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図書委員のおもちちゃん  作者: 鵲三笠


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30/30

第30話 文化祭のおもちちゃん(前編)

とある日の朝。光星学園に多くの人が集まっていた。

その理由は文化祭。生徒の両親や卒業生などが受付に並んでいた。


「卒業して初めて来たけど変わらないなぁ!」

「それはそうだろ。まだ半年ぐらいなんだから」

「今年はどんな出店があるのかな?」


同時刻。文理学科の教室棟では、生徒たちが開店準備をする。


「あれどこに置いた?」

「机ここに置いて!」

「誰か手伝って!」


大翔のクラスはたこ焼き屋をやることになっていた。

大翔は調理を担当し、たこ焼き器に入れた生地をひっくり返す。


「やぁ大翔。順調かい?」


ウザ絡みしてくるのは木島豆腐きじまとうふ

クラス内では大翔と1、2位を争う優等生だが、成績自慢がうざいためクラスメイトからは距離を置かれている。


「用がないなら話しかけてくるな」

「まぁまぁそう言わずに。僕らの仲じゃないか」

「いつ仲良くなったんだよ。そんな記憶ねぇぞ。っていうか仕事しろ」

「終わったから話しかけたんじゃないか」


大翔が手を焼いていると、眼鏡をかけて地味な恰好をした女子生徒―――絹漉千賀きぬごしちかが豆腐に話しかけた。


「あ、あの……木島君。稲見ちゃんが手伝ってほしいって」

「えぇ~今、親友との絆を確かめている最中なんだけど」

「いつ親友になったんだよ」

「そ、そう言われても……」


千賀がおろおろしてるのを見て、大翔はため息を吐く。


「行ってやれよ。絹漉が困ってるだろ」

「まぁ困っている女の子がいたら助けてあげないと優等生じゃないからね。分かったよ」

「お前に困ってるんだよ」

「で?稲見ちゃんはどこにいるんだい?」

「ここよ」


稲見がイライラした顔で、豆腐の耳を引きちぎろうとする。


「痛たたたたた!暴力はやめたまえ!」

「あんたが来ないからでしょ!早く来て!」

「ち、千賀ちゃん!助けてくれ!」

「え、えっと……」


千賀がおろおろしていると、大翔が生地をひっくり返しながら口を開く。


「助けなくていいよ。あんな奴」

「ひどい!親友なのに!」

「だからなった覚えねぇよ……」

「ほら行くよ!」

「千賀ちゃ~ん!」


叫びながら、豆腐は引っ張られて行った。



一方、おもちのクラスがやるのはクレープだ。

光星学園は共学だが、比較的女子生徒の割合が大きい。

主に女子生徒をターゲットにした出店だ。

おもちの担当は盛り付け。

クレープの生地にクリームやチョコソース等を盛り付ける。


「おもちちゃん。よろしくね」

「う、うん……」


そんなおもちをチラッと見ると、真奈美は手鏡で自分の髪を確認する。


(今日もバッチリ。いよいよね)


クラスメイトの女子生徒が、少し怯えながら真奈美に話しかける。


「あの……真奈美ちゃん。シフト……まだ聞いてないんだけど……」

「私は入らないわよ。今日忙しいから」

「でも……」

「あのね。私、今日の舞台のヒロインなのよ?セリフも多いし、舞台での位置も覚えておかないといけないの。分かった?」

「そうだけど……」

「分かった?」


声を強調すると、女子生徒はコクリと頷いた。


「じゃあこれから打ち合わせだから。出るね」


真奈美が教室から出ていくのを、おもちはじっと見つめていた。



文化祭が開幕し、シフト外の生徒たちや、受付を済ませた人たちが校舎を回っていく。文理学科の教室棟にも次々と人が入って来る。


「大翔君!たこ焼きは?」

「今用意する!」


舟皿に個数分入れていき、千賀に渡す。

千賀がソースとマヨネーズをかけると、稲見に渡す。


「お待たせしました!」


客に渡すと、次の客に対応する。


「大翔。大変だね」


後ろから豆腐が話しかけてくる。


「話しかけるな。気が散る」

「なんでそんなに冷たいんだい?」

「仕事中に話しかけるからだろ」

「さすが大翔。真面目だね」


感心していると、稲見が豆腐の耳を引きちぎろうとする。


「痛たたたたた!」

「邪魔するならどっか行って!」

「邪魔はしてないって!」

「シフト外でここにいるのなら受付手伝って!」

「分かった!分かったから引っ張るな!」


一時間経つと、シフトの交代時間になった。


「木島。交代だ」

「えっ?僕働いたのに?」

「今からシフトだろ?頼んだぞ」

「そ、そんなぁ~」


エプロンを脱ぎ、教室を出ると、誰かが廊下を走って向かって来たのが見えた。


「あっ!き、君が斎藤君かい?」

「そうですけど……」

「僕は演劇部部長の相田匠っていうんだけど……お願いがあるんだ!」

「お願い?」


匠は大翔の両手を握って説得する。


「僕たち演劇部の舞台の……主演になってほしいんだ!」

「……えっ?」


突然の願いに、大翔の表情が固まった。

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