第22話
…………どう考えても歓迎の雰囲気ではないのは感じるが、このままドアの前にいるのもおかしいので部屋の中へ入り静かにドアを閉める。
振り返り改めて生徒会の面々を視線を戻しても、やっぱり俺をジッと見てくるだけで何の言葉もかけてこない。
一応、緊張を装い部屋の中を観察してみても家具やら調度品が高いのだろうなという事しかわからず、向こうからは俺を見る以外の反応は全くない。
仕方ない俺から話を切り出すか。
「あの……?」
「ああ、すまない。今噂になっている器物級の鶴見君と対面するから、全員少し身構えてしまったんだ。そこへ座ってくれ」
「はい」
俺は部屋の中央にある応接セットのソファの一つに座る。
…………表面の触り心地と適度な柔らかさを考えると絶対に高いな。
前世の感覚が残ってるせいか、良い物に囲まれるからこそ落ち着かない。
ちなみに部屋の間取りだが、教室と同じくらいの広さの部屋で入り口の反対側に窓があり、左右の壁は様々な事が書かれているホワイトボードや資料の並んでいる棚などで埋め尽くされていた。
部屋の隅に簡易のキッチンもあって居住性は、ある程度高そうだな。
「ふふふ、そんなにこの部屋が物珍しいかい?」
「あ、すみません。初めてきたもので、つい……」
「構わないよ。おっと、自己紹介をしておこう。俺はこの学園の生徒会長、精霊級の龍造寺健だ。今回は突然呼び出してすまない」
静かな口調に落ち着いた雰囲気だが、明らかに俺の一挙手一投足を観察している。
…………周りくどいのは性に合わないな。
「それは良いんですが、僕はどういう用件で呼ばれたのか聞いても?」
「まあ、そうだね。お互いに授業もある事だし手短かに済ませるとしよう」
「お願いします」
俺が軽く頭を下げると空気が変わった。
目の前に座っている生徒会長と、その後ろに控えている役員達が臨戦態勢に入ったためだな。
…………生徒会に選ばれるくらいだから、どいつもこいつも強いとは思うが、もし襲われても逃げるくらいは問題ないだろう。
そう結論を出した俺は、特に慌てずに生徒会長の話の続きを待つ。
「鶴見君、君は今学園上層部の監視対象になっている事は知っているね?」
「はい。この前、鈴先輩に教えてもらいました」
「はっきり言って俺達生徒会も君の事を警戒している」
まあ、怪しい奴がいれば警戒、監視するのは当たり前の事だな。
ただ秋臣が戻った時のために生活を安定させておく必要があるから、変に怪しまれるのはまずい。
「問題になっているのは二つ。一つ目は器物級でありながら精霊級に勝った驚異的な戦闘能力。二つ目は、その戦闘能力を今までいっさい誰にも気づかせなかった演技力。この二つにより君にはある疑惑が浮上しているんだ」
「疑惑?」
「君がどこかの組織の工作員じゃないかという疑惑さ」
秋臣、すまん。
俺と関わったせいで、とんでもない疑いをかけられた。
「異能力者なら切り札など他人に簡単には見せないものを持っていてもおかしくないと君を擁護する意見もあったが、君のはあまりに度が過ぎているから見過ごす事はできない。理解してくれるかな?」
「…………あの、僕が学園全体から怪しまれてるというのはわかったのですが、それとこの場に呼ばれたのにどういう関係が?」
「よし、それでは本題だ。器物級の鶴見 秋臣君、今日から生徒会に所属してもらうよ」
「は……?」
「ちなみにこれは学園上層部も認めているから君に拒否権はない」
秋臣、本当にすまん。
どうやらお前の平穏は、しばらく戻ってきそうにないぞ。
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