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図書委員のおもちちゃん  作者: 鵲三笠


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第14話 親友と別れたおもちちゃん

昼休み。いつものように大翔、おもち、稲見の3人でご飯を食べていた。


「いよいよ期末……1学期ももうすぐ終わりですね」

「そうだな。あっという間だよな」

「……」


稲見の落ち込んだ表情を見て、大翔が声をかける。


「……河野?」

「……!あ、あぁごめん!聞いてなかった!何?」

「いや……1学期ってあっという間だよなって……」

「そうだね!あっという間だよね!」


稲見は明るく振る舞うが、大翔はじっと顔を見つめる。


「……何かあったか?」

「えっ?」

「朝から暗いからさ。何かあったんだろ?」

「……何もないってば!心配しすぎだよ!」

「……そう」

「それより今日の放課後デートしようよ!大翔君が転校する前に惚れさせないと!」

「断る。勉強しないといけないし」

「1日くらいいいじゃん!」

「ダメだ」


二人のやり取りを見て、おもちは胸を抑える。


(二人が話していると胸がしんどくなる……なんでだろう……今までこんなことなかったのに……)


稲見も明るい顔で話していたが胸が苦しくなっていた。


(そう言って本当はおもちちゃんが好きなんじゃないのかな……?)



授業とSHR(ショートホームルーム)が終わり、大翔が鞄を持って立ち上がると、稲見が話しかける。


「大翔君!一緒に帰ろう!」

「帰り道違うだろ」

「いいじゃん別に!カラオケでも行く?」

「行かねぇよ。あと先生に質問したいこともあるし」

「えぇ~」

「じゃあまた明日」


大翔が教室を出ようとすると、手を掴まれた。


「……河野?」

「そう言ってさ……本当はおもちちゃんと帰りたいんじゃないの?」


小声でボソッと呟く。


「……?なんて言った?」

「ううん!ドキッとした?」

「してないよ。じゃあ俺は行くから」


手を振りほどくと、早歩きで職員室に向かった。

稲見はほどかれた手をじっと見つめる。


(私じゃダメなのかな……)



職員室で大翔は担任に数学のわからなかった問題を質問していた。


「つまり答えはこうなるってことですね?」

「さすが齋藤。これなら難関国公立合格も夢じゃない」

「えっ?それってアメリカのですか?」

「アメリカ?何を言ってる。日本の話に決まってるだろ」

「でも……僕1学期が終わったらアメリカに転校しますよ?」

「えっ⁉」


担任が驚いた表情で大翔を見つめる。


「父から転校手続きの書類来てませんか?」

「いや……転校すること事態初めて聞いたし……」

(おかしいな……クソ親父(あいつ)から手続きしておいたってメールきてたのにな……)


大翔は疑問に思う。


「父に確認してみます」

「わかった。それにしても衝撃だなぁ……どうして?」

「……色々あって」

「そうか……君は優秀だから向こうでも大丈夫だろう」

「ありがとうございます」


担任に頭を下げながら昴への怒りを募らせる。


(俺はアメリカに行ってまで優秀になんかなりたくねぇよ……)



一方、おもちはSHR(ショートホームルーム)が長びいてしまい、急いで支度をしていた。


(大翔君……待たせちゃってるかな?)


その様子を見て真奈美と取り巻きたちはひそひそ会話する。


「本当に齋藤君と仲良いよね?あれで恋人じゃないってありえなくない?」

「私たちを黙してるんじゃない?ねぇ真奈美」

「……どうだっていいわ。そんなこと」

「えっ?」

「私が考えてるのはどうやったらあの女を排除できて、齋藤君と恋人になれるか……それが叶えられるなら恋人でも構わないわ。()()……ね」


真奈美はプリントで作った紙飛行機をおもちに向かって飛ばすと、頭に当たる。


「……?」

「ごめんごめん。投げる方向を間違えちゃって」

「……いえ」


おもちは鞄を持つと教室を出た。


(仲良く関わってなさい……私が壊してあげる)



おもちは大翔からきたメールを確認する。


『校門で待ってるね』


送信されたのが15分前。待たせてしまったかもしれない。


(急がないと……)


下に降りると野球部の練習を見ている稲見がいた。


「稲見ちゃん?」

「あっ……おもちちゃん……」

「何してるの?」

「……ボーっとしてた」


少し暗い表情で返事をする。


「おもちちゃんは大翔君と帰るのかな?」

「う、うん……」


それを聞いてピクッと体が反応する。


「そっか……仲良いんだね」

「ち、違うの!私と大翔君はそういう仲じゃ……」

「おもちちゃんはさ……入学した時の自分と今の自分……どっちが好き?」

「えっ……」


パンッ!とグローブでボールをキャッチする音が聞こえる。


「どうなの?」

「えっと……その……」


言葉を考えながら自分の気持ちを述べる。


「正直に言うと自分のことは今も好きじゃない……けど大翔君と稲見ちゃんが友達になってくれて……自分に自信がもてるようになった……かな?」

「そう……でもそれは大翔君のおかげ。私はついで(オプション)だもん……」

「そんなことない!稲見ちゃんは私にとって恩人で大事な友達だよ!」

「……ありがとう。でもごめん……私にとっておもちちゃんは……友達じゃなくて嫉妬しかないの……」


稲見は涙を流していた。


「私は……大翔君のことが好きなのに……全然振り向いてくれない……それなのにおもちちゃんはあんなに仲良いし……一緒に暮らしてるし……」

「……!違うの!それは……」

「いいの!事情があるのはわかってる。別にそれを恨むつもりはないけど……これ以上おもちちゃんといたら……私……」


耐えられくなったのか、泣きながら走っていく。


「待っ……!」


追いかけようとするが、足が止まる。


(あれ……動かない……なんで?)


足がプルプル震えている。稲見に言われたことがショックだったからだろうか。

それともどう話せばいいのかわからないからなのか……


(稲見ちゃん……)


どうすれば誤解が解けるのか。自分はどうすればよかったのか。

考える度に胸が苦しくなる。


(追いかけないといけないのに……)


気づくとおもちも涙を流していた。

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