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魔界の手前で事業を展開する~追放貴族の第二の人生~  作者: 朔もと


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49/54

49 帰還

 なぜか戻ってきたのは隣り村で、

「スーザーに先頭を任せるとこういうことになりがち」

 とライラが大笑い。


「先に言ってくれ」


「忘れてたんだって」


「とにかく冷えた体を温めたい」

 エリックが言うので飯屋で暖を取ることにした。魔界から戻ったソルジャーたちが皆寒そうにしていた理由が身をもってわかる。あっちはちょっと気温が低い。長く滞在するだけで尊敬する。太陽の光がなければ凍えてしまう。


「うちももっと酒の種類を増やそう」

 この店はメニューが豊富だ。料理はすぐに無理でも、酒は幾つか買って帰れば店で出せる。


「ジェイドじゃないか?」

 スープを飲んでいるときに声をかけてきたのはハイネンだった。


「よかった。ハイネンが生きていて」


「魔界に行ったけど気づいたらこの村に運ばれていて、今じゃ酒屋の女房にこき使われてる」

 と苦笑い。


「酒屋なのか? じゃあ時間があるときでいいからうちにも売りに来てくれないか? もちろん交通料も払う」


 ハイネンにアーネットのことを伝えた。


「そうか。死ななそうなばあさんだったけど」


「今はなんとか店を続けている」


「なんとかどころかジェイドは宿屋を拡張し、店も増やしてる」

 とエリックが言った。


「そうか。すごいな」

 褒めないでくれ、ハイネン。それもこれも、あの日あなたが拾ってあの村に届けてくれたからだ。


 キャリリア村へ帰りながら、その中に一人もあの村の出身がいないことに気づいた。

 ずっと笑っていられたのは、ライラがいまだに勇者のことをうだうだと引きずっているから。


「トマトが嫌いなくせに何にもひるまなくてさ。口笛がうまくて、田舎の歌を聞かせてくれた。そのくせ帰りたがらない不思議な人だった」

 と話しながらとめどなく泣く。


 ライラは一方的に話し、誰も口を挟まなかった。

 面倒なのだろう。ライラとの関係を崩したくないから、長い付き合いのスーザーですら、

「忘れたほうがいい」

 とすら言わない。

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