48 魔界3
「ライラ、二人の足跡わからない?」
俺は聞いた。
「ここにいた形跡はあるわ」
それを聞いてほっとした。
「もう村に戻ってるんだろうか?」
生きていてくれたらいい。
「こっちに人の気配がする」
ライラが歩き出す。
木はあるけれど、人が隠れることのできそうな場所はない。みんな、魔界でどうやって眠るのだろう。怖くて、無理だ。だからパーティを組んで交替で眠ったり火の番をするのだろう。
ライラが家の裏へ回る。
「いたわ」
木の根に二人は腰かけていた。
「動くな」
スーザーが剣を構える。
え? ここは感動の再会シーンのはず。
スーザーが駆け出すと木の幹が動き出した。
「木までバケモノなのか」
「たまにいるのよ。こいつら、人間のエキスを吸うの」
とライラが冷静に言った。
「うわぁ」
エリックが叫ぶ。
「こっちだ」
二人に向かって俺は叫んだ。
二人が木から離れるとスーザーが木をぶった切った。
「エリック」
エリックはミンティに抱えられていた。お姫様抱っこ。
「捻っちゃったみたいなの」
ミンティが笑う。
「やめてくれよ、恥ずかしい」
「俺のおんぶよりミンティのお姫様抱っこのほうが安定してるからそのままな」
エリックは父の姿を探しに、ミンティは家を見たくて二人で来てしまったらしい。
その場でソルジャーと別れて、ミンティの家へ戻る。
「開けるぞい」
スーザーが扉を開ける。中には影のような魔物がうようよいた。
「これには光魔法が効くわね」
ライラの魔法で魔物は消滅。
「ああ、懐かしい」
嬉しいというよりも悲しい顔でミンティは棚を漁った。
「なにかある?」
古びた家具だけで持ち帰れるものはなさそう。
「そうよね。ママはきれいにしてから消えたんだもの。まだ何かあるかと思っていたけど私の記憶違いかしら」
「ミンティたちがいなくなって結界も消えたんだろう。それから人や魔物が盗んだものもあるに違いない」
本当に何もなくて、埃すらない。
「あっ」
ミンティが手にした紙が一瞬でぽろぽろ崩れた。紙もここでは腐敗してしまうようだ。
「ほうら、のんびりしていられん。そろそろ戻るぞ。こちらの時間の経過は俗世と異なるゆえ」
スーザーの言葉でミンティも我に返り、エリックを抱えたまま帰路に着いた。




