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呉起晩年

作者: 高木紀久

呉起晩年


悼王、没す。悼王が没した。悼王は、楚における呉子(呉起)の主君であり、彼(呉子=呉起)を重用した、第一人者であった。呉起が、楚においてその政治手腕を如何なく発揮できたのは、実にこの悼王の存在によるところが大きい。その悼王が亡くなったのである。そして、悼王という後ろ盾を失った、呉起の身辺に異変が生じないことはなかった。楚の一部の貴族たちが一斉に蜂起したのである。かつて、呉起の政治改革の断行によって、自身らの汚職や伝統的な贈答外交を行ったことを指摘され、官職を剥奪され、官籍を追われた者たちであった。こうした貴族らの放った私兵の一隊が、楚の政廟の中枢深くに押し入ってきた。呉起は、この日も丞相府に詰め、政務を見ていた。そこへ、敵襲の急告が飛び込んでくる。敵襲といっても身内のものの犯行である。この時すでに、貴族の私兵は、呉起の最近にまで迫っていた。兵の姿が呉起の視界にも入った。この時点で、すでにほとんど逃げ場を失った呉起。最後の手段として、楚の歴代の諸王の霊を祀った霊廟へ逃げ込む。しかし、ここにも貴族の手勢が乱入する。終局、呉起は、生前自分を庇護してくれた悼王の遺骸の上におおいかぶさったところを、射殺された。これが、魏と楚の両大国に渡って仕え、数々の功業を成した、呉起の最期である。(※ところでこの時、呉起を射た矢は、呉起もろとも悼王の遺骸をも射ていた。このため、呉起とともに悼王の遺骸を射た討っ手とその直接の主人である貴族の一人は、故王への不敬の罪により、斬罪に処されている。)

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