第9話 学年1位のおもちちゃん
とある日のホームルームで、大翔は担任から中間成績表が渡された。
席に戻ると、稲見から話しかけられた。
「大翔君!成績どうだった?」
「化学基礎以外は90点以上だ。体育とかは発表されていないけどな」
「凄~い!じゃあ学年1位なんじゃない?」
「かもな」
全員に中間成績表を渡した担任が嬉しそうに話す。
「今回の試験、皆よく頑張ったと思う。学年トップ10の大半が俺のクラスであることを誇りに思う。そして!齋藤君は学年2位だ!おめでとう!」
担任が拍手すると、クラスメイトたちも拍手する。
「こんなに成績高いのに学年2位なんだ……誰が1位なんだろう?」
「まぁこの成績を期末でも維持できれば何位でもいい」
大翔は気にしていない様子だが、稲見は気になったのか、手を挙げる。
「先生!1位は誰何ですか?」
「1位は確か……隣のクラスの生徒だったかな?名前は……」
「凄いよおもちちゃん!」
昼休みに稲見は尊敬するようにおもちを褒める。
「まさかおもちちゃんが学年1位だなんて!」
「そんなことないよ。ただ必死に勉強したら1位になっただけだから……」
「それが凄いんだよ!」
大翔がおもちをチラッと見る。
「おもちちゃんって化学基礎何点だった?」
「確か……93点だった気がします」
「だからか。俺は化学とか物理が苦手だから」
「へぇ~以外!」
「そう言う河野はどうだったんだよ」
「私は大体80点以上だよ!……数学以外は」
「今回数学簡単だっただろ」
「それはできる人が言う台詞なの!」
大翔は稲見がギャーギャー騒いでいるのを無視して、おもちに話しかける。
「おもちちゃんお願いがあるんだけど」
「何ですか?」
「次の期末、化学基礎教えてくれない?」
「いいですけど……転校するなら成績は関係ないんじゃ……」
「勉強ができる証明はしておきたいから。いい?」
「わかりました」
話が進む二人を見て、稲見が頬を膨らませる。
「ちょっと!私も入れてよ!」
「稲見ちゃんも一緒に勉強しようよ」
「やった!」
稲見は嬉しそうに飛び上がった。
放課後、大翔はおもちのクラスにやって来た。
「おもちちゃん。今日バイト?」
「いえ……」
「じゃあ一緒に帰ろう」
「はい」
おもちが大翔の方に向かおうとすると、誰かがドン!と押し倒して大翔に近づく。
「……!」
「齋藤君。私と一緒に帰らない?」
「……誰?」
「私、福田真奈美って言うの。実は齋藤君のことが前から気になっててぇ~」
真奈美が上目遣いで大翔を見つめる。
「この後時間ある?よかったら私と一緒に……」
「嫌だ」
大翔がきっぱりと断る。
「えっ……どうして……」
「おもちちゃんにぶつかってたよね?なんで謝らないの?」
真奈美はピクッと反応して、おもちの方を振り返る。
「ごめんね~気づかなかった~」
「噓つかないでよ。おもちちゃんが反応したタイミングでこっちに来たでしょ」
大翔が冷たい視線を真奈美に向ける。
「そういうことする人と関わりたくないんだよね。二度と話しかけないでくれる?」
「そんな……!」
「おもちちゃん。行こう」
「は、はい……」
おもちは大翔の威嚇にビクビク震えながら、大翔の後ろを歩く。
「ま、真奈美ちゃん……」
取り巻き達が慰めようとするが、ギロッと睨みつけられて動きを止める。
「ムカつく……ムカつく!」
真奈美はドアを思いっきり蹴る。
「なんで……なんで……なんでよ!」
真奈美は何度もドアを蹴る。
「もういい……こうなったら手段を選ばない。善哉おもちを徹底的に叩き潰してやる」




