登場人物紹介――人間編
尾崎顕
物語の主人公。高校生。
物腰柔らかな人物で、人との争いを好まない。
決して対人が苦手というわけではないものの、誰かを傷つけることを嫌うために進んで友人を作ろうとしない。
また、それは顕がもつ「ある特徴」ゆえのものであるが……
一年前に唯一の友人であった栗原千佳とともに交通事故に巻き込まれる。
昏睡したまま、依然として意識不明なままである彼女の恢復を日々願っている。
発現したアニマは「闢己」(びゃっこ、ディレクトゥス、あるいは螺旋的時間軸統合)
時間に作用する螺旋の力を用いる。
潜在性を秘めた能力であり、どのような成長を迎えるのか一切が不明。
椎名幸音
高校生。美貌の少女。
誰に対しても冷たい態度を貫き、親密な関係を拒む。
それは日常面でも、またアニマを用いて戦闘する際にも変わらず徹底している。
まるで世界のすべてを憎んでいるかのように。
特別な想いを抱いて、レギオンの仕組んだ戦いに参加しているようである。
もっとも、その真意を誰にも明かすことなどない。
発現したアニマは「氷菓」(ひょうか、ヌル、あるいは時間展長的停滞)
手にした棒状のものに氷の刃を生成し、剣と化す。
剣で切りつけられたものは、いかなる物体であろうとも凍結する。
女鳥愛奈
高校生。歪んだ自己愛をもつ少女。
妄想の世界に生きており、自らを魔法少女だと思い込んでいる。
顕を自分の王子様だと思い込み、積極的なアプローチをかけてくる。
顕にはまったく相手にされないが、それを気にする様子もない。
発現したアニマは「化鳥の夢」(けちょうのゆめ、あるいは非言語的概念抽出)
自らが思い描く魔法少女のコスチュームに身を包んで戦う。
具体的にどのような能力なのか、明らかではない。
彼女自身の妄想に左右される部分があるようだが……
江馬影暁
フリーター。無気力な人間。
何をするにしても適当。悩むことがまったくない。
ある意味では非常に能天気であり、その場のノリでどんな事態でも乗り越えてしまえる程度の単純さがある。
アニマの発現、バトルロイヤルへの強制参加も、それほど真剣に悩んでいない。
発現したアニマは「紫電」(しでん、あるいは非判断的連結定理)
電気を手から発し、自在に扱うことができる。
単純だが、ゆえに恐ろしい能力。
五十嵐正斗
プロボクサーへの夢を絶たれた男。
格闘家として無類の才能をもち、将来の王座獲得はほぼ決まっていた。
ところが、ある事情によって暴力事件を起こしてしまい、その道が閉ざされてしまう。
現在では失われた夢を求めて、荒くれた日々を送っているという。
発現したアニマは「影炎」(かげろう、えいえん、あるいは鏡像反転的投影)
影を操り、さまざまな像を生み出す能力。
動物であったり、自分自身であったり、作り出せる影は多岐にわたる。
吉村楓
気弱な少女。不登校の高校生。
地味な見た目と自己卑下する性格のため、学校でいじめに遭い引きこもるようになる。
対外的な接触を絶とうと勤めているが、否応なしにレギオンの仕組んだゲームに参加することとなる。
その性格ゆえに戦うことから避ける傾向にあり、またアニマを使おうともしない。
発現するアニマは不明。
どのような能力を使用するのか、想像もつかない。
久坂照彦
オタクの青年。無職。
街中で見かけた女鳥愛奈に一目ぼれし、彼女をストーキングするようになる。
彼の外見そのものはむしろ美青年の域にあると言ってもいいだろう。
しかし、純粋なる愛と称して付けまわしたり、盗撮といった行為をするなど性格は犯罪者のそれである。
愛奈は彼の存在に気づいていないために、今後の動向に注目される。
発現したアニマは不明。
何らかの能力を用いてレギオンを撃退しているようだが、能力の内容を推測することはできない。
相良湊
高校生。
規範、規律を徹底的に重んじて、それらに違反した生徒を厳しく処断する生徒会副会長。
反面、誰かにかしずき忠実な犬となることを好む、ある種のマゾヒスト的な気質をもつ。
何事についてもルールを定めようとするために、その堅物さから周囲の人間にはひかれてしまうような場合もある。
それでも、湊にとって法規とはすなわち正義であり、最上の美である。
彼の美意識にそぐわない存在は、即座に敵と認定されてしまう。
発現したアニマは「再誕、新世界より」(さいたん、メサイア、あるいは超法規的罰則裁定)
自分と相手に何らかのルールを課し、それに反したものに強制的な罰を与える能力。
他のアニマと比べても一風変わった能力であり、使いようによっては無敵となりうる。
ところが、無制限に使用できる能力ではないらしい。
ハイリスク・ハイリターンのトリッキーなアニマである。




