第20話
鈴 麗華は男3人を無力化した後に異能力者専用の留置所に送り、クレープ屋を含めた広場の後始末を警察などに指示出ししながらテキパキと終わらせた後に俺の方に歩いてくる。
「鈴先輩、お疲れ様です」
「……ええ、お疲れ様。あなた……」
「何でしょう?」
「いえ、何でもないわ。それよりも事件の当事者であるあなたの話も聞かないといけないの。協力してもらえるかしら?」
「構いませんよ」
「それじゃあ、せっかくの休日に悪いけれど、あなたの時間をもらうわ。こっちに来てちょうだい」
「わかりました」
鈴 麗華は俺をジッと見てから事後処理へ移った。
言動は一見すると普段と同じだが、仕草の端々に警戒の色が見て取れる。
ふむ、やはり俺がわざと介入させた事を気がついてるな。
鈴 麗華の後ろを歩きながら周囲の気配を探ってみるが、特に不自然なところはない。
さすがに監視を1人でやるとは思えないから、今も俺を見ているだろう監視は鈴 麗華よりも格上なのは間違いなさそうだ。
いずれ出会う事を楽しみにしつつ、鈴 麗華の指示のもと事情聴取に応じた。
◆◆◆◆◆
なんだかんだで事情聴取の終了まで2時間ほどかかった。
前世の世界で俺がいたような戦場の最前線では事件事故がありふれていたから、こんなにきっちりとした対応は見た事がない。
もしかしたら首都なんかでは今と同じようにやっていたのかもしれないが、そんなまともなところは行った事も見た事もないから実際にどうだったのかはわからないな。
まあ、何にせよ、今の世界が前世の世界よりもマシなものだと理解できたので良しとしよう。
問題なのは、これからの俺の予定だな。
食べ歩きという気分ではなくなったから寮に戻るか図書館で面白そうな本を探してみるくらいしか思いつかないが、さてどうするか……。
「あの!!」
「うん?」
明らかに俺へ呼びかけるような声が聞こえて振り返ると、クレープ屋の店員だった。
「ああ、あなたですか。今回は大変でしたね。ケガは大丈夫ですか?」
「は、はい、私は無傷です。でも、お店の壁のヘコみやメニュー表が壊されてしまいまして……。今はオーナーに相談しているところです」
「あの人達が、すなおに弁償してくれると良いですね」
「えっと、鈴さんが賠償金を請求すれば搾り取れると言っていたので、その事もオーナーに報告してます」
「なるほど、あなたにケガはなく被害の泣き寝入りもしなくて済むというのなら、またあのクレープを食べたいのに閉店しているという最悪の事態にならなくて良かったです」
「はい、来週には再開でするので、その時にはぜひご来店ください」
「そういえば僕に何か用ですか?」
「あ!! そうでした。あの人達を止めてもらって本当にありがとうございました!!」
深く頭を下げて感謝の言葉を言われた。
…………前世の世界で戦場での消耗品だった俺が人助けをして感謝される。
俺は死んでからの方が人間らしいやり取りができているな。
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