手紙と返信
ページをめくる。
彼女の想いがそこにあった。
『トモヒコ江、
あなたがこれを読んでいる時は無事にあなたの体をあなたに返せたことと思います。
今日目覚めたら、私の意識があなたの体にあって驚きました。
さらに私は死んだと聞かされて驚きました。
同時にすごく不安になりました。
私の意識があなたの体の中にあって、あなたの意識がどこにあるか分からず、すごく不安になりました。
このままあなたの意識が体に戻らず、私があなたの人生を奪ってしまうのではないかと不安になります。
どうかこの文章をあなたが読んでいることを望みます。
P.S.
あなたの1日を体験しましたが、もう少し人と関わった方がいいと思います。
一人とずっとつるむのはどうかと
あと意識があなたに戻ったらこのノートは捨ててください。
私があなたに宿ったことは多分夢だと思ってください。
忘れてください。
他にも書きたいことはいっぱいありますが、眠気が酷いので一つだけ、
あなたの人生を生きてください
私はあなたが愛おしい。』
「一つって書いてあるのに二つも書いているんじゃねーよ」
瞳から零れ落ちた雫はノートに痕をつける。
僕はその場に動けなくなり、膝を抱えて座り込んだ。
学校はそのままサボった。
明日はこぴっどく叱られるだろうが、どうでもいい。
その晩、捨てろと言われたノートに返事を書いた。
意味はないが、感傷になるが気持ちの整理を片付けるためだ。
『サヤ江、
読む相手のいない手紙を書くことはこれが初めてであり、最後でしょう。
あなたから頂いた手紙ですが、うれしかったです。
もう会えないと思ってましたから、会えていませんが、あなたのことを感じられてうれしく思います。
あなたがいなくなって二週間が経ちますが、周囲はあなたがいなくなったことなんてなかったように当たり前が進んでいます。
僕にはそれが酷く気持ち悪くて堪りません。
昔あなたが言っていたことを思い出しました。小学校の時に金魚が死んだことをみんながケロリと忘れているのをみて、一人悲しみを忘れまいとしていたあなたを思い出しました。
あなたは僕に人と関われといいますが、あなたを忘れる世の中とうまく付き合っていく自信は今の僕にはありません。時間はかかるかもしれませんが、あなたの想いは叶えたいと思います。
最後に一つ、僕もあなたが愛おしい。
永遠の初恋をあなたに捧げます。』
臭くて痛い、でもこれ以上自分の詰まったものはないと思う。
自分自身の精一杯。
眠気が体を襲う。
明日の説教を考えて今日はもう寝てしまおうとノートを机の引き出しに入れた後、布団に入った。
起きたときは、説教を受けるべきの水曜日ではなく、木曜日を刺していた。
楽しんでいただけたら幸いです