊長になれるなら、この世界の異能力者は本当に弱いな」

「なっ!?」

「なんというか、戦いに対する覚悟、経験、想定、全てがぬるい」

「わ、私のどこがぬる、ひ……」


 反論しようとした入羽(いりはね) 風夏(ふうか)の言葉を遮るように首を斬り落とすという殺意を浴びせ首を斬られるという体験させたら、入羽(いりはね) 風夏(ふうか)は自分の首を触りながらペタンと尻もちをつき地面を削った。


「それだ。まず、俺を殺すと言ったのに殺される覚悟ができていない。次に自分と同格か自分以上の奴と戦った事がない。それと自分の戦法が通用しなかった時を全く考えていない」

「私は、私は……」

「自分は強い、か? それなら立って俺にかかってこいよ」

「…………」

「戦わないなら負けを認めろ」

「…………」


 入羽(いりはね) 風夏(ふうか)は動かなく、いや動けなくなったらしい。


 おそらく俺に負けるのも嫌だが、俺と戦うのも嫌と言ったところか?


 俺はもう一度ため息をつき、この無駄な時間を終わらせる事にした。


「中途半端なまま死ね」

「あ……」


 脱力しながら前へ倒れると同時に踏み込んで加速し、入羽(いりはね) 風夏(ふうか)の正面で着地した勢いを殺さずに殺意とともに木刀を振り下ろす。


 その結果、入羽(いりはね) 風夏(ふうか)の身体は真っ二つ…………にはならず、俺に斬られた風の鎧が消えていく中、入羽(いりはね) 風夏(ふうか)が白目をむいてパタリと倒れた。


「おい、黒鳥夜(くろとや) 綺寂(きじゃく)、武鳴(たけなり) 雷門(らいもん)、こいつらをさっさと引き取れ」


 俺がつぶやくと倒れている入羽(いりはね) 風夏(ふうか)や聖(ひじり)の連中の影が広がっていき、全員が影に沈んでいく。


 うん? 俺の影も広がっているが……、ああ、そういう事か。


 俺の影から武鳴(たけなり) 雷門(らいもん)が出てきたため納得する。


「次はお前が俺と戦うのか? 武鳴(たけなり) 雷門(らいもん)」

「その通りだ」

「……そうか」

「どうやら俺と戦う気にはなっていないようだな」

「研ぎ澄ませたいと思っているのに格下と戦っても特に意味はないだろ?」

「言いたい事はわかる。だが、この世界もそう捨てたものではないというのを証明しよう」

「好きにしろ」

「もちろんだ。むん!」


 武鳴(たけなり) 雷門(らいもん)が自分の胸を叩くと、まるで車のエンジンがかかったかのように放電を始めた。


 そして、さらに胸を叩く回数が増えるごとに武鳴(たけなり) 雷門(らいもん)の身体から放たれる電気の量も増え、俺と武鳴(たけなり) 雷門(らいもん)の周囲の空間は帯電していく。


「自分に有利な状況を作り出す。これは正しい戦術だろう?」

「隊長になれるだけの判断能力はあるみたいだな」

「ああ、始めから全力でいかせてもらう! 起きろ! 雷精!」


 叫びながらひときわ強く胸を叩くと俺を囲むように放電して輝く結晶が生まれた。


 ふむ、入羽(いりはね) 風夏(ふうか)よりは戦いがいがありそうだな。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。


また「面白かった!」、「続きが気になる、読みたい!」、「今後どうなるのっ……!」と思ったら後書きの下の方にある入力欄からのいいね・感想・★での評価・イチオシレビューもお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。