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私は王女の生体パーツ

私は王女の生体パーツ

作者: 透坂雨音
掲載日:2017/12/21



 私の名前は「生体パーツ」。


 国に住まう王女の欠けた所を埋める為の代替品。

 死にたくないと言ったお姫様がおねだりした、誕生日プレゼント。


 私と言う存在は、代えの効く部品の、そのさらにまた代えだそうです。


 なので私の親は研究者となります。

 彼らは私を生み出した時、中々の良品であるとそう述べて、頭を撫でて私の誕生を祝ってくれました。

 いつか来るその時の為に、役に立てるように。彼らはいつもそう言います。


 体調管理は万全に。日々の生活の中で気を付ける事はとにかくたくさん。

 病気をしないように、体形維持、などなど要注意項目はたくさんあります。

 後は体力づくりに、お勉強に、と。


 そうそう、見た目も気を付けなければなりません。

 私は王女様の「生体パーツ」なので、それにふさわしい気品が求められます。


 ドレスに化粧に、美容に気を付けて。靴に装飾品に。


 後は、礼儀や淑女の嗜みなど。

 王女に求められるものと同じ物を、私は身につけなければならなかったりします。


 見聞も広めて、視野も広く。

 世界情勢から、民の暮らしぶりなども覚えておかなければ。


 王女の「生体パーツ」として、本物にふさわしくあれ。いつも言われている事です。

 ですが、私にとって「なる」ことは苦ではありませんでした。


 それはさておき、

 もしもの場合の話。その時が来た時の話をしましょう。


 取り替える部分は、足でも良い。手でもどこでも良いそうです。

 私の体はとても本物にそっくりなので、本物のどこが駄目になったとしても安心だと親から言われます。


 もしものその時の「生体パーツ」。

 それはひょっとしたら、腹部や頭部かもしれません。

 けれど毛髪や爪などは、さすがにないでしょう。

 そんな事を思う時は、丁寧に手入れした私のそれを少しもったいなく思います。


 けれど、それらが想定されるのはまだ穏やかな方。

 緊急事態になれば、取り換えるパーツはもしかすると心臓や、内臓などという事もあるかもしれません。


 私が心を込めて丹念に手入れをしてきたそれらなので、取り換え手術の結果、不適合などという最悪の事態になるという事はないでしょう。

 私にとってそれらの存在は、全て自分の子供の様な物でした。この私の子供なら……。

 体内で育った子供たちは、きっととても健やかな状態で取り替えられ、本物の役にたってくれるはず。私にはそんな自信がありました。

 ただ一つ、その場合になると自分で結果が確認できないのは、残念な事でしたが。


 そんな風に日々「生体パーツ」として、私は私の手入れを欠かさずに出番を待っていました。





 そして幾年が経った時、とうとうその機会がやってきたのです。


 ある日、国が傾きました。

 争いが起き、悲劇がいくつも生まれ、命が消えていきました。


 大層な浪費家であった王女は国のお金を使いつくして、人々に悪影響を……。

 民たちの生活が回らなくなってしまったので、そのせいで内乱が起きてしまったのです。


 王女様は次々に家臣や肉親も失ってしまい、すぐに一人きりになってしまいます。


 けれど王女様は幸いでした。

 なぜなら、この予備である私がいるのですから。命が二つあるようなものです。


 少しくらい怪我をしても、生き延びられる事が出来るのですから、王女様はきっとこの世界で一番の幸せ者でしょう。


 そして私と言えば……、ああ……やる事はいつもと変わりませんでした。


 その時が来ても、求められた事をこなすだけ。

 なぜならそれが私の、「生体パーツ」の役目なのですから。


 怪我をしたという王女様の状態を確かめに、王宮へ私の親達が検分に行きます。


 ついにお役目を果たす時がやってきたのです。


 招かれた王宮の王座の間。

 けれど本物の王女様は、どこにもいません。


 壊れた人形の部品の様に、バラバラの物となって床に転がっているだけなのですから。

 これでは急いでくっつけたとしても修復できないでしょう。


 私はそこにいた親に王座に就く様に言われました。


「今日から貴方が本物です」


 それが役目なのだとも。


 私は、首を傾げましたが、王女様の「生体パーツ」である事を改めて考えました。


 私は王女様の欠落した部品を提供し、その穴を埋める為の存在。

 その王女様自体がいなくなっても、為すべき事はおそらく変わらないのです。


 仕方ありませんでした。

 王女様のお役に立てない事は悲しいですが、私は「生体パーツ」。

 私の存在意義は、無くなった穴を埋める為の代替品なのですから。


 そうして、就いた王座の務めをこなせば、国は以前の有様が不思議だったように安定を取り戻しました。


 民も、親も、生き残っていたらしい前の王女様の家臣たちも、皆笑顔に溢れています。


 やはり王女様は幸せ者でした。

 私の様な、完璧な代替品をお持ちになられていたのですから。




短い物語ですが目を通していただきありがとうございます。


気が向いた時でもいいので、12月25日から連載を予定している以下四作品、


〇エターナル・ブレイブ ―傾ぐ世界に響く星涙の歌と、孤独な王の箱庭―(ジャンル:詩)

〇異世界行ったらポチ(ケルベロス)の餌 「仮タイトル」

〇お母様転生 ―異世界行ったら追って来たー

〇バッドエンドを覆せ(仮題)


目を通していただけると嬉しいです。

以上告知実験でした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 新着の短編リストで見掛けて読ませて頂きました。 なかなかウイットに富んだお話でした。 ただ、ヒロインは親達の傀儡の王女になったという解釈もできそうです。 例えば浪費家の王女と理想の王女(の…
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