とある恋人達の再会
「これでやっと眠れる」
そう泣きそうな声で呟いた君の声を、私は忘れない。
……これが5年前の出来事。
今、君はどうしているかな。情けなくも君の事をずっと想ってる私に、呆れているかな?それとも、仕方ないなぁと笑ってくれてるかな?
……しょうが無いよね、私と君は敵同士だったのだから。
それを知った時、私は運命の悪戯を恨んだよ。ずっと、好きでやっと巡り会えた最高の人だと、そう思ってた。
けれど、君は敵国の間諜だった。
……それでも、私達は禁断の恋に堕ちてしまった。幸せな時間だったよ。
君と一緒に月桜を見て、お酒を飲んだ事も覚えているよ。
……この時間が続かない事も分かっていた。君が敵国を裏切って影に追われて返り討ちにした事もあったね。
私も国の暗部に討伐命令が出て狙われているし。
……君が必死に逃がしてくれて、5年も私は生き長らえたけれど、それも、もう終わりみたいだ。さっき私は毒矢を受けてしまった。毒物の王として有名なバジリスクの毒矢さ。
バジリスクの毒は回るのが速い。
……もう、目が霞んできたよ。しかし、私もやっと君の側に逝けるね。
長かったなぁ、この5年間。君に助けられた命だから、自害なんて出来ないし。
……けれど、それももう終わり。今、そっちに逝くよ。
「お帰り、僕の愛しい人。もう、離さないよ」
「ただいま、私の愛しい人。……やっと、一緒に居られるね」
「私と君が出会ってからもう、5年が経つんだね。君はあの日から遠い所に旅立ってしまった。私はまだあの日から立ち止まったまま……。君に叱られてしまうね。けれど、癒えないのだよ。君を失った痛みが。……でも、そろそろ私も歩き出すよ。見守っていてくれるかな?」
これが元ネタの台詞です。そっからなんでこうなったのやら……。