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第1章 「1.失われた記憶」

初の投稿作品でぇ〜す^^

まだまだ下手ですが、日々精進して書き続けようと思っています。

感想や評価など書いてくれると、今後の活動にも力が入るのでお願いします^^

結構長くなる予定なので、飽きられないように頑張りますね^^ww


 血の臭いがする…。


 見慣れぬ機械が所狭しと並ぶ一室。元は何かの研究室だったのだろう。嵐が過ぎ去った後の様に散々な状況に荒らされ、今は何の為に使われていたのかも分からない。

 

 元は重要な書類だったであろう紙切れが床に飛散している。それに覆い被さる格好で生を奪われた人間達が横たわりピクリとも動くことはなかった。壁には無数の血痕が見事な死のデッサンを描き出し、破壊された機械類からは静寂を打ち破る警告音のオーケストラが響く。

 

 部屋の丁度中央には筒状の機械が二つ。正確に言うなら、ガラスでできた筒が上下を機械で挟まれている形状だ。上部の機械からは三本のホースが天井へと連結されている。人一人ぐらいなら楽に入ることができる程の大きさで、そのうちの一基はガラスが割れ中に入っていたと思われる無色の液体が周りに流れ出していた。

 

 横たわる人間達はここの研究員なのか、左肩に同じマークの刺繍が入った白衣を着ている。ある者は背中を、ある者は腕部を、そして頭部や胸部を斬りつけられ白は紅へと染められていた。


 誰もが目を覆いたくなるような無情で醜い情景が、この場所がなんらかの事件の現場になったことを物語っている。その中でたった一人、明らかに他者とは異なる格好をした人物がいた。生まれたままの姿、全裸なのである。

 

 長い黒髪と、程よく締まったボディライン。うつ伏せの状態で横たわるその存在は女だった。左肩から背中の中央部まで伸びた切り傷が痛々しい。何故全裸なのかは分からないが、彼女がこの事件における一被害者であることは紛れもない事実だろう。


 ただ一つ他の犠牲者とは違う点がある。微かだが息をしているのだ。彼女の中の生命の炎は、風前の灯火ではあるが完全に消えてはいなかった。それどころか不可思議な現象が彼女の体で起こり始める。肩から背中への傷口がみるみるふさがっていくのだ。驚異的な治癒力の持ち主なのか…いや違う。普通の人間の成せる業ではない。そこに深い傷があったことも分からない程、綺麗に復元されるスベスベの皮膚。微弱だった息づかいも今では「ハァハァ…」と荒々しくなっていた。

 

 そして彼女の意識は徐々に現世へと引き戻され、ついには目を覚ます。はじめは差し込む部屋の明かりに眩しさを覚え、完全に瞼を開くことはできない。目の周りにありったけの力を送り、眉間や目尻に無数のシワが寄る。徐々に光にも慣れゆっくりゆっくりと瞼を開けていく。綺麗なスカイブルーの瞳が、今は目の前の真紅と交わり少し紫ががった色に写っていた。


 「!!」

 

 不意に目の前で倒れている男と視線がぶつかり、女は驚きのあまり声は出なかったが全身に電気が走る感覚を感じた。


 白衣を着たその男はうつ伏せの状態で、大きく開かれた瞳は確実に彼女を捉えていた。絶望と困惑と驚愕が入り交じった表情で、彼女をじっと見つめたまま動くことはない。息絶えているのだと彼女はすぐに理解した。


 男から視線をそらし、ゆっくりと状態を上げつつ部屋中に視線を配る。


 「ここは………?」


 荒れに荒れた室内を一通り見渡し、そして呟く。ここが何処なのか、そして一体何が起きたのかいくら考えてみても彼女には分からなかった。更に深く考えを巡らせようと床に視線を下ろすと、二つの膨らみが露わになっていることに気がついた。


 一瞬の沈黙の後、慌てて右腕で胸を隠す。別に隠す必要はないのだ、彼女の周りに生きている者はいないのだから。自分の中で芽生えた羞恥心がそうさせたのだろう。


 再び部屋中に視線を配り、この恥ずかしい状況を打破できるモノを探す。ソレは案外近くにあった。先ほど視線があった男が着ている白衣を急いで剥ぎ取り、そして間髪入れずにそれを身にまとった。少し大きめではあったが、全身を隠すには丁度良いサイズだ。左胸に開いた穴とその周りの血痕が気になったが、今はそれを深く気にしている場合ではない。

 

 急いでボタンを閉め始め、そしてすぐ手が止まった。彼女の目の前には筒状の機械が二つある。一つはガラスが割れ見るも無惨な有様だが、もう一方のガラスに見たことのない姿が映っているのだ。ガラスに映る姿は白衣を着た女で、胸元のボタンを閉めようと手をかけたままこちらを擬視している。それは彼女自身の姿だった。


 閉めかけたボタンから手を離し、ガラスへと歩み寄る。そして写り込む自分の顔に左手を当て数秒見つめた。


 「これが…私…なの?」


 自分の姿を見てもしっくり来ない。確かにここに存在しているのに、ここがどこで何が起きたのかも分からない。そう、彼女の記憶は失われているのだ…。


 心の中に大きな動揺が生まれたのがはっきりとわかった。

 

 自分であるはずのガラスに映る女の姿を見ても、それが自分であるという確信がない。最初その姿を見た時彼女は思った、知らない誰かがこっちを見ていると。切れ長の二重の瞼、高くもない鼻、小さめの口…全てが初めて見る他人のソレだった。

 だけどガラスに映る姿は、自分と同じ行動をとっている。心の中で生まれた言い知れぬ不安感が、やがては動揺へと変わっていく。

 部屋中の機械達が奏でる警告音が、頭の中で何度も何度も響き渡り、動揺する心をあおった。

 

「一体どうなってるの?」

「私は誰?」

「ここは何処なの?」

 

女は繰り返し小さく呟いた。まるで動揺を打ち消す呪文のように、何度も何度も…。だが答えなど見つかるはずも無く、不安と動揺が肥大していき、そして弾けた。

 


ガッシャ------------------ン!!


 

室内に響く警告音の代わりに、ガラスの割れる音が部屋中を占領した。もちろん自然に割れたわけではない。女の拳がガラスを粉々に粉砕したのだ。彼女自身、なにが起きたのか分からないといった表情で、床に散らばっていくガラスの破片と拳とを交互に見た。赤い液体が、床へぽたぽたと垂れている。

 

幸いこちらの筒は空だったので、中から謎の液体が溢れ出すということはなかった。だが、その代わり彼女の拳からは紅の液体が滴り落ちている。不思議なことに痛みは感じられなかった。ただただ血が溢れているのだ。それを女は呆然と見つめている。

 

 何故か涙が溢れた。別に悲しいわけでも痛いわけでもない。自然と涙が溢れ、生暖かい感触が頬を伝っていく。どうしていいのか分からない、何も分からない、何も分かりたくない…。そして女は急にその場にしゃがみ込み両手で顔を覆った。

 涙が溢れないよう思い切り瞼を閉じる。それでも頬を流れ落ちる涙は、しっかりと両手で拭った。そして彼女は気がついてしまう。先ほどまで血を滴らせていた右手には、傷など跡形も無くなっていることに。

 

 「もういやだぁーーーーーーーーー!!!」

 

 女は力の限りに叫び、そしてまた両手で顔を覆い泣きじゃくる。響き渡る機械の警告音、それが何を意味しているモノなのか分からない。両耳から飛び込み、真っ白になった頭の中で繰り返し反響する。

 

 「うるさい!うるさい!うるさい!!」

 

 涙を拭っていた両手は、今度は両耳に蓋をする役目に変わる。それでも尚、聞こえてくる耳障りな音の群れ。不安と動揺のメーターはレッドゾーンを振り切り、その刹那女はガバッっと立ち上がり目は閉じたままで再び絶叫した。

 

 「もういい加減にしてよ!」

 

 その時だった。女の後方の壁に施された扉が音もなく開き、部屋の中へと数人の人影が飛び込んで来た。だが、目を閉じ絶叫する彼女はその事には全く気づいていない。

 

 部屋に訪れた招かれざる客人達は全部で6人。皆、完全武装を決め込んでいる。頭頂からつま先まで黒の防具で身を包み、全身を隠せるほどの大きな盾と、逆の手にはマシンガンタイプの銃を従えていた。武装兵士達の一人、たぶんこの部隊の隊長なのだろうその人物が、武器を持った手を軽く挙げ他のモノに合図を送った。一斉に銃口が女へと向けられる。そして、隊長の手が下ろされるのと同時に発砲が開始された。

 


ズバババババババ・・・!!!

 


 室内に響く発砲音。女はその音でやっと気がついたのだが、時すでに遅し。背中からまともに無数の鉛玉を喰らい、その反動で床に真っ正面から倒れ込んだ。それでも尚、執拗なまでの発砲がその後も数秒続けられる。

 

 やがて部隊長と思われる人物が手を挙げる。それを機に発砲音は止んだ。床に倒れ込んだ女は全く動かない。着ている白衣には無数の穴が開き、真っ赤に染まっていた。


 部隊長が挙げた手を再び下げると、今度は見事に統率された動きで迅速に女へと歩を進める。そして一人が軽くしゃがみ、女の喉元へ指を当て脈を確認した。その後、部隊長の方に顔を向けコクリと一つ頷き脈がないという合図を送った。だがそれを黙視した部隊長はある事に気がつく。脈を確認した兵士の腹部から鋭い刃物のような物体が突き出ているのだ。

 

 「!!!」

 

 声のない叫びを発する部隊長。非常事態を察した周りの兵士達は再び銃口を女へと向けた。その瞬間、機械の警告音をも打ち破るほどの絶叫が室内に響いた。





第二話へつづく…



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