第3話 昼休みのおもちちゃん
昼休み。とある教室に大翔がやって来る。
「ねぇ。おもちちゃんいる?」
大翔がやって来たことに対して、生徒がざわっとする。
「おいおい……あいつって……」
「あぁ。齋藤ホールディングスの御曹司の……」
「おもちちゃんって……まさか……」
大翔が来たことに気づいたおもちは、席を立ち上がり、近づいて来た。
「あの……どうかしましたか?」
「お昼。一緒に食べよう?」
「私とですか……?」
「他に誰がいるの?」
「いえ……その……」
「ダメだったかな?」
「ダ、ダメじゃないです!一緒に食べましょう!」
「よかった!じゃあ屋上行こうよ!」
「は、はい!」
おもちは自分の弁当を持つと、大翔と屋上に向かった。
「ねぇ……なんであんな子が齋藤君と仲良いの?意味分かんないんだけど」
「本当にそう。このクラスでも目立たない地味な子なのに」
「後で聞いて友達になればいいじゃん!」
「それいいね!」
クラスの女子達が賛同し、笑い合った。
屋上に移動した二人は地面に座ると、お弁当を開く。
「おもちちゃんのお弁当美味しそうだね。お母さんに作ってもらってるの?」
「いえ……早起きして自分で……」
「おもちちゃんが作ってるの⁉凄いね!」
「そんなことないですよ。お母さんが朝早く仕事に行くので……自分のご飯は自分で作らないと。それに大翔君のお弁当も美味しそうですよ?」
「俺は執事に作ってもらってるからな」
「大翔君の家って執事雇ってるんですか⁉」
「うん。実家が会社を経営してるからさ」
「お金持ちなんだ……凄いですね」
おもちの言葉に、大翔がお肉を掴もうとした箸を止める。
「ただ金持ちの家に生まれただけだよ。別に俺は凄くない」
大翔はお肉を口に入れる。
「それに実家が金持ちなせいで、皆、金を求めて俺と仲良くなりたがる。それにうんざりしてさ。だから人と仲良くならないって決めてたんだけど……」
大翔がおもちの顔をチラッと見る。
「おもちちゃんと仲良くなりたくなっちゃったね」
「……!」
おもちの顔が赤くなる。
「そう言ってくれて嬉しいです……」
「ねぇねぇ。おかず交換しない?おもちちゃんのご飯食べてみたいんだけど」
「だ、ダメです!恥ずかしいので……」
「そっか……」
大翔の残念そうな顔を見て、おもちは自分のお弁当を見つめる。
「美味しくなくてもいいなら……」
「……食べていいの?」
「はい……」
「そんなことないと思うけどな」
大翔はほうれん草のお浸しを取ると、口に入れる。
「……!これは……」
「ごめんなさい……美味しくなかったですよね……」
「今まで食べたなかで一番美味い……」
「えっ……」
大翔の言葉に驚きが隠せない。
「美味しいじゃん。謙遜しなくてもいいのに」
「でも……私、料理が苦手なので……玉子焼きだって失敗しちゃったし……」
「全然そんなことないよ。凄く美味しかった」
大翔がお弁当を差し出す。
「好きなやつ取ってもいいよ」
「じゃあ……これを……」
おもちは鮭の塩焼きを取ると、パクッと口に入れる。
「美味しいです……」
「俺の執事は元料理人だから」
「執事さん凄いですね」
お弁当を食べながら、楽しく会話しながら昼休みが終わった。
放課後。掃除が終わったおもちは鞄を持って、教室を出ようとする。
「おもちちゃん。ちょっと待って」
振り返ると、優等生の福田真奈美とその取り巻きが立っていた。
「えっと……どうかしましたか?」
「おもちちゃんって齋藤君と仲良いんでしょ?」
「そう……ですかね?」
仲良いといえるのだろうか?自分にはまだ分からない。
「それでお願いがあるんだけど……」
真奈美はおもちにゆっくり近づく。
「私と齋藤君をくっつけるのに協力してくれない?」




