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プロローグ①

拝啓、どこかの世界の知らない人へ。僕は転生しました。それも、なんかすごい金持ちの家系に。


しかし…この展開にはなんかすごい見覚えがある。前世で読んだことのあるライトノベルにこんな感じの展開があったような…そうそう!!


あれだよあれ。悪役転生だよ!!金持ちの家に転生するのは、だいたい悪役に転生するパターンだよね。


ん?ちょっと待って。一応確認しておこう。悪役令息なのか、悪役令嬢なのかを…。人は、いないね。この小さな身体だと、キョロキョロって感じの可愛い効果音が出そうだね。


しかし…鏡に写ってる容姿だと、なかなか可愛らしいから、男か女か性別が全くわかんないんだよね。これは仕方ないと思う。うん、良かった。ついてる。


はっ!!まさかこれが噂の男の娘ってやつか。だけどこの身体だと、なかなか背徳的な感じがあるね。


さてと…それじゃあ改めて考え直そうか。たぶんこの世界はファンタジーだと思うんだよね。ろくに外の世界を見たことがないけど、僕の髪色とかからして断言できる。


だってさ、銀髪に赤と金のオッドアイだよ!?もう最高だよね。こんな厨二病が考えたような、神の如き美少年に転生したんだよ?嬉しくないヤツは人間じゃないと思う。


容姿も完璧だし、金持ちの家だし…もはや欠点がなくね?いや…そういえば悪役令息だったわ。これってどうすればいいのかな?それっぽく動いたほうがいいのか?


ほら。主人公をいじめてざまぁされないと、世界が滅ぶとかだったらヤバいじゃん?でも原作がわかんないんだよねぇ。


とりあえず目が覚めたことを伝えとこうかな。たしか僕は高熱を出して、寝込んでいることになってたらしいし。この身体に刻み込まれてる記憶が覚えている限りは、だけどね。


今の名前は橘皐月(たちばなさつき)。今のって言っても、前世の名前は覚えてないんだけど。名前の雰囲気的に、和風ファンタジーだということは分かる。


あれかな?陰陽師とか退魔士とかかな?妖刀とか禁呪とかが存在しちゃうのかな?まぁ、今考えることではないか。


チリンチリンと呼び鈴を鳴らす。たしかこれを鳴らすと、お手伝いさんが来てくれていた。そんな記憶がぼんやりとだけど存在する気がする。


呼び鈴なんて、めちゃくちゃ上流階級っぽいね。あっ、上流階級だったよ(たぶん)。こんなすごい家庭が一般的だったら、さすがに発狂すると思う。


呼び鈴が鳴り響いてほんの数秒後、コンコンと部屋の扉がノックされる。すごいね、鳴らしてから10秒も経ってないよ。直接聞き取らないと、絶対できないよ。使用人ってすごいんだねぇ。


入ってきたのは燕尾服を着た初老の男性。うわっ、マジかよ…リアルじいやじゃん(大歓喜)。まさか生きてて(一回死んでます)、じいやに会えるとは思わなかったね。


「皐月様、お起きになられたのですね。体調はいかがですか?」


ここで大人のように話したり、敬語を使ったら怪しまれるだろう。だが悪役のように、いきなり傲慢になってもおかしい。今この瞬間の返事は、かなり難しい問題だ。


「うん、大丈夫だよ。寝てたら、元気になったんだ!!」


この身体の勢いに身を任せて、思っていることを発する。どうやら前世の記憶を持っているだけで、僕は精神も5歳に戻っていたようだ。でもこれはありがたい。


普段通りにすれば、とくに問題はないということなのだから。にっこりと笑顔を浮かべると、じいやの表情がほんの少し緩んだ気がした。まぁそれも一瞬だが。さすがはプロの執事、周囲に感情を悟らせないね。


でも頬がゆるむのもしょうがないとは思う。だって僕の顔はある意味、最終兵器と呼べるだろうからね。こんな顔で微笑まれたら、誰だって顔を緩めちゃうと思う。


「それは良かったです。皐月様のご家族も、とても心配されておりましたから。もちろん我ら使用人もですが。私は天弥様と音羽様を呼んできますので、失礼させていただきます。」


ペコリと頭を下げて、退室するじいや。そういえばじいやの名前ってなんなのだろうか?まぁ今度聞こう。それよりも両親のことだ。記憶の通りだとするならば…いや、やめておこう。会ってからのお楽しみにしたいからね。


子供の体躯には見合わない、巨大なベッドの上で上半身を起こした状態で、自身の写る鏡を見る。そこに写るのは、やはり銀髪オッドアイの美少年。こんな美少年の生みの親はどんな美形なのだろうか?


ドタバタと廊下のほうから、大きな音がした。バタンと音を立てて、部屋の扉が開かれる。突然のことに身体がビクリと反応し、おそるおそるそちらを見ると、銀髪赤眼の美女と黒髪黒眼のイケメンが立っていた。


この二人を見た瞬間、頭の中で思い出があふれ出してくる。この世界で最も見たことのある顔の二人…つまるところ、僕の両親である。


二人は無言で近づいてきて、そのまま僕をギュッと抱きしめる。母は心なしか震えてる気がした。その状態でどれくらいの時間が経っただろう?


五分くらいだろうか?それともほんの数秒だろうか?なぜかは分からないが、ものすごく早くも感じたし遅くも感じた。ようやく擁護を解いた二人は、大きく安堵のため息をついてこう言った。


「「あぁ…良かった。」」



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