チョコレートケーキはホットコーヒーとバナナミルク。
川沿いに在る気取らず入れるお気に入りのケーキ屋。
初めて連れて行った相手と向かい合わせの席にかける。と、沈黙を埋める様に店員さんがやって来た。
私のお薦めのケーキと一緒に甘い飲み物を注文したのを聞いて、甘味の味わい方の違いに相性を重ね合わせてしまい、少し下がってしまう私の気持ち。
それは悔しいでも残念でもあるけれど、何でなの? と、明確に表す事も出来ずすまし顔。
整理整頓していない部屋を覗かれたくない気持ちに似た、見られたくない私の恥ずかしい感情。
勿論味覚の違いは判る。
でも、出来れば同じ味を共有したい。
だから同じ味わい方をして欲しかった。
チョコレートケーキにバナナミルクとは、確かに美味しそうな気もするけれど、そこはホットコーヒーでビターに口を焦がしたい。
私はチョコレートの甘さよりも苦味が好きで、この店の苦味を効かせたチョコレートケーキがお気に入り。
最初に来た時は蜃気楼が浮かぶ真夏の暑さにアイスティーで食べたけど、ここのチョコレートケーキには紅茶よりもコーヒーの苦味が合う気がして少しの違いに頭を傾げる。
それから暫くして秋先に来た時はアイスコーヒーで食べたけど、アイスコーヒーは苦味よりも酸味が強く、折角のチョコレートケーキの苦味が濁ってしまう様に思えて落ち込む私の席に、開いた窓から紅葉の葉が舞い込んだ。
クリスマスを前にした寒空に、凍えて入り当然の様にホットコーヒーを飲んだ時、鼻の奥に広がり抜けるほろ苦い香りに、ようやくコレだ! と確信した日。硝子の向こうに春を見つけた。
それ以来、私はチョコレートケーキとホットコーヒーを求めてこの店に来ては、ほろ苦い香りにウットリと頬を委ね窓の外を眺めていた。
けれど一度だけ抹茶の苦味も合うかも知れないと試して見たけど、この店の抹茶は苦味よりも甘味が強くチョコレートケーキなのか抹茶ケーキなのか判らなくなってしまって、まるで浮気したかの様な罪悪感。
そんな気持ちはホットコーヒーに対する想いを強くして、ベタな関係よりも信頼関係を築いた恋人同士の様に思えていた。
そのビターな恋人関係を知って欲しくて連れて来たのに、恋人達に目もくれずバナナミルクという恋人関係を崩してしまいそうな甘い甘い関係を求めている。
そんな甘い甘い関係を求めているのなら、私も甘い甘いを試してみたい。
そう思って私は少しだけバナナミルクとチョコレートケーキの関係を味見していた。
そして、私のビターに焦がれる恋人同士の関係も知って貰おうと、少しだけ味見して貰った。
それは苦くも甘い、甘い関係になった二月中旬の恋物語。
その日、ホットコーヒーとバナナミルクはチョコレートケーキを渡し船に恋人同士となった。
今の私にも無縁な話ですけど、この季節になるとメディアに煽られて、こういった事が無いと負け組の様に囚われがちになるのもどうかと思いまして。
だったら煽られてもこの話を読んで浸って貰い、メディアの横暴な雨を防ぐ傘になれれば良いな。と、いつか訪れる恋人の為の準備が大事と気付いて貰える事を願って。
毎年チョコレートを渡す側も求める側もその前に、チョコレートに合う飲み物を探して嗜んでおくのも大事だと思うのです。
それが恋の味も香りも深めるお供になるかもしれませんから。
この話をお茶請けに……
ちなみに
パソコンで見ている方には、レイアウトのカラーデザインが設定されています。(私の全作品意図を持って設定していますが)今回改めて説明をしておきますと。
こちらの背景色はコーヒー#7b5544にしています。そして文字色はバナナミルクをイメージしてクリームイエロー#fff3b8になっています。つまり二人のカラーでチョコレートカラーではありません。
そして、浮気心にリンクカラーは抹茶色#c5c56aで、リンクをクリックして戻って来ると恋の渡し船であるチョコレート#6c3524に変化します。
序でにマウスオーバー時にはバレンタインをイメージしたピンクアーモンド#e3acaeに変化します。
浮気心や罪悪感を消す為に、下部にランキングサイトのインポイントボタンを【罪悪感消去ボタン】としておきましたのでクリックしてみては?
そして! 二人が帰る夜空に輝くのは、満天の星か、一つ星か、評価の程も忘れずに(笑)
追伸
純文学あるある的な突っ込みに曝されたら怖いかも……と、可能性に先んじて記しておきます。
先ず【気取らず入れるお気に入り】における気の乱用は、気持ちに入り込んで来る恋心を表現し、その後に続く揺れる気持ちを波に見立て、最後の【渡し船】に繋げている根幹が最初の【川沿い】というワードです。
飲み物を人と重ね、移ろう季節の冬に見つけた春こそがバナナミルクで、紅茶やアイスコーヒーや抹茶やとは出会うも合わずに春を迎える……
読んだ方の脳に癒やしを。と、記憶を意識し味と匂いをお共に描いてみました。
そんな感じです。他の説明は余韻を愉しんで頂きたいのでここまでに。
何故って、後書きの方が文字数多くなりそうだからです! 純文学、最初の一歩にしては、先ずまずかと……テヘぺろぺろん。